2018/10/17 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ゼロ > タナール砦、魔族の国とマグメールの中間地点、魔族の国からの防衛の要。
 日夜奪い奪われるその場所、今回は人類側の拠点として守られているらしい。
 魔族の国方面から、一人歩いて戻る一つの影は銀色の鎧を身にまとい、白い無貌の仮面を着けている存在。
 腰には大振りのナイフが二つ、背中には鉄の槍、それにバックパックとマントと言う旅装の存在に、兵士達が槍を構えるのは当然であろう。
 それを眺めながら少年は門の近くまで、警戒する彼らの前まで移動する。

「王国軍第七師団、偵察兵ゼロ、補給の為に一時戻りました。」

 誰何する兵士に少年は身分証と、前の将軍――オーギュスト・ゴダン発令の命令書を提示する。
 それの確認が終わるまで、荷物の検分を言い渡されてバックパックと武装を全て外す。
 仮面に関して問われるも、身分証に書いてあるとおりに、仮面は生命維持に必要でおいそれ外すことができないと説明する。
 検分が終わるまでの間、少年は砦を見上げ、仮面の下の目を細める。
 ここに戻ったのは何時ぶりか、懐かしくも思えてしまう。

ゼロ > しばらく待たされて、検分は終わる。そもそもの話、持っているのは自分で書いた大量の魔族の領地の地図、それと保存食、武器と野営道具、後寝具ぐらいな物である。
 門を通されれば少年はまず、現在の司令官のところに移動し、現状の報告と、補給の申請である。
 補給といっても、紙と、ペンにインク、後保存食である。
 補給の申請は、担当官に、と一辺倒な受け答えを貰い部屋を辞する。
 さて、補給官のところへ移動し、補給の手続きを終えてしまえば、それの申請が通るまでは休憩のようなものだろう。
 直ぐに出るか、少し時間がかかるかはわからないが、今回の部屋ということで割り当てられた場所へ行くことにする。

ゼロ > 部屋に入ると……やはり人手が足りないのであろう、ほかに使っている人間はいなさそうである。
 一人というのは仮面のこととか言われないので、気が楽である。
 とりあえず、荷物を置いて少年は一息つくことに。
 そして、一度水を汲んで戻り、タオルを濡らして鎧を脱ぎ、鎧と体を磨くことにする。
 しばらく鎧を磨いて、体もきれいに拭ってから、タオルを水で洗い、水を水場に捨てる。

「うん、変わってないな……。」

 数ヶ月で変わるはずもないが、ここはやはりどこもかしこも戦場の匂い。
 襲撃もちょくちょくあるのだろう、少年は小さく笑い、鎧を身につけなおす。
 そして、腹も減ったし、と食堂へと移動しよう。
 久しぶりに、腹いっぱい調理した食事が食べられると思うと、足取りが軽くなろうものである。
 こう……何がメニューにあるだろうか、少年はワクワクしっぱなしであった。

ゼロ > 食堂に到着してから、少年は書かれているメニューを眺める。
 補給の関係で毎回食事が一定ではないのである、それもまた、戦場らしいと言えばそれまでなのではあるけれど。
 少年はメニューを眺めてから、うん、とひとつうなづく。
 とりあえず、分量のとにかく多い定食をひとつ注文し、食事とトレイを受け取る。
 周囲を見れば、傭兵たちが酒を飲み、大声で笑い合っている。
 これもまた、この場所の特徴というべきだろう、前は、自分もこの傭兵と同じ立場であった。
 酒飲んで大騒ぎはしていなかったけれど。
 そんなことを思い出しながら、隅っこの方の席へと移動する。
 少年は済の方の席に座ることがクセになっていることを認識しつつ、仮面の下で苦笑。
 まあ、今でも人前で顔を出しながら食事ができないのだから仕方がない。
 人目のつかないところで、少しだけ仮面をずりあげて少年は食事を開始した。

ゼロ > もしゃり、もしゃりと食事を開始して。
 少年はたらふく胃の中に食事を落としていく、ここの食事でも十分ご馳走に感じられるぐらいには、粗食が続いていたのだ。
 そのへんで取った木の実とか、川で釣った魚を焼いただけ、とか、野生の動物を捕まえて捌いて、とか。
 こういう調理された調味料たっぷりのご飯とか、久しぶり過ぎて涙が出てしまいそうだ。
 満足するぐらいに大量に食べて、少年は軽く息を吐き出してからコップに水を汲んで一息に煽る。
 喉を潤す水にふぅ、とと息を吐き出しながら少年は立ち上がる。

 トレイを受付に返して、少年は部屋へと戻ろう。
 久しぶりに、ベッドで眠れる、ぐっすり眠ることが出来るだろう―――

ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。