2019/02/20 のログ
ご案内:「タナール砦」にリリーさんが現れました。
リリー > 鎧を纏った王国軍の兵士と魔族の軍勢が争う中に異物とも言うべき場違いな格好をした女が一人。

「…バレット。」

ゴーレム装甲を改造したブーツを装着し、手には小型の銃を携えた白衣の女。

弾丸を精製する魔法を詠唱すると、5発の弾丸が砦の上空を飛んでいるガーゴイルの群れを撃ち落とす。

女が居るのは砦の屋上部分の一つ。
今回の魔物の軍勢は空と陸の2方向から攻めてくる。

足元では何カ所かある城門を巡り巨人やオーガの類と重装の騎士達が、
そして砦の丈夫では空を飛べるガーゴイルの群れとそれを迎撃する魔道部隊や弓隊が。

どちらかと言えば遠距離での戦いが得意な女も臨時の戦闘要員として駆り出されることに。

「…ちゃんと危険手当も貰うからね~~~。
ブレイド!」

女や兵士達の不意を突くように突撃を仕掛けてきたガーゴイルを魔法の剣で貫く。

手にしている装備のおかげで身体能力も高まっている女。
重たい装備をしてないこともあり、機動力に長けている。

後手に回り気味の屋上部隊のフォローをすべきあっちこっちへと走り回っている。

リリー > 上空での戦闘は魔導部隊の展開が整ったようで、王国軍が盛り返してきた。

「凄いわね~。 やっぱり正規部隊の魔法は威力が凄いわ。」

天候を操り、無数の雷がガーゴイル達を直撃し、真っ黒に焼いてしまう。
味方には当たらないのがこの呪文の精度の高さを表しており、女は横目で見ては感心していた。

(上はもうこっちの力は必要無さそうね。
となると、下を助けに行きましょう。)

城門側ではどちらかと言うと王国軍の分が悪い。

オーガや巨人は一体一体が歩く攻城兵器と言える存在である。
そんなものが大槌を手に暴れられでもしたら折角修復した城壁も容易く破られてしまう。

王国側もシールドの魔法を唱えたり、バリスタなどで接近自体を抑えているがどうしても薄い所が出てしまう。

「グレートウォール!」

銃を手に、呪文を唱えると巨人達と城壁の間に光の壁が現れる。
数回程度の攻撃をやり過ごす程度の力しかない壁ではあるが、それでも一旦は巨人たちの攻撃を凌いでくれるだろう。

あとはこの間に王国軍が反撃し、流れを変えてくれることを祈るしかない。

「頼むわよ~、私より強いんだからしっかりやってよね。」

リリー > 女が祈っている間に事態は好転する。

この日、魔族側の軍隊は撤退する。
女は危険手当の臨時報酬を受け取りホクホク顔で街へと戻っていく。

ご案内:「タナール砦」からリリーさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
タマモ > 今宵は満月、己の最も力が発揮される刻。
だが、その代償は…

人間側が占領しているタナール砦、その屋上に少女は姿を現わした。
ゆらゆらと身を揺らし、その瞳を周囲に向ける。
その瞳は、普段と違い金色よりも真紅に近いもの。

「………そうかそうか、今は人間か。
運が悪かったと、そう思う他はあるまいて…のぅ?」

ぴたりと揺れが止まり、その瞳が一気に真紅へと染まれば…
ざぁっと周囲に広がる違和感、それが砦を覆う。

今、この時、砦の外に出ていた者は、その異変にすぐ気付くだろう。
殺風景である、そんな砦周辺に、先まで無かった桃色の花を咲かせた木々が囲っているからだ。
そこから散る花弁が、点々と足元を桃色に染め始めている。

「さぁ…宴の始まりじゃ」

そう呟く少女、再び身を揺らし、屋上から堂々と砦内部へと歩いて行く。

タマモ > 足音を立てぬ気もない、姿を消す気もない。
歩む少女、砦内を巡回する兵士達は、すぐ目にする事だろう。
まぁ、見知った第七師団の兵士や、一部の師団長ならば、何の警戒もしないのだが…
そんな都合の良い者達が、居るものでもないか。
声を掛け、呼び止めようと少女へと手を伸ばし、触れる。
途端に、びくんっ、とその身を震わせ…ばたりと倒れた。
近付いて確かめれば、すぐに分かるだろう。
その兵士は不意に麻痺し、身動きが出来なくなったのだ。

「ふふ…敵襲の最中で無いのが幸いじゃな?
でなければ、お主が辿る道は、死、のみじゃろうて」

くすくす笑いながら、少女は屈み、動けぬ兵士にそう囁く。
その指先を、ゆっくりとした動きで、その首元に。

「いっそ、妾が殺してやろうか?
………なんてな、冗談じゃ。そのまま、来るともしらぬ助けを待つが良かろう」

恐怖に表情を歪める兵士を、楽しそうに見詰め、そう言葉を続ける。
ゆらりと立ち上がれば、兵士を放置し、また歩みを開始して。

タマモ > 一人、また一人。
掛かる状態は同様か、少々違うも、動けぬようになる兵士が増えてゆく。
そうして人数が増えてゆけば、警戒態勢になるのは当然か。
ただ、喋る事も出来ぬ被害者から情報を聞きだせぬ為、少女が確かなる犯人とは伝わらない。
もっとも、不審者なのは変わらない、出会い頭に警戒をし始める兵士も出てきているが。

が、それは少女にとって、大して意味はなさない。
どちらにせよ、兵士達の先は変わらないのだ。
この砦を守ろうと、そんな気構えで居る限り。

「ほれ、また一丁上がりじゃな?
素直に逃げれば良いものじゃろうが、辛いところじゃのぅ?」

次に現れた兵士は、敵意丸出しなのが見て取れた。
ここまでこれば、いい加減にそんなものだろう。
…なのだが、武器を手に襲い掛かってきた兵士、対して手にした扇子でするりと受け流す。
途端に、やはり同じように倒れ込んでしまった。
その相手をちらりと軽く見遣り、やはり少女は歩む。

「無理じゃ無理じゃ、今宵の妾に敵う者は居らん。
触れられても、触れても、そして…下手に手出しをしても、辿る運命は変わらぬ。
………あぁ、一人は除くがな?」

ぱたぱたと扇子を扇ぎ、言葉を紡ぐも…ふと思い出したように、その言葉に一つ付け足す。
何をしても勝てない、そんな相手は居るものなのだ。

タマモ > 「ふむ…面白そうな者が居れば、戯れに遊ぼうと思うたが…
このような場所では、そうそう居るものではないか」

浮かべる笑みはそのままに、続けてやってきた相手を見詰める。
どうやら魔術師か何かか、魔法の詠唱を始めていた。
それでも、少女はその余裕の笑みを崩さない。
阻みもしなければ、詠唱を終えて魔法が発動する。
周囲に炎が立ち上がり、ぶわっ、と一気に少女を包み込んだ。

「………やれやれ、分からん連中じゃ」

包む時と同じように、ぶわっ、と包んでいた炎が少女の呟きと共に掻き消えた。
無造作に伸ばされた手が、その炎に僅かに触れる。
その途端、魔法を発動していた相手が倒れたのだ。
軽く払うように、その手を振り、何事も無かったかのように先へと向かう。

タマモ > 「そう、本来は死して当然の状況。
しかし、お主達は情けで生かされたのじゃ。
…それを、しっかりと理解しておく事じゃのぅ?」

もはや、砦内には動けぬ兵士達しか居ない。
そんな中で、少女のその言葉は、兵士達全員へと届いた。
どんな気持ちで居るのか、それは本人達のみぞ知る、だろう。
それを想像しながらか、少女は楽しげな笑みを浮かべる。

気が付けば、砦の周囲の風景は戻っていた。
だが、倒れた兵士達はそのままで。
敵襲によって全滅か、救援が来て一命を取り留めたか、それは分からない。

ちなみに、少女が与えた行動不能の状態異常は、放置していても最悪数日後には治るものだったと言う。

ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。