2019/02/08 のログ
ご案内:「タナール砦」にリリーさんが現れました。
リリー > 砦の中の錬金スペースを使い、回復薬の生産に励んでいる。

砦に駐留している部隊より、薬の追加生産の依頼を承った。
なんでも普通に買っては高価になる強力な薬を安く大量に用意したいそうで。

「そういうことなら、このリリーさんにまかせなさ~い♪」

ちょうど大口の顧客が欲しかったと言うこともあり、二つ返事で引き受けた女は錬金釜を混ぜながら呑気に鼻歌を歌っている。

(店を開いてすぐにこんな依頼が来るなんて、本当にラッキーだわ♪
お城の人たちと仲良くなったら城の蔵書なんかも見せてもらえるようになったりして?
そうなったら元の世界に戻る為の手がかりもあるかもしれないわね。)

楽しい楽しい未来図を頭の中に描き、ご要望のカスタム治療薬を釜いっぱいに作り出す。

「後はこれを冷えたタイミングで瓶に移していくだけね~。」

額の汗を拭い、久しぶりの錬金術の仕事に達成感を味わっていた。

リリー > 釜の中が冷えてくると、瓶に小分けする。
出来上がれば、兵士の一人に声をかけて。

「まいど~~♪」

受け取ったゴルドを服の中にしまうと、いそいそと砦を離れて行く。

ご案内:「タナール砦」からリリーさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にアマーリエさんが現れました。
アマーリエ > ――今のところ、この砦を含む近隣は安定して王国軍の管理下にある。

良いことだ。だが同時に、悩ましいことでもある。何時までこの安定を保っておけるかどうかの保証がないということだ。
砦に交代の部隊が配属されるまでの間、場繋ぎを兼ねた増援部隊として今回第十師団に白羽の矢ならぬ呪いの矢が突き立った。
協議の結果としての命令として交付された以上、自分達に拒否権は無い。
幾つかの前提条件と譲歩要件を絞り出させた結果、即時で雇った傭兵と竜騎士を除いた支援部隊を主体でこの砦に赴いた。

「巡り合わせの悪さが祟ったわね……。まさか、竜騎士が出払っている隙になんて」

是非もない。数日内の戦役で疲弊、負傷した騎士と竜の休息に加え、国境警備、警戒の定期便に出している者もある。
遊兵として使える竜騎士が己しかいない以上、単騎としての最大戦力として向かうのも必然だった。
砦内に幾つかある広い部屋の内のうち、一つを即時の師団の指揮所として借り受け、備え付けの机に突っ伏しながらぼやく。
その所作一つでがちゃがちゃと戦装束の鎧が鳴り、軋むのは考えない。ええ、考えない。考えないったら。

「取り敢えず、話の分かる御仁で良かったわ。一蓮托生になるのはお互いに御免だものね」

先刻の協議と調整の結果で、防衛が不可と判断した段階で即時撤退。
集積した物資は可能な限り、漏れなく焼却したうえで退く。その合意を取り付けた上で動員した部隊を守備に当たらせている。
接続状態を意識下で保った通信魔術網に現状、異常を告げる情報は無い。

ご案内:「タナール砦」にリリーさんが現れました。
リリー > 師団の長が居られる部屋の扉一枚向こう側で兵士の一人と喋っている女の声がする。

「へ~、ここが師団長さんの部屋になるのね。
もっと立派な扉があるのかと思ってたけど、他の部屋とあまり変わらないのね。
分かってるわよ、この部屋には入らないといいのよね。
で、私が見ても良さそうな本ってのはどこなのよ。」

兵士の一人に気軽に話しかけている女。
相手の兵士もそれに対して嫌な様子は見せなかった。

そうなる為に女は短期間で砦に常駐している兵士達が喜ぶようなことを積極的に行ってきたのだ。

痛んだ装備や城壁の修復、傷薬の改良など。
全て女が持つ魔力と錬金術の力に寄るもの。

本来は危険手当なども含めて高額の報酬を貰う所だが、今回は格安で引き受けた。
その代わりに、砦内で見られても構わない程度の資料を閲覧させてもらうと言う約束。

ここまではすこぶる順調。 師団長が既に到着されていると言う事を知らなかった以外は。

アマーリエ > 『運が良かったのう、主よ。まだ多少は平和を謳歌できそうぢゃ』
「……そーねぇ。悪いけど其の侭番を頼むわ。
 見張りも含めて、広域監視術を維持している術師隊も時間通りに交替して。間隙を作らないようにね」

脳裏に上空を巡回している騎竜からの念話が響く。
それに答えつつ、顎下を机に乗せた姿勢で持ち上げる右手を振り、通信魔術をアクティブにする。
繋ぐ先は術師隊を取り仕切る老練の兵士の一人だ。
無論、己の言わんとしているところは承知済みだ。故に「御意」という短くも確かな答えに頷いて身を起こす。
個人用ではなく、大机と形容できるものだ。そこには周辺の地図と呑みかけで放置された茶器がある。

資料の類は――ない訳ではない。壁際の本棚には読み物に加え、分厚くも重厚な書籍の類はある。
しかし、それが今扉の外で何やら話し込んでいる者の趣味、趣向にあうかどうかはさておき。

「騒がしいわね。何かあったの?」

何なのかしら、と。呑みかけの茶器に手を伸ばしつつ、首を傾げて立ち上がる。
腰に剣はない。今は壁際の剣掛けに鞘ごと横たえられている。
手櫛で軽く髪を梳いて払いつつ、カップを片手に扉の方に進んではがちゃり、と開いて顔を出そう。

リリー > 「…へ。」

カチャリ。 その音がした瞬間、一緒に話していた兵士は用事を思い出したと言って逃げ出した。

(~~~あんのヘタレ。 後で文句を言ってやらなくちゃ。)

心の中でわなわなと怒りの炎を燃やす女。
が、それは本当に後の事。

いまはこの場を収めなくてはいけない。

「五月蠅くしてごめんなさい。
ここに出入りしている者なのだけど、ちょっと道を教えてもらってたの。
すぐに出て行く…わね。」

女は見て分かる程に動揺し、声も上擦っていた。
そのまま脱兎のごとく逃亡を図るつもりであったが、不意に足が動かなくなる。

(…やだ。 凄く綺麗じゃない。)

元来、女性が好きな女。 噂の師団長であろうと分かっていながらも、ついつい見とれてしまうのであった。

アマーリエ > 「……ご苦労。任に戻りなさい」

どうやら己の顔を知っているのか。
この砦の兵か麾下の兵かは去りゆく姿からは見えないが、件の兵と思しい後ろ姿に目を細めて声をかけよう。
何分、此処は頻繁に修羅の巷となる。ちゃんと生きて帰ることが出来る位の力量の持ち主で有れば、とやかく咎めはするまい。
必要な時に用を満たすのであれば、いい。新兵すら配属されて数日生きていられるかさえ、危ういのだから。

「――ふぅん。私の顔を見ても、何者かピンと来ない処から見てもそのようね。

 けど、地獄の横隣りな場所でその反応は頂けないわ。
 ナニを探してたかどうかも含めて、納得いくまで教えて貰おうじゃないの。ほら、入りなさいな」

ただ、気になるのは自分の顔を見てその反応を示す有様だ。
無聊の慰めの面白い玩具を見つけたような、そんな顔つきで口の端を釣り上げて空いた手を伸ばす。
払われなければ遠慮なく、扉の中に引き込もう。むんずと片手を掴めるならばぐいぐいと笑みのままに。
 

リリー > (意外ね。 聴いてた話だともっと怒られるのかと思ってたけど。)

何事もなくその場を離れることができた兵士の後姿を冷静に観察していた。
兵士達からはどの将軍も恐ろしいので決して怒らせない様にと言われていたのだ。

(…来た!)

どうやら、優しい顔は己の部下にだけなのか。
女は地獄の門が開かれたかのような恐怖の表情を浮かべる。

当然、伸びた手には容易く掴まれてしまい、部屋の中へと引きずり込まれてしまう。

「別に、おかしなことはしてないのよ。
ちょっと魔道書や魔導実験の資料なんかを見せてもらおうとしていただけで。」

綺麗な顔をした将軍はやはり恐ろしい。
女は青い顔を浮かべてはその場に震えている。

これが所謂尋問だろうか。 疑われたらどうなるのだろうか。
脳裏に恐ろしい想像が浮かんでゆく。

アマーリエ > 規律の遵守はピンキリだ。その点で言えば、きっと緩い類の方になるだろうか。
何せ、この砦はコイントスされる硬貨の如く、目まぐるしく所属が変わる。
明日になれば敗死しているかもしれない命を多少の怠惰で、どうして攻められよう。

故に咎めるべきは――戦うべくして戦えぬこと。戦わぬこと。それだけだ。

その点だけは自分が兵を率いるにあたり、常に厳しい訓練を課す代わりに心に決めていることだ。

「……あのねぇ。よく考えなさいな。初級やら中級程度なら無い訳じゃないわよ。

 魔導実験、と言ったわね? 程度にもよるけどそんな大層な品、こんな処に置いていると思う?
 最近調べて分かったんだけど、この砦が占領されるとごっそり武器庫の類とか攫われたりしているの。
 そんな向こうに渡ると面倒しいものなんて、置いておくだけ無駄も良い処だわ」

連れ込む女の言葉を聞いていれば、秀麗な顔が、はあぁぁと盛大に肩を上下させて呆れの表情を示す。
この程度は機密保持にも値はしない。何せ、置いておくにも怪しいものをどうして在る、と言えようか。
連れ込んだ姿をその場に立たせ、声をかけながら念のために向こうの姿を検めておこう。

「この砦の指揮官じゃないけど、私が言う事だから大体間違いじゃないわよ。
 王国軍、第十師団――アマーリエ・フェーベ・シュタウヘンベルクの名に於いて言ってあげるわ」

上から下へ、と。ぺたぺたと胸元やら脇下やら、ボディチェックを遠慮なくやりながらさらりと言おう。

リリー > 「…なるほど、それもそうね。
でもそんなにしょっちゅう占領される砦を互いに奪い合うって不思議じゃない?
だから何か凄いのがあるのかと思ったのだけど。
例えば、とんでもない力が地下に置いてあるとか。」

呆れてますよっと表情ではっきり言われてしまう。
女はそんな顔の変化を青い瞳で見上げながら疑問に思っていたことを口にする。

(どうやら、この様子だと恐ろしい展開はなさそうね。
ちょっと怖いけど、常識のある人みたい。)

まだ強張った顔をしているが、女は少し警戒レベルを下げていた。

「第十師団…。」

第十師団のアマーリエ将軍。そもそも複数の師団があることすら分かっていないので、
どうしても鳩が豆鉄砲を喰ったような顔になる。

「ちょっと、何も持ってないからあちこち触らないで。」

先程まで震えていた女は、体中を触られるとくすぐったさを訴えては笑っていた。
抵抗したり払ったりすることはないのでボディチェックそのものはすぐに終わるだろう。
白衣の下には服を着ているだけで、所持品は何もない。
もともと必要な物はたいてい魔法で呼び出すからだ。