2019/01/08 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ゼロ > タナール砦、ここを確保してから魔族の国へと進行する。
 一週間前に将軍からの号令が有り、一週間後とは、明日である。
 少年もまた、第七の師団員故に、命令があれば、その命令に従うものである。
 砦に入り、己の武器や防具の準備を行いながら明日に思いを馳せる。
 侵攻するということは聞いているが、目的はどこまでで、何をもって成功とするのだろう。
 作戦の通達は、明日行われるのだろうか。
 仮面の少年は、一人で砦の中を歩く。目的の場所は特にないが―――とりあえずは、と、少年は屋上へと移動する。
 夜の闇の中、しかし仮面は昼間のように周囲を見わたすことができるようにしてくれる。
 だからこそ、少年は魔族の国の方を見るために、今の状況を確認するために、登っていった。

ゼロ > 「―――――。」

 屋上に登れば、冬の空気が冷たく少年の肌を擽り通り抜けていく。
 鎧と、マントにサーコートがなければ肌寒いだろう、温まった鎧を身にまとっているから、今は気にならないが。
 周囲に人の影は、歩哨が数人いるぐらいであり、静寂の中という状態と言って良いだろう。
 仮面の下で息を吐き出し、少年は静かに砦の外を眺める。
 砦はいま、人類が奪還している状態で有り、補給物資……というよりも、遠征のための資材が貯められている。
 あれが、行軍中に使うものなのだろう、国の方から馬車で運ばれている資材を見る。
 そして反対側に行き、魔族の国の方を見るが――――。

 恐ろしく静かである。
 あの、魔族の将は、手ぐすねを引いて待っているのだろうか。
 ずっと偵察していた時に思ったが、戦闘狂の部隊とも言えるのだ。
 ここに、部隊が来たら喜んで襲いかかってくると思ったのだが―――。
 そんな気配は、今はなくて。

 だから、少年は不気味に思う。

ご案内:「タナール砦」に仮面の魔将さんが現れました。
仮面の魔将 > 夜のタナール。
死神はゆっくりと、まるで検分するような足取りであらわれる。

アンデッドの軍団、総勢二千。
それは、遠征準備を整えた砦へと辿り着いた。

『――戦争の時間だッ!!!』

魔将の号令一下、タナールへと殺到しはじめるアンデッドたち。
それらは整然と隊列を組み、一定の速度を維持しながら城壁へと迫る。

――まるで、統率された軍団のように。

ゼロ > 綺麗な夜空、静かな夜。しかし、この場所では其れは相応しくはない。
 少年は警戒するように外を眺めているが、やはり状況は変わらずに静かなままである。
 平和なのは、いいことではあるが、ここは不気味でしかない。
 最前線というその場所なのだから。

 ―――――と思ったところであった。

「――――!!」

 唐突に現れた。
 それは軍団であり、敵である。
 少年は悟る、しかし、訝しむ。それは、自分の偵察していたそれではなかった。
 別の部隊であるのだが、しかしそれを悩んでいる暇はない。
 少年は、屋上の壁を蹴る。
 落下する間に、壁を蹴り、勢いを落としながら地上へと降りる。
 その際に、腰から引き抜いたナイフで一体を切り落として。

「――――敵襲!!!!」

 叫び、タナールの兵士に警告と、臨戦態勢を求む。

仮面の魔将 > 隊列に乱れが見える。
既に交戦を開始したようだが――敵は見る限り、一人。
ならば数で押しつぶし、砦の城壁へと迫るのみ。

『叩き殺せ』

短く命令する魔将の言葉通り、少年兵へとアンデッドたちが迫る。
新鮮な肉を求めるグール
錆びた武具を装備するスケルトン
そして放たれた猟犬――アンデッドハウンド
これらの不死者たちが、仮面の少年へと迫り、その肉を食い漁ろうとする。

その間にも、臨戦態勢を整えつつある砦へ軍団は迫る。

ゼロ > 仮面の少年は、周囲を見回す。敵、敵、敵、敵。
 大ぶりのナイフ―――グルカナイフでの二刀流では、少しばかり効率が悪いであろうと判断、しかし、群がってくるアンデッド。
 アンデッドハウンドは、鎧に包まれた足で蹴り飛ばし、スケルトンにぶつける。
 グールの爪をかいくぐり、その首をグルカナイフで切り飛ばし、そのまま回転の勢いで腹を蹴って吹き飛ばす。
 これでも、第7師団の末席として生きてきている。

 ――――それに、鎧と仮面には癒しの力が込められている。
 生きているアンデッドといって良い少年。

 スケルトンの槍が、腹部を貫いても。槍を抜けばその傷は癒える。
 故に、アンデッドを吹き飛ばし、殴り倒し、徐々に、徐々に、将軍へ。
 仮面の存在に近づいていく。

「おぉぉぉぉぉ!」

 吠える。
 声を上げて突撃することで、周囲の士気を少しでも上げるために。
 そして、ここに、敵がいるぞと、アンデッド共に伝えるために。

仮面の魔将 > 有象無象のアンデッドを蹴散らし進んでくる少年兵。

――あぁ、あの姿には見覚えがある。

周囲を取り囲み、魔将を守ろうとするレギオングール達を下がらせ、少年と対峙する。
ナイトメアに跨り、大剣を構えながら。
悠然と少年を見下ろし。

『――来てみろよ、ここまで』

ゼロ > アンデッドを吹き飛ばし、吹き飛ばし、砕いて進む。
 群がる彼らを物ともせず、グルカナイフでたたき切り、蹴り飛ばし、鎧の少年は、遂にそこまでたどり着く。
 将軍に近づくほどに兵の練度が上がり、一筋縄では行かなくなっていく。
 それでも、少年は戦争のために作られた生体兵器だ、全身の筋肉を震わせ、走り、殴り、吹き飛ばして。

「―――――」

 少し、開けた状態となる。
 目の前にはナイトメアにまたがった仮面の魔将。
 それは、以前に見た服装、見たことのある剣。
 先の将軍、オーギュスト・ゴダン将軍の格好であった。
 それを認識しながらも、少年は接近する。

 彼の剣の間合いの一歩手前で、少年は足を止める。

「――――」

 仮面の少年は、仮面の魔将をみやり。踏み込んだ。
 地面が凹み、すぐにトップスピードへ。
 速度を上げつつ、少年はグルカナイフを構え、懐に潜り込もうと、一直線に間合いを詰める。

仮面の魔将 > 目的に対してはまっすぐに。
なるほど、少年は変わりないようだ。

その剣を大剣で受け止めながら、力任せに少年に力をかけ、蹴り飛ばそうとする。
同時に大剣の柄を使い、腹をめがけて一撃。
足と大剣を同時に使う攻撃は、まさに戦場仕込み


軍団とタナールの兵との間で交戦がはじまる。
だが、一進一退。王国軍もだいぶこのアンデッドの軍団に慣れてきたようだ。

ゼロ > ギィィィィ……!!!と、金属が噛み合う音が響く。
 少年のグルカナイフが、魔将の大剣に阻まれてしまったのだ。
 それと同時に、向こうから力を掛けられ、踏みとどまろうと力を入れたところ、腹部に大剣の柄の一撃、同時に足の攻撃。

「―――ぐっ!」

 少年の選択は大剣の柄をガードする方を選択する。
 蹴りを甘んじて受けて後方へと飛び退れば少年と魔将の間に間合いができる。

「その戦い方、その格好――――貴方は。」

 少年は言葉を放つ。
 訓練の際に見たことのある動き、その格好。
 もしやと言う感覚があるが。


 しかし。襲って来るならば、敵である。
 少年は再度、走り出す。
 今度は直線と曲線を織り交ぜる、間合いを詰めるまでは先程と同じ。
 踏み込み、相手の件の間合いに入ったら、再度加速し彼の脇を抜け、スピンするように回転しながら、その背中へと横一文字でグルカナイフの斬撃を繰り出した。

仮面の魔将 > わざと蹴りを受ける事でダメージを最小限にして後ろに飛ぶ。
流石は第七師団の兵士だ。良い判断と言える。
魔将はにやりと笑うと――仮面のせいで口元は見えないが――ナイトメアから下馬する。

同時に襲い来る攻撃。
今度は直線的なものではなく、こちらの反応に対しフェイントをかける手法
――それも、見たことがある。

『――悪ぃなゼロ、今の俺は後ろも見えるんだ』

そのまま大きく大剣を振りかぶり、スイングの要領で後ろまで大剣を振りぬく。
大剣は回転しながら後方、少年が飛び込んでくる場所へと正確にヒットしようと唸りをあげ。

ゼロ > 相手は本気になったのか、間合いが離れたところで彼は下馬をする。
 ここからが彼の本気なのであろう、少年は冷静に分析するどんな時でも、冷静に、平静に。
 ただただ、感情のない機械のように、少年は攻撃し―――しかし、それはしくじった。

「―――な――――っ!」

 流石に、スピンをしての回転速度を持っての攻撃を強化したが故に、少年は攻撃を避けることができなかった。
 振り抜かれる一撃、それは少年をしっかりと捉える。
 強引に力でグルカナイフの軌道を変えることには成功し、なんとか大剣との間に挟むことが成功するが。

「くぁ、っ!!」

 大剣の勢いに少年は吹き飛ばされて、地面に転がることになる。
 そのまま倒れることはせず、そのまま回転しながら間合いを開き、ヘッドスプリングで立ち上がり体勢を立て直す。
 安々と、連撃を許しをするつもりは、ない。

「何故、貴方は敵となっている。
 オーギュスト・ゴダン将軍。」

 仮面の下、ぎり、と少年は葉を噛み締めながら、淡々と感情を抑え問いかける。

仮面の魔将 > 少年の言葉を聞き、魔将はゆっくりと仮面を外す。
そこにあるのは、確かにオーギュスト・ゴダンの顔だった――
ただし、瞳は赤く、肌は病的なまでに青白かったが。

「オーギュスト・ゴダンはキルフリートで死んだ。今の俺は、吸血姫ロザリアの求めに応じたただの不死者だ」

それ以上の説明は必要ないとばかりに。
今度は自分の方からと、大剣を構え、突貫する。
相手の構えに対し、こちらも真っ向勝負。一文字に大剣を振りぬく大振りの攻撃で

ゼロ > 「はは。苦労して、貴方に命じられた翼ある獣の情報を手に入れて報告したのに。
 もっとひどい報告を手に入れてしまうなんて。」

 仮面を外す男、それは、最後に命令を受けた時とほとんど同じで、しかし、赤い瞳、白い肌のアンデッドが、そこにいた。

「貴方には拾って、軍に入れて頂いた恩がある。
 それは忘れません。

 が、敵であるというなら。倒すのみです。


 敵戦力、強大也。
 敵軍戦力に対応するため。―――第一拘束術式、限定解除」

 迫ってくる、『敵』 
 少年は、自分の体を押さえつける鎖を解き放つ。
 本来は上の存在に許可を得て、行うべき儀式。
 しかし、今目の前にいる相手を前に、いちいち伺いなど立てられるわけもない。
 故に、少年は自分の判断で解除をする。

「第二拘束―――解除」

 びし、みし、と筋肉が、骨が、全身が軋む。
 仮面と鎧があるから、それで住んでいる、肉体の崩壊と、回復が拮抗している証。
 全身に痛みを覚え、しかし、少年は両手のグルカナイフを構える。

 少年も走りだし、踏み込み、地面を揺らし加速する。
 大ぶりの一文字に対し、少年は左手のグルカナイフの背を大剣の背に向けて振るい、ナイフの背の曲線で左の外側方面に、大剣をそらそうと
 同時に右手は遠慮模様者もなく右から左への横薙ぎで刃を振るい、その首を落とそうとする。

仮面の魔将 > ゼロの持つ、自爆とも言える強力なバフ。
これを相手にしてもなお、魔将の攻撃は止まらない。
右から左へのナイフの攻撃を避け、あるいは大剣で弾きながら。
一度距離を取る。

『――なぁ、ゼロ。ひとつ聞きたい』

そう、ここで彼と一騎打ちなぞ演じている理由。
それは、ある事を問いただす為だった。

物見のドラグニールが持ち帰った情報。
掲げられた第七師団の軍旗。

それらが意味するのは、第七師団がいまだ消えていない事を示す。
では――

『――誰が今の第七師団を指揮してる。俺と一緒に将校はほぼ死んだはずだぞ』

加速に追いつくために、こちらもヘイストを発動する。
我ながら、兵士を見る目はあったようで、魔の力を手にしてもなお苦戦する相手だ。

ゼロ > 仮にも、少年の軍団の長であったのだ、単純な身体能力では、彼の生前であれば、少年が勝つことができたであろう。
 技術で言えば、彼に軍配が上がる、今は、彼はアンデッドになり、強化されている。
 自分の奥の手を使い、そして、食らいつくのが精一杯というところなのだろう。
 弾かれ、そして、間合いが開く。

 そこで、質問が投げかけられる。その質問は―――。

「―――」

 少年は、仮面で隠した顔を、相手に向ける。その下の感情さえも全てなくしているかのように。
 答えることは、敵軍に情報を渡す事になるということだ。
 情報とは何か、戦略、戦術で一番重要なものである。

「―――全員では、無いでしょう。」


 彼が生前の記憶を持っているならば、その答えでもたどり着けるはずだ。
 そう、少年のように、旧とも言える第七師団で、生きているのはいるのだ。
 彼の下にいた部下たちで、師団を率いることができる存在がいるということを。

 ぐ、と足に力を込める。
 仮面は魔将の魔力の動きを捉えその魔術を分析する。
 加速の魔術に、舌打ちを一つ。
 追いすがるように、少年は走り、懐に潜り込み、格闘を仕掛ける。
 右、左、右と、柄を握ったままの拳を、フットワークで一撃ずつ微妙にずらしつつ。
 それこそ、機関銃のように拳を繰り出して、手数で削ることを選択する。
 ナイフだから選べる戦闘方法。

仮面の魔将 > ひとつひとつのダメージは大した事ないが、蓄積すれば鬱陶しい。
この身は水晶の谷の魔力でいくらでも再生可能だが、彼に構ってばかりいては、軍団の指揮が取れない。

現に、城壁間近まで迫ったアンデッドの軍団は、なすすべもなく守備隊により敗走しつつあった。まったく情けない。
こんな時に、あいつがいれば指揮を任せ――

ズキリ、と

魔将は顔を顰め、軽く頭を振る。
まただ。かつての記憶の一部。その部分だけがすっぽり抜け落ちている。

自分以外で第七師団を統率出来て、指揮を任せられ、記憶の隅に引っかかっている、誰か――

「――チッ、今日は負けか」

魔将は忌々しそうにつぶやくと、もう一度距離を取り。
そして、レギオングール達に合図する。

かつて、第七師団の直衛隊と呼ばれたオーギュスト直下の精鋭300。
その精鋭たちが、アンデッドとして出現し。
少年に向け、長銃を構える。

ゼロ > 連撃、攻撃、息をつかせぬ攻撃は、それでも彼を倒すには至らない。
 加速した大剣は的確に致命の一撃を防ぐように動き、有効打を当てられない。
 軍は指揮官の指揮の下動く暴力装置であり、将軍が貼り付けになり、支持ができなくなればその分実力は大きく下がろう。
 そして、砦には砦の指揮官がいるのだ、それに、今なら将軍もいよう。

「――――。」

 自分の言葉に、反応した。
 その反応は、少年にとっては意外であった。
 自分の知っている彼ならば、たどり着かなければいけないはずの答えなはずで。

「記憶が―――ない?」

 距離を取る彼を追うことをせずに。
 しかし次の瞬間に少年は切り替えた。

「銃撃がきます!砦へ!」

 大きく叫ぶ。
 それは自分のためではなく、周囲で戦う兵士のために。
 今ここで銃弾を打たれれば被害が大きくなろう。
 そして、少年はレギオングールへと向かう。
 かつて、仲間だったもの達へ。
 仮面の少年は冷静に、その刃を振るう。

 300を捌けるはずもなく、彼らが撤退する頃には、全身を穴だらけに。かろうじて生きているの少年が転がるのだろう。

仮面の魔将 > 魔将が去ると、すべてのアンデッドは砂となって消える。
彼が発した言葉の意味を知る者は――

ご案内:「タナール砦」から仮面の魔将さんが去りました。
ゼロ > アンデッドの軍団が砂となり消え去り。
 無事だった砦の兵により、少年は回収される。
 回収される途中に、少年の手により、封印はなされ、回復の効果が発動する。
 全て治るまで些かの時間を必要とし。
 彼が回復をしたあとには、報告に動くのだろう。

 現在の、第七師団のしょうのもとへ――――。

ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。