2019/10/13 のログ
ご案内:「タナール砦」にラフェルさんが現れました。
■ラフェル > 人間と魔族、入れ替わりの激しい場所、タナール砦。
しかし、今は偶然の産物か、無人の砦であった。
だからこそだろう、現れたのは。
砦の屋上、その上空、そこに現れたのは小さな輝き。
ゆっくりと降りて来る輝きは、そのまま屋上へと降り立った。
それが薄れれば、そこから現れたのは一人の少女の姿。
ばさりと広がるのは白き翼、頭上には輝きの輪、微風に揺らぐ白い衣。
ふわりと床から僅かに浮かぶように浮遊しながら、閉じられていた瞳が開かれる。
「人も魔も、その生を終えればすべては魂という平等な存在。
その存在に平等たる救いの手を」
唇から紡がれる小さな呟き。
その瞳は何を見るのか、視線の先を床に落とす。
両の手が祈るように胸元で組まれれば、再びその瞳は閉じられる。
祈り、それに合わせるように、ぽつぽつと砦の中から、周囲から、幾つものうっすらとした小さな輝きが浮かび始めた。
それは緩やかに少女の元へと集うように。
遠目からは、はっきりとは分からない。
だが、砦に近付いていたりすれば、幻想的な光景が見られるのかもしれないか。
■ラフェル > 浮かび上がる輝きは、少女の周りへと集い留まる。
それらは、少女の呟きのあった通り魂という存在。
それらは、人や魔との差別はない。
このまま何もせず留めておけば、いずれ別の存在として作り上げられてしまうだろう。
アンデットという、不浄の存在に。
それを回避させんが為に少女は現れたのだ。
残っていた魂、その数はかなり多い。
時間を掛けてゆっくりと、それらは集ってゆく。
少女はただ静かに、それを待つのである。
暫くの時間を掛けた後、やっと今ある魂を自身の周りに集め切る。
瞳は閉じられたまま、しかし、それを理解しているかのように小さく頷いて。
「貴方達をこれから、天へと導かせて頂きます。
もう迷う事無く、天へと召されて下さいね?」
周りの輝きに、小声であれど、はっきりとした声で伝える。
それと共に意識を集中すれば、今度は少女自身から発せられ始める輝きが、それらを包み始めた。
包み込めば、その後、二重の輝きとなったそれらは上空へと昇り始める。
上空、その彼方へと、その輝きが見えなくなるまで。
■ラフェル > 少女は、それらが完全に見えなくなるまで祈り続けていた。
何を以て確認をしたのか、胸元に組んでいた手を解いて下ろし、閉じていた瞳を開く。
小さな吐息を吐き、少女は広げたままだった翼を畳む。
軽く休憩を取るかのように、身体の力も抜いて。
今居る場所、その周囲を再認識するかのように見渡してみせる。
タナール砦、人と魔の境界にある砦。
少女から見れば無益な戦いを繰り返し、不必要に命を散らせる場所。
小さな溜息を漏らせば、苦笑を浮かべる。
■ラフェル > 「私にはすべき事をする事しか出来ない。
それ以上の事をしてはいけない、分かっています。
でも、どうしても納得が出来ないのはなぜなのでしょう?」
そう呟くも、それさえもすべき事ではない。
まるでそう考えているかのように、少女はそれを懺悔とする。
胸元で十字を切り、再び両手を組んで祈りを捧げた。
それを終えれば、畳んでいた翼をばさりと大きく広げる。
羽ばたき、その身を勢いよく上空へと舞い上がらせた。
少しだけ上空で留まるも、少女の姿は人間の国の側へと飛び去って行く。
ご案内:「タナール砦」からラフェルさんが去りました。