2019/06/11 のログ
ご案内:「タナール砦」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 降嫁騒ぎによって王都が賑わい、帝国の影が蠢く。
するとそれにつられたのか、タナール砦をはさんだ先の魔族にも活発に動くようになったらしい。
冒険者ギルドにて依頼をうけ、タナール砦防衛のための応援として駆けつけた遊牧民は砦を囲む城壁の一端に立っていた。
すでに日は暮れていて、石壁にへばりつく血痕や矢じりの欠片は闇に沈み。
遊牧民の持っている松明がうっすらとそれらを照らしている。

「静かだね……。今のところ動き無し、かな。
このまま無事に夜が明けてくれるといいけれど……」

今は人族が守っているこのタナール砦。いつ均衡が破れて魔族の手に落ちるかわからない。
すでに砦の中に魔族が潜り込んでいるかもしれない。
警戒を続けるが、こうも静かだと集中力は鈍りがち。

砦の人員不足のため見張りは1人。
たまに、ゆら、ゆら。松明が船漕ぐように揺れて。

タピオカ > 月明かりも隠れがちな薄曇り。夜になって涼しくなっているけれど、どこか蒸し暑さを残した空気。
遠くから血の匂いがする夜に沈んだ砦の向こう。
時々目をこすって松明の持ち手を変えながら佇んでいると、不意に薄雲が晴れてきた。

地上に明かりが無いために強く輝く星々。大きな丸い銀の皿じみた月が、夜明け前のような青い月明かりで地平線を包む。
その光景に目を奪われかけていると、砦からさほど離れていない場所に長い長い影が伏せっている。
嫌な予感に松明を掲げ、睨むように瞳を細める。
影の蠢きは暗闇の中で隆起して、間もなく群れをなして砦へと迫ってきた。
――敵襲!
叫びながら松明を砦の外に置いてある口の広い油樽に投げ込む。夜襲に備えて光源確保のために設置しておいたその横並びの樽は予め繋げられていた綱を伝って炎の壁を作り出した。

炎に明々と照らされる砦。夜は始まったばかりだ――。

ご案内:「タナール砦」からタピオカさんが去りました。