2020/05/06 のログ
ご案内:「タナール砦」にナランさんが現れました。
ヒュー > 月光を受け男が太いブロードソードを振る度に空を切りブゥンと思い音が響く。
大剣ながらも男の大きな体がそれを操る様はまるで演武の様でもある。
粗野でありながらも武骨で、内倒し敵を切り裂く様にどこまでも純粋な武。
盛り上がる筋肉は動く度に水が弾け、月明かりを受けキラキラとした光を生んでいく。

ナラン > 「――…精が出ますね」

型を確かめる動きながら風切り音を発する男から井戸を挟んで向こう。
砦から井戸のある中庭へと出る戸口に、篝火に照らされて弓を手にした女が一人、立っている。
銀色に散る水飛沫に鳶色の瞳を細めるようにして、男へと視線を注いで
すこし、辺りを見回すようにした後、中庭へと足を踏み下ろして男の方へと。

近くまで来れば月光の下でも、女の衣服に血が散って、所々端が焦げているのが確認出来るだろう。

「…今日、また出撃するんですか?」

井戸を挟んだ所で立ち止まると、トン、と長弓を地面につけて寄りかかるようにしながら、男へと問いかける。
唇は相変わらず頑なだが、顔見知りへの、ほんの少し親し気な口調で。

ヒュー > 気を配っていれば、こちらへと向かう気配は感じている。
そして、精が出ると言われればにやりと笑い。

「なに。 戦場に出ればどうしても刃筋が狂うからな。 修正だ。」

ただの暴力かと思えば以外にも武に対しては真摯で会話を続けながら剣を振る男。
動きの中でちらりと相手を見れば衣服に血が散り、焦げている服。

「さてな。 まぁ 俺が出た上にナランも出て押し返したのだ。 今日はないだろう。」

などとからっと笑ながら、ようやく最後のひと振り。
高く上げたブロードソードを振り下ろし地面から一寸ほどの所でびたりと止め、構えを解くと再び地面に突き立てる。

ザシュ、と重い音を響かせ男は女の方に近づいていく。

「ナランは今日もまたいい女だな…」

等と楽し気に笑いながら井戸の縁のバケツをぽいっと放り込み縄を引き女に向けてバケツを差し出す。

ナラン > 真っ当な理由の返答が返ってきて、女が男を見る瞳がすこし見開かれる。
それから、その気持ちを反映したように頑なだった口元が少し、綻んで。

「――私は、貴方と違って援護射撃だけですから。
 果たして痛手を負ったような相手が居たかどうかは」

騎馬が居ればその馬の足元を狙って、歩兵には手元を狙って、空飛ぶモノがあれば射落として―――
流石に前線に出れば満身創痍、に近い。
―――ほんの少し殺伐とした心を休めるつもりもあって、彼に声を掛けている。

じっと見つめるその前で、男が素振りを終えて剣を突き立てる。
その重い音は女の足元まで伝って、果たしてその剣の見た目通りかそれ以上の重さを思いやっていると、男の軽口が聞こえてまた其方へと視線を上げる。

「――…戦に出て昂ったときは、皆さんにそう言っているんでしょう?
 ……?」

女にしては珍しく揶揄う色を乗せた声で男に返してから
差し出されたバケツに瞳を瞬かせると、男と、交互に見て尋ねる視線を。

ヒュー > 何やら相手の眼が少し見開かれて…。
男はにやりと、どこか意地の悪い笑みを浮かべ。

「なんだ。 足りないから空想の中で敵を血祭りにあげると思ったか?」
等と少し意地悪く笑いかけ。

「ナランたちのお陰で俺が前で存分に暴れられるわけだ。 ありがたいものだ。」

等と楽し気に笑い。ようやく置いた否大地に突き刺したブロードソード。
材質は不明だがただひたすらに重く丈夫というだけのそれ。
ある意味男に一番合っていて…。

「酷いことを言うな。 まぁ否定できなくはあるが…。」

等と楽し気に笑い、男は水の入ったバケツを持ったまま井戸の周りを回り女の前に立ち、それを井戸の縁の上に置いて。
女を頭の先から足先まで視線を滑らせてから、すと手を伸ばし血や埃、戦場の焦げた匂いが男の鼻を擽り…。

「武の匂いに、さらに戦の匂いをさせるいい女が俺は大好きだが、女はそういうの気にするだろう?」

くつりと笑いながら相手が逃げなければ男は女の体を抱き寄せようとする。
その手から逃げられなければ水で流したとはいえ、前線ゆえに浴びた返り血や、男の傷跡から血が混じった戦場の匂いが相手の鼻を擽るだろう。

ナラン > 男の意地の悪い笑みと言葉に、鳶色の瞳を少し細めると、女の方は素直に口元を綻ばせて笑う。

「貴方なら、そうあっても驚きませんけれど…
 面と向かって言われると…恐縮、しますね」

此処にいて有難い、などと言われたことがない。来た時も、本来ならば使い捨てにしたいであろう傭兵が後衛だったとあって、露骨に期待外れな顔をされたものだ。
ありがとうございます、と静かに礼を返して
否定できない、という言葉に『やはり』との意を込めた笑みを浮かべて顔を上げる。

近づいてくる男を、長弓に寄りかかるようにしたまま鳶色の瞳はじっと見つめる。

「―――さぁ……
 意外と世間知らずのお嬢様などは、好んだりするのでは無いですか?
 …或いは、貴方と同類のような、方は」

傷だらけの半身を晒した男の隻眼をじっと見上げる。
伸ばされた手には……す、と
指の先からほんの少しの距離を空けて、背後へと距離を取る。

それでも香る争いの残り香と…彼自身の傷から零れた血の、香りに
すこし、顔を顰めて。
―――鳶色の瞳の奥に、ほの紅く、光を灯して。

「……ヒュー、さんは…
 血が余ってそう、ですね……」

女はあまり感情のない表情で、ぽつりと
そんなことを。

ヒュー > 「そういうのは 戦場を分かっていないバカのセリフだな。 馬鹿犬がキャンキャン吼えているぐらいの感じで流せばいい。 なんだったら馬鹿犬のバカ面を内心笑ってやれ」

にやりと、男はそんな物騒なことを言って笑い。
相手がやはりなんて笑みを見せれば楽し気に笑い。

向けられる飛び色の瞳を男は愉しそうに見つめながら、水がたっぷり入ったバケツを置いて。
のばした手、一歩逃げられれば。
むっっと小さく唸り空を切った手は残念そうに戻り。
「はっ、まぁ中にはそういうのもいるだろうが。
やめてくれ 小便臭い嬢ちゃんなんぞ、めったに抱く気にもなれん。
余程面白いものを抱えてれば別だがな─。」
等と笑い飛ばして。
女が顔をしかめれば自身の腕を持ち上げクンと鼻を鳴らし。
まぁ汗の匂いもまぁあるがそんなに臭かったか等と小首を傾げ、続く相手の言葉に男は愉し気に笑う。
そしてこの間の塔の上。
血に対して何か思い入れがあるのかと、ほの紅く光をともす女の瞳を見つめながら、男のは自身のゆびさきを口元に。
血判を押す時の様にガリと、男の尖った犬歯で皮膚を破ると血がにじむ指を相手に向けて突き出す。

「あぁ、血は余っているぞ? なんだったら確かめてみるか」

相手の鼻が良ければ濃厚で生命力に溢れた血の匂いが擽るだろう。
ただそれが人の血ではないという大きな違いがどうなるかは男には知る由もない。

ナラン > 残念そうに引っ込む男の手にくすりと笑み零し、『お嬢さん』に関しては『滅多に』の但し書き付きなのに更に笑って。
無しではないんですね、と男に追い打ちめいた言葉を掛ける。

―――口に出した言葉に気付いたのは、彼が小首を傾げてから愉し気に笑ったとき。
苦笑気味に眉を寄せてちがいます、と告げようとした、唇が凍って

――男の指に滲む血の色。―――その香。

ヒトのそれも魔族のそれもごちゃ混ぜになって、この戦場にはある。
違いなど、解りはしない――――只、森の動物とは違う、この―――かおり。

女の鳶色の奥で、紅が濃くなる。
視線は、その血の朱色に――吸い寄せられるように、忘我の表情で、顔を近付けて

ちろり、と女の舌先が男の朱色を舐めて―――とろりと喉奥に通って

「!!――――ッ」

瞬間、電流でも奔ったかのように
女は瞳を見開いてまた背後へと下がる。

「――すみません…失礼を」
(他人の指を舐めるなど―――ヒトの血を要求するなど)

忸怩たる思いで、女は足元へと視線を落とす。
一陣、戦場の風が炎の匂いを運んで、女のターバンから零れた黒髪を揺らし、男の肌を凪いで行く。

ヒュー > 「そりゃぁ無し等と言ったら嘘になるからな。それに女は勘が鋭いのだろう?」
愉しそうに男も笑い。
男とは違う女の本能めいたところを指摘しさらに愉しそうに笑う男はどこか悪戯っぽく。

そして相手が顔をしかめ自分の匂いを確かめた後、皮膚を破り突き出した男の指。

その指に引き寄せられるように艶気すら感じる表情で女は赤い舌を出しその指を舐り、血を舐められる。

そして女が目を見開きながら背後へと下がれば獣じみた感覚。
口や理性で言いながらも女が血を求めていると。

「良い良い。気にするな。」

自分の内側に取られ悩み後悔する女。
そして揺らめく黒髪は視覚で男の眼を楽しませ、上戦場の生暖かい風が男を撫でる。

「ナラン… 謝罪の言葉よりも俺の血は美味かったか? 
そして、ナラン…。 良い表情だ…もっと俺に見せろ」

ぐっと距離を詰め、一瞬のスキを男は逃がさず、ぐっと地面を蹴り大きなスライドで一歩で距離を詰め。
女の体を男の腕が捕らえようとする。
今度こそ相手を捕まえることができるか…。

ナラン > 気にするな、という男の言葉を、足元に視線を落としたまま聴いている。
―――きっと男のことだ、笑い話で済ませてくれる、だろう…――それよりも。
指先で、飲み込んでしまった白い喉を抑える。

「…―――え?」

美味かったか、との問いにどう答えればいいのか。
困惑と、逡巡する表情を上げて――――その瞳に影に覆い被されるかのように大柄な男の身体が近づくのが映る。
さらに下がろうとする、その足が鈍ったのは
動揺だけだったのか、血の香に誘われての事だったのか…

ぱたん、と女が手にしていた長弓が地の上に倒れる。

「……怪我、しますよ」

男の腕の中、零す女の声音と表情はまた、頑ななものに戻っている。
瞳だけが、逡巡と…血の香に酔って紅を揺らす。

ヒュー > 足元に視線を落とし、喉を抑える女。
何とも言えぬ色気を感じるのは何故か。
見せる項は垂れ下る髪の奥。
困惑と逡巡する相手に問いかけながら覆いかぶさるかのように男の巨躯が俊敏に動き女の体を戦場の匂いを纏った男が捕らえる。
倒れる長弓の音。
そして腕の中には女。
頑なな表情ながらも告げられた言葉に男は愉しそうに口角を上げ、片方だけの目を細めながら見つめ…。

「それは、俺が言うセリフな気もするが… いい女に手を出すのだ怪我の一つや二つ、くれてやる。」


女と男の身長差もあるうえ、女の体は男に取っては軽く、丸太の様に太い腕はがっちりと女の腰を抱き、軽く持ち上げ地面から足を離させてしまう…。
まだ溢れる指先の血、先日の様に唇に紅を塗る様に濡らし、奪う様にその唇に自身の唇を重ねようと顔を寄せながら囁きかける。

「俺の血は美味しかったかと聞いたんだ…。 美味かったのなら、らもっと飲ませてやるぞ…?」

男の低い声が風に乗りながら静かに女の耳を擽る…。

ナラン > 「――…本気ですか?」

帯には何時ものように短剣が佩いてある。
腰を抱き寄せられながらもするりと抜いて、その切っ先をごく近く、迫った男の喉へと突き付ける―――ほとんど癖のような動作。

足元から地面の感触が消えて、女の眉が曇る。

「放してください。今なら、怪我、だけで済ませます…
 ――――!…」

唇に、彼の朱色が乗る。
鳶色の瞳が見開かれて、その奥の紅が揺れる。

「―――わかりません…!」

震える唇の上
甘美な香りを漂わせるそれを、女の舌が拭ってしまおうと――飲み込んでしまおうと、ちろりと現れて―――次にはぐ、と唇は噛みしめられた。

男の低い声は耳を擽りその震えは首筋へ伝って、鳶色の瞳は紅を乗せながら潤む。
―――口付けの瞬間はぎゅっと閉じられて
浮かんでいた涙が一筋だけ、頬に伝う。

男に突き付けた刃はそのまま、束を握る女の手は、真っ白になるほどに握りしめられている…

ヒュー > 「冗談で武と戦の匂いがする女に手を出すわけがないだろう?」

突きつけられる刃。
気力を込めれば先端は皮膚を押し破られるがそれ以上は勧められず血が滲み一筋女の前で雫となり下へと、女の眼前へと滑り落ちる。

そして、男の指で女の唇を撫で紅を刺せばそれを追うようにチロリと覗く女の舌。

濡れた女の唇の表面に重なる男の唇。
男も舌を出しチロリトその柔らかい唇を軽く舐め笑みを深める。

「つれないな… 何をそんなに怖がるだ? 」

気の強い女の目尻から溢れる一筋の涙、男は頬に口づけを落とし、舌を出し其れを舐めあげ目尻を舌で擽りながら、女を撫でた手で真っ白になる程に握りしめられた手に添え首元から外し引き揚げ相手の手を上げさせれば腕の中でバンザイをさせれば二人のシルエットはまるでダンスでも踊るかのような影が月光によって伸びる。

「怖がるな… 俺はお前の全てを受け入れ飲み込んでやる。」

そう囁きかけると、女を抱く腕の力を強めながらぎゅっと閉じられた唇に再び自身の唇を押し当てていく。
そのキスは唇を舐め時に吸い長い間続いていく。閉じた城門を責めるがごとく、根気強く続いていく。
もし女が抗い男の舌を噛んだとしても血を滲ませながらのキスは終わることが無いだろう…。

ナラン > 眼前へと――更に男の血が滴って、強くなる香りに瞳は見開かれて紅がほのかに煌めく。

触れた唇の噛みしめられたその場所を舐めるなら、それでも女の唇が微かに震えているのが解ってしまうだろう。

「怖がっている わけでは……!」

笑みを深くする男にむっとして答える声は、頬に落とされる口づけに肩が跳ね上がって、最後までは言葉が紡げない。

「ちょっ と…… ヒュー、 さん…!!」

涙を目尻を男の舌が擽るように掬っていって、すこし奇妙にもくすぐったげに震えながら逃げるように顔を逸らす。
刃を突き付けていた女の手は何時の間にか、男の手にあっけなく引き上げられてしまっている。

見上げる男の後ろに、月が見える。
女は紅く潤んだ鳶色の瞳で一瞬ぼんやりとそれを眺めて

「―――ゃ… ヒュー さん…!」

長い長い口付け。
時折擽る様なそれから逃れようと顔を逸らし吐息を漏らして
言葉を漏らした隙に、彼の舌はするりと忍び込んでしまうんだろう。

「――――ン…… !」

舌を噛む事さえないが、逃れようと慄く舌と唇は、時折吐息を吹きかけて……口づけにしては、不器用な感触でしかない。

―――そうしてその合間に隙あれば、女の膝が彼の脇腹を狙うのだろうけれども。

ヒュー > 額をのぞき込めば翠のなかにきらめく紅。
それもまた美しく。
重ねた唇。震えが伝わり笑みはついつい深まり、
怖がっているわけではないと、口でいいながら、男の口づけによって跳ね上がり消えゆく言葉。

「違うのか? 残念だが、止まらんぞ? 
このまま手放すにはナランはいい女過ぎてな、かなり難しい。」

涙を舐めあげればそのしょっぱさも男の荒ぶる心を擽り、引き揚げた女の手、見上げるこちらがぼんやりとすれば再び唇を重ね、
顔を逸らせば男は追い、一瞬の隙を突いて男の太い舌が潜り込む。
慄き逃れる舌を追い、頬をの内側を舐り。不器用な感触がまた男を昂らせるのは相手にとって不幸か…。

普通の人とは違う男の瞳は爬虫類の様に縦に細くなり。

擽る吐息も心地よく、長く続いたキスはぷはとようやく終わり離れる唇。
腰を抱きながら男の手は女の尻に滑り、上へ上げた手を離し、かわりに血でぬるむ指で頬を撫で、男はまっすぐに紅がきらめく女に囁きかけながら、男の分厚い胸に抱き二人の武器を残し程度の傍の物陰へと連れみその場から姿を消す。
その後の二人がどうなったかを知るのは砦の中にながれる戦場の風と月明かりのみであった。

ご案内:「タナール砦」からナランさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からヒューさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にヒューさんが現れました。
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