2019/06/08 のログ
ご案内:「タナール砦」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 昼間の初夏の陽気がまだ漂う夜。
漆黒の天に薄い雲が白い靄を投げかけて、星々の煌めきは合間から零れるように瞬いている。
ゆるり、吹く風は湿り気を含んで、遠くの戦場跡から生臭いものでも運んでくるよう…

昼間の喧騒から、打って変わって静まり返ったタナール砦。
その石造りの物見の塔のひとつに、黒髪に赤銅色の肌の女がひとり、佇んでいる。
夜とはいえ戦場の中
落ち着き払った仕草で、塔の縁へと手を掛けて少し、身を乗り出した。

「……中よりは、マシだと思ったんだけどな…」

その翠の双眸を薄雲が覆う点に向けると、熟れた唇から密かな溜息をつく。
塔の中あてがわれた部屋の、ねばつくような空気に辟易して外に出たというのに…

ジナイア > 元居た見張りの兵士に、暫く替わるから休んでいい、と伝えてしまった。
中に戻りたいという気はないが…この場所に縛られるというのも、何だか不自由に感じてしまう。
せめて、目を楽しませる何かがあればいい…
そう思って、思わず敵方の方面へ翠の双眸を凝らす。

(我ながら、不遜だな…)

心中そう零しながらも、割と真剣に…心底、『何事か』を期待している。

ジナイア > 暫し眺めれど、頬を温い空気が撫でていくばかり。
またふと苦笑を熟れた唇を浮かべると、衛兵用の硬い椅子へ腰掛けた。

そうして頬杖を付いて、交代の兵士が来るまでぼんやりと、一種長閑な暗闇を眺める…

ご案内:「タナール砦」からジナイアさんが去りました。