2018/11/12 のログ
ご案内:「タナール砦」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > タナール砦は今、人間側が占領をしているらしい。
然し、少女が居るのは反対の魔族の国側であった。
距離的には、まだ閉まった扉が普通に見える程度だろう。
今回は面倒そうな小競り合いに付き合う気で来た訳ではない。
普通に魔族の国へと砦を経由して入って行こうとしているのだ。

ぱっと見は、まるで魔族達を誘う様な囮と見えてしまうかもしれない。
だが、少女からは一切の怯えや恐れは感じられない。
見る者が確りと見れば、其の辺りは理解出来る事だろう。

「偶には何の気兼ねも無く面倒も無く入りたいものだ、本当に」

此処まで来るだけでも、砦の中での制止や質問を受けそうになっていた少女。
砦に居る兵士達の全員が全員、少女の素性を知る訳ではなかったからだ。
尤も、少女を知る兵士達も居たお陰でそこまでの面倒は起こらなかった訳だが。

ミリーディア > 『今だ大層な変化は見られませんが、此方に何か?』

尚も魔族の国へと歩みを進める少女だが、そんな少女にだけ聞こえる様な小声が向けられた。
其の小声の主は誰からも其の姿を見られる事は無いが、男性のものだ。

「そうか、分かった。
今回は其れを直に確認する事と、何か暇潰しは無いかと期待をして来てみたのだよ。
……此の様子ではハズレみたいだね。
此の侭、此方にしかない素材を回収して戻るとするさ」

何も無いなら何も無いで仕方無い。
少女は小さく肩を竦めてみせた。

ご案内:「タナール砦」にナルさんが現れました。
ナル > ガタガタと車輪の音を響かせ砦に一台の馬車が入る。
乗せられ運ばれてきたのは少女。いや、少女のような何者かだ。

「わざわざ私を探し出してまで今度は何を殺させたいの?」

少女はうんざりとした様子で御付きの兵士に声を掛けた。

『五月蝿い、ただの【兵器】風情が口を利くな。お前はただ黙って言われた敵を始末すればいいのだ。』

粗暴そうなその兵士は見た目に違わず偉そうな命令口調で少女の意見を封殺した。


そう、確かに私は兵器として作られた。その力を求められる事が私の存在意義(レゾンデートル)だった。だけど今戦場に戻ってきて感じるこの空虚な感じはなんだろう?そんな感情、私には搭載されて無かった筈なのに。

少女はその疑問に答える相手が居ないことを悟り押し黙っていた。

ミリーディア > 「……儂が定めた事に抵触した輩は始末したが、作られた存在は残った侭だった訳か」

不意に少女は其の男性に対してではない呟きを漏らした。
人間の国における非人的な魔術的技術の行使、少女は其れを表向きには規制していた。
当然、裏で幾らでも行使可能だが…其れを行った者達の先は如何なろうと知らないとして。
其の内の一つなのだろう、存在に気付けば少女の足は止まる。

既に魔族の国付近に近付いた少女の姿を見ていた者達は居ない。
其の姿が消えた事にも気付く者は居なかった。
消えた少女が砦に運ばれてきた馬車の前に姿を現わす迄は。

「ちょっと良いかい、君達?
其れが何で在るかを知った上で連れて来たのかね?」

果たして、其の少女が何者で在るかを、其の兵士達が気付けるだろうか?
否、其れ以前にどうやって現れたのかさえ、気付けるものなのか?
少女の素性と、其の言葉の意味を察する兵士が居るならば…
平然とした態度が取れるものか疑問な処である。