2019/02/17 のログ
ご案内:「タナール砦」にアマーリエさんが現れました。
アマーリエ > ――進め。進め。ただ、斬れ。殺す。

遣ることは至極単純だ。他に選択の余地もない。だが、問題なのはこれが一人だけの生命ではないという点である。
前回の奪回で数日とも持たず、再び砦を占領されるのは何が要因だろうか。
内通者か。それとも砦内に何か仕込まれていたのだろうか。それとも、もっと単純に維持するための兵力を偶々置いてなかったのか。
一切合切不明である。直近の公文書を漁った処で、納得できる答えが出てくるハズもないだろう。
明確なのはただ一つ。また、奪い返す他ない。ただ、それだけの目的の発生以外に何もない。

「性懲りもないにも程があるわね。兎に角情報。情報を頂戴。随時回して」

王国側の砦の門の外、張られた幕舎より出る姿がそう声を張り上げる。女の声だ。
夜陰に溶ける色合いではない。夜の色より濃い黒い騎士の装いに白銀の胸鎧と籠手を身に着け、剣を佩いた姿がそう声を放つ。
情報を求めるのはただ一つだ。敵の陣営も何も情報が出揃わせるよりも早く、攻略をしなければならないという必要に迫られるからだ。
時間をかければかけるほど、敵の護りも固くなる。事を為すのに面倒さが増す。

「……維持する努力もないのならせめて金位落としなさいよ、もう。
 余計な損耗を出したくないから、私が出るわ。竜騎士隊は第一、第二隊を編成。傭兵隊を護衛しつつ後に続いて」

臨時に傭兵を雇うのだって、金がかかるのだ。
指示を出しつつ、進めば横に続いてくる白い竜が見える。頭を垂れれば捕まって背の鞍に飛び乗る。
声を出す必要はない。思うがままを汲んで竜が咆える。進軍開始を告げる号砲の代わりである。