2020/05/03 のログ
ご案内:「タナール砦」にナランさんが現れました。
ナラン > 数日前に人間側の軍の手に渡った砦。
今日も取り返さんと押し寄せた魔族軍を何とか撃退し、朝から夕刻まで続いた戦の熱気は、月が空高く昇った今も砦の中に残っている。

丘の上、月の光の中に黒々と容姿を浮かび上がらせる砦のあちこちは篝火が灯されたまま、歩哨の上には時折行き交う兵士の姿。
きっと、明日の戦術についての伝令か何かだろう。或いは、お互いの意気軒高を更に高め合っているか。

その砦に幾つか建つ物見の塔の上。
南に面したひとつには今、一人女が立っている。
短剣を帯に挟み長弓を手に、その鳶色の瞳を丘の草原へと注いでいる様から、張り番の最中だと知れるだろう。
丘を渡ってきた風は踏みにじられた草と土と焦げた匂いと―――…血の香りを運んでくる。

「――――……嫌なにおい、だ」

女は草原を見つめたまま、誰にともなくぽつりと零す。
―――その喉はこくり、動いてしまうけれども。

ご案内:「タナール砦」にヒューさんが現れました。
ヒュー > あえて劣勢な側に付き夕方から夜にかけての戦いを生き抜き、楽しんできた男。
砦に戻り汗を流したがいまだ色濃い血の匂いを纏い昂る獣性をそのまま抱えているが、中にいる娼婦にはいまいち食指が伸びず。

酒を持ちぶらりと砦の中を進む。
片手には酒がたっぷり入った瓶と軽いつまみ。
兵士や冒険者同士の噂話で南野等にいい女がいる。
等と聞けば興味がわき塔の中に入り込み階段を上がっていく。

ナラン > 背後。
此処へと至る階段を昇る硬質の音。
男が酒瓶片手にその場所へと近づくにつれ、ちゃぷん、と水音が伝ってきて、外を眺めたまま鳶色の瞳を訝し気に顰める。

気配を殺す様子もなく昇ってくるそれは、襲い掛かるような雰囲気ではない―――交代の時間でもない。
何ぞ、休憩所か食堂へかの道を間違えた何者かか。

果たしてその足音が、こちらへとたどり着くなら。

「―――当番ではないのなら、他へ行った方が良いですよ。
 …夜襲があると、厄介な場所ですから」

一先ずは振り向くことも無く、風にターバンから零れた黒髪を揺らされながら
辿り着いたものへと、言葉だけを投げかけるだろう。

ヒュー > 階段を上がった先。
開けた目の前こちらを振り向かずに佇む女。
見慣れぬ民族衣装に揺らめく黒髪。

「なに、昂っていてな。 一人で飲むのも下の娼婦にもいまいち興が乗らなくてな。 夜襲か、大歓迎だ。」


隻眼の太い首に分厚い体。 汗は流したが拭いきれぬ血の匂いと暴力の匂いを纏う男は女の背中からお尻、そこから民族衣装のズボンに隠れる下肢へと視線を滑らせ、鍛えらえている女の体を楽し気に眺める。

「そちらは、どうせ起きているのだろう? であれば、暇つぶしに付き合ってもらおうと思ってな。」

と、男はどこか愉しそうに笑いながら差し入れとばかりにつまみが入った袋を揺らし、あえて音を立てて。

ナラン > 草原を見つめたままの女に届いたのは、場にそぐわない軽やかな口調と言葉。
風が、其方の方から吹いて
濃く届く血の臭気に一瞬顔を歪めてから…吐息と共に、現れた男へと振り返る。

「――私は歓迎しません。夜は、静かな方が良いです…
 ………居て頂いても、私は、面白い話などできませんが」

果たして暇つぶしとなるかどうか、と。
軽やかな口調に、女も引き結んでいた口元を綻ばせる。
―――だが

「…今日外で、戦われたんですね?」

血の臭気が濃い。その香りだけで、喉が鳴ってしまうくらいには。
―――今は血に飢えている訳ではないから、彼に襲い掛かるなどという事には、ならない、と思うけれど。

綻ばせた口元を再度引き結んで、躊躇する視線を、男に。
会話をするのは嫌いではない―――特に、こういった殺伐とした雰囲気のときは。
けれども……

ヒュー > 振り返る相手を男の一つだけの眼がじっと見つめる。
それは好奇心や興味。そして、娼婦とは違う種類の女。
どこか満足そうに頷き。
「つれないな。 鈴虫やら蟋蟀のような声でないのは確かだな。 なに、暇つぶしだからな。面白い方が良いが、面白くなくても構わん。」

等と男は笑い、相手の傍の手すりにつまみの袋を勝手に置きその中から小さく切り分けた干し肉を口の中に。

「あぁ、戦ったとも。 お陰で血の匂いが取れん。」

そんなことを言いながらも、男はにやりと楽し気に唇の端を持ち上げ笑みを浮かべながら、男は一歩相手の前に。

「だが、まだまだ足りない。 俺の心はまだ飢えていてな。」

一瞬だけ見せる獣性。血に酒に女に男の心を満たすにはまだ足りない。
足りないから酒を飲む。 女を欲す。

「血の匂いのする凶暴な男は嫌いか?」

と、どこか悪戯っぽく問いかけながら男は女の瞳をのぞき込む様に視線をまっすぐ絡ませる。