2019/03/08 のログ
ご案内:「タナール砦」にアマーリエさんが現れました。
■アマーリエ > 現状の戦線は、落ち着いている。それは良いことでもあり――否、幸いであろう。
一瞬の平穏を厭う理由と憂うに足る所以がない。考え過ぎてしまうのは悪い癖だ。
夜の月が照らすタナール砦。
傍らにちょっとした酒宴から抜け出すついでに拝借した酒瓶を置きつつ、魔族の国側を除く城壁に腰掛けて思う。
何故開かれているかと言えば、援軍として参加した第十師団が参加した攻防戦の勝利と運び込まれた物資故だ。
「有難いわね。多少はマシな葡萄酒が来るようになったなんて」
金属の酒杯に注ぎ、ちろりと舐める酒の味を吟味しながら風に靡く金髪を払って思う。
此の手の嗜好品を禁じることが出来ない理由は幾つかある。
死と隣り合わせの戦場における兵士の数少ない楽しみであると共に、良質な飲料水を望めない土地だと代用とせざるを得ないからだ。
故にその品質は時に兵の士気にかかわる。
貴族好みの高級銘柄は幾らなんでも供しようがないが、腐りかけにも思える悪質さや水で薄めた代物は幾らなんでも論外が過ぎる。
「……――禁じようもないわねぇ、ああいうのは」
そう言えば、従軍の娼婦や捕虜の魔族の女も居たか。
砦内から響く喧騒に嬌声が混じるのも、活気がある証左と言えるか。苦笑を滲ませつつ、酒を舐めよう。
ご案内:「タナール砦」にマヤさんが現れました。
■マヤ > 「――失礼します」
一人寛ぐ第十師団長の元へ現れたのは、王都からの使者。
闇夜に溶け込みそうな黒の甲冑に赤い十字が彩られた、王族直属の騎士である。
……甲冑越しのくぐもった声はまだ若く、その様子もどこかぎこちない。
まだ年の頃は10代後半か20台前半といったところか。
「この度の第十師団のご活躍、陛下は大層喜ばれております。今宵限りは勝利に酔いしれることも許されましょう。――此方が陛下のお心となります」
勿論、品目も礼の言葉も、大臣が用意したものであるが――。
城の兵士達には関係ないだろう。羊皮紙に記された酒、食料、褒賞金、そして女の数。
目録を師団長に手渡し彼女の任務は終了――のはずだった。
「……それと。師団長にも僅かながらの"褒美"をと大臣が。」
騎士の背後に立っていた女が、静かに姿を現し――師団長と呼ばれた女性へ一礼した。
露わな肌。女としての魅力を全面に打ち出した服装。纏う色気。
――娼婦。それも、今日提供された女の中で一番高値の女。
一山幾らの娼婦達とは値段の違う、一介の兵士にあてがうには勿体の無い高級娼婦。
「……マヤです。よろしくお願い致します、アマーリエ様」
女を置いて、伝令の騎士は下がった。
■アマーリエ > 「……なぁに? 人が多少は良い気分しているのに無粋ね」
使者なるものの気配と声を聞けば、膝を組んで座した姿勢のまま現れる鎧姿を見遣る。
立ち上がりはしない。迎える必要性は、ない。
己が膝を突くものとすれば、それは己の身が認めた者か現国王位のものだ。
それが仮に国王の代理、同等の扱いをしなければならない――なぞというものであっても、例外はない。
響く言の葉と柳眉を顰めつつ、差し出される羊皮紙を受け取ろう。
「あ、そう。王の御心のままの言葉であれば何よりね。
――貰うものは貰っとくわ。無いよりもある方が兵たちの励みにもなるもの。そう伝えて頂戴ね」
一瞥する羊皮紙はあとで、伝令の兵士に託して帯同させた現場指揮官の騎士に渡しておくとしよう。
良きも悪しきも弁えたベテランだ。故に「適切」に配分することだろう。
ただ、問題は此れか。使いの騎士の後ろに控えた女を見遣り、どこか憮然とした面持ちを吐息を吐き出して整える。
その褒美がどういう代物かというのは、見ればわかる。下賜するという表現が時に似合う程の高級娼婦。
「アマーリエよ。宜しくね。仕事とはいえ、こんな処に遣わされるなんて大変よね。
外も何だから、部屋に案内してあげる」
一先ず挨拶の後、立ち上がって「こっちよ」と声をかけながら歩き出そう。
向かう先は砦内に宛がわれた上級騎士、王族の来賓を想定した部屋だ。
途中通信魔術を使って呼んだ兵士に先程の羊皮紙を言伝と共に手渡し、目的の部屋に入ろう。
数人で共用する一般の兵士のそれとは違い、一人用の高級な調度がそこにある。
何より、部屋の奥にある高級な寝台はこれもまた、戦場には本来不要なほどでもある位だ。
■マヤ > 「――そんなことは。アマーリエ様と一晩過ごす事ができて、光栄です…♪」
ハイブラゼールの高級娼館一の娼婦と言えど、まだ18歳。その物腰にはまだ若さが残る。
とはいえ、道中、砦に向かうまでの馬車では散々文句を言っていたというのに、
今はこうして平然としていられる程度には嘘を纏える女。
――否。今宵の客が麗しき女性でだいぶ機嫌が良くなった、というのもあった。
……城内を師団長に従って歩けば、自身に向けられる好奇の眼差しにも堂々と振る舞う。
そうして招かれた部屋、重々しい扉が閉じれば手早く後ろ手に鍵をかけ――。
「アマーリエ様……♪」
甘えるように背後から縋り、その体を押し付けた。
僅かに身をよじらせただけで胸元がはだけ、お椀型の胸が露わになるドレス。
前を正そうともせず乱れた着衣のまま、前へと回り込めば――。
「……失礼します…v」
の一言と共に、両腕を首に回してのハグ――そして濃厚な口付け。
商売女にしては教育が行き届きすぎた、さながら恋人か愛人のような振舞。
挨拶もそこそこに、吐息すら飲み下すような粘着質なキスを求め、縋り……甘えて。
「ぁ、ぁふ――んっ……ん、ぁ…んっ。……んぁ、ふ……」
■アマーリエ > 「そう。なら、良いのだけどね。
ちょっと待ってなさいな。戦場の騎士ってね。色々と邪魔なものが多いのよ――、って」
魔術仕掛けの明かりは熱はないかわりに、所定の合言葉を言うだけで直ぐに光が灯る。
それも一つではなく、一斉に灯る仕掛けとは成る程、利便性だけではなく贅を尽くしたということの証左でもある。
己よりも明らかに若いと思える所作と仕草を認めつつ、背後に響く鍵の音を聞く。
取り敢えず手近にある卓の上に持ってきた酒瓶と酒杯を置く。
次いで、腰の剣も寝台際にある剣掛けに外しておけば、先んじて動く気配を感じる。
直ぐに振り向かなかったのは、其れが敵意、害意を前提した所作に基づくものではないからだ。
老練というにはまだまだ歳が足りないが、才気はある。
先程外そうとした鎧という硬さ越しでも、押し付けられる体躯の柔らかさは想像に足る。
「仕事熱心なことだけど、気が早い……わねぇ、ん、っ、…ッ、ふ」
もう、と。少しばかり困ったように眉を下げつつ、首に手を回して抱きつきながら口づけに来る姿を迎える。
浅く口を開きながら、強引に唇を割って舌を絡みつかせ、吸い上げながら艶めかしく身を捩る。
嗚呼、滅茶苦茶にしたくなる。スカートの下、薄いレースを使った白いショーツの前をめくりあげるように屹立が顔を出す。
身を寄せ、寝台の方へと押しやって行けばすぐに向こうも気づくだろう。
女にして、男であるモノの欲動の発露を。