2019/11/18 のログ
■ガリア > (砦どころか、今の所は周囲にも何かの気配を感じられない。
大きな火が上がったからだろう、鳥や動物の気配すらないのは
まるで此処が世界から隔絶された様な感覚すら覚える。
そんな中での伝言とは、相手もまた運が悪い。
さて、勿論全滅、と言う事ではないだろうから
場合によっては王都に戻ったほうが、其の連絡相手は居るやも知れない、が。)
「……連絡の内容次第じゃ、遅かったかも知れねーなァ…。
…こっちは様子見さ、砦の中も見れるようなら見てく。
先にこっちが放棄した後、場合に寄っちゃ向こう側が、先に何か仕掛けてるかも知れねぇしな。」
(要するに――罠が在れば、事前に解除しろと言う事なのだろう。
もし失敗しても、到着部隊が巻き込まれるよりは、被害が一人なら最小限。
だから、生憎ながら安全とは言い難い任務では在る
手伝う、なんて相手が言うから、巻き込まれなくなければ、と此方は返すが
燃えた砦の中へ進めば、塀の低い場所を先んじてよじ登り
――其の後で、上からロープが落ちてくるだろう。 お好きにどうぞ、だ)。
■ジナイア > 相手の返答に、苦笑気味に口の端が昇る。
まあ伝言を預けた相手はどちらかというと政治向きの人間だったから、今日明日の生死を分かつようなものでもないだろう―――最も『政治生命』という意味ではどうなるものか解らないが。
兎に角も、今日のところは義理を果たすことを一先ず先送りにしたようで
首を傾げたまま青年の任務を訊けば、また興味深げに翠が細められる。
「成る程な…私が通ってきた場所も特段、何も仕掛けは無かったようだけれども」
運が良かっただけかもしれないな、等とすこし考え込むように零しながら、焦げ臭い空気の中を彼に付いて進んでいく。
巻き込まれる、等と言う忠告は(相変わらず)まるで意に介した風もない。
カンテラは、足元を照らすように下に掲げたままだ。
――――そうして、器用に堀を登った彼からロープがもたらされるのならば
「…なんだかんだ、親切だな、ガリア」
呟いた言葉は、彼の耳に届いてしまったかどうか。
また笑みを深くしてカンテラを腰へと吊るし、それを便に彼へと続いて燻った堀を登って行くんだろう。
■ガリア > 「……行軍中に罠仕掛けても、早々行軍が止まる訳じゃ無いからな
道中平和で無事に到着させて、砦で一網打尽…が、一番被害がデカイ。
まぁ、っても油断は出来ねぇから、次からは気を付けるこったな。」
(多分、塀の上から声が届くだろう。
相手がロープを伝って上ってくるなら、塀の上に腰掛けた男の姿が在る筈だ。
手を伸ばし、相手に掴めと促せば、其の身体を引っ張り上げてやろうとするだろう。
――先刻の言葉が聞こえていたかどうかは、定かではない筈だ。)
「――単純な罠よりも、魔法系の罠の方が厄介だな
そういや、魔法は? そっちに詳しいなら、何か気付いたら教えな。」
(そうして、先に落ちる。
ロープは塀の上に括り付けて塀の内側へと垂らし直したから
其れを伝って降りる事は出来るだろう
砦の内部へと侵入することが叶えば、建物の中へと踏み入って行き
――戦闘の跡、様々な物が燃えた気配、恐らくは火力が強すぎて
形も残らないのだろう、何かの灰を踏み締めながら、進む
後ろから女が追いついてくるなら、先刻の台詞を響かせながら
砦内の探索が、始まるのだろう)。
■ジナイア > 登りながらの彼からの忠告には、なるほどな、と言葉を返しながら頷く。―――解った、とは言わないで置く。
差し出された褐色の手を赤銅色の己のそれで有り難く握り返し、思った以上の膂力で引っ張り上げられたならば、ストン、とその場に膝をついた。
「魔法は、私自身が使える訳ではないが
何かそれらしきものがあれば、知らせてやることはできると思う」
言いながら無意識に、手指にはめられた鉄の輪を撫でる。
一見何の変哲もないそれは、女の指には微かな温もりを以て答えを返してきた。
―――まあ、彼らのことだから、命に関わらない様なものならばわざと知らせてこない可能性もあるのだけど―――
脳裏に浮かんだ言葉は胸に仕舞い込んで、また彼が施してくれた『親切』に縋って、堀の内側へと降り立った。
そうして腰に吊るしていたカンテラを外し、黒く煤けた足元を照らしながら彼の後ろを歩いていく。
焦げ臭い匂いが充満した通路に、二人分の足音が鈍く響く。
己の眼には真っ暗闇でしかない先を、迷いないように進んでいく彼の背後。
カンテラの灯りに時折浮かぶそれを見て、ふと思い出す様に女が言葉を紡いだ
「―――そういえば
キミの身体にあった文様は、魔法とはまた関係が無いんだな?」
零される声も、ぎょっとするほど虚ろに響く。
女は自分で軽く驚いてしまってから、くすりと笑み零してすまない、と付け足した。
そうやって焦土の香りが漂う暗闇の中、時折の会話を響かせながら
探索がひと段落するのは、月が大分傾いたころだったろうか――――
ご案内:「タナール砦」からジナイアさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からガリアさんが去りました。