2018/10/07 のログ
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
タマモ > とりあえず、色々とあったが何とか着きました。
そんな台詞を頭に浮かべながら、少女は魔族の国側からタナール砦を見詰めていた。

「ふむ…どうやら、今のところは人間側のようじゃのぅ」

そう呟く少女は、タナール砦からはこちらを伺えないような、少々森林に紛れた場所に居る。
今、魔族側から攻めるような者達が居ても、そうこちらの姿は目立たないだろう。
まぁ、今から目の前で争いが起ころうと言うならば…相手をしてみるのも、面白いかもしれない。
そうならずとも、ちょいと砦にちょっかいを掛けるのも面白いだろう。

そう、何もないのはつまらない。
それならば、いっそ何かを起こしてしまえ。
少女の思考は、そんな感じに傾いていた。

タマモ > 腕を組み、考える仕草。
雲に覆われた空と、目の先にある砦を交互に見遣る。
周囲に視線を移し、ふむ、と頷いた。

「よし、久し振りにあれをやってみるか」

ごそごそと、少女は袖に手を差し込み、漁る。
手を抜き出せば、その指の間には何枚かの折り紙。
すでに折った後のもので、その殆どは折鶴だ。
一つを手の平にのせ、力を込める。
独りでに折鶴は羽を広げ、ふわりと宙に舞い上がる。
それを確かめれば、二つ目、三つ目、四つ目と数を増やしていく。
幾つ目だろうか、手にあった折鶴がなくなれば、また袖の中から取り出し…繰り返す。

「さて、どんな反応を見せてくれるのやら…楽しみじゃ」

数十と浮かぶ折鶴を周囲に、少女はくすくすと笑う。
妖力を込めた折鶴、並大抵の攻撃では形さえ崩す事も出来ぬ代物だ。
その羽は鋭く、逆に攻撃に使った獲物がどうにかなるかもしれない。

とん、と地面を蹴り、それなりに太い樹木の枝の上に。
より砦を見易い、そんな位置取りだ。

タマモ > 「攻め立てる連中も居らんならば、妾がやるまでじゃな。
さぁ…行くが良い」

言葉と共に、右手を軽く薙ぐように振る。
それを合図に、周囲の折鶴が一斉に砦へと向かい飛んで行く。
大きく広がるように展開し、砦内へと入り込んで。
そう大きくない折鶴だ、余程に接近しない限り目立ちはしないだろう。

勘の鋭い者等は、その直前にでも気付けば回避は楽だ。
数がある分だけ操作が難しく…と言う訳でもない、そもそも、目的は悪戯なのだから。
もし、それに気付かない者が居れば…
その結果は、あれだ、武器も装備も、服さえも、切り刻まれてお終いである。
例え屋内でそれがあろうと、今の少女にはすべてが見える。
それは、この折鶴を介して周囲を見る事が出来るからだ。
ここで起こる光景を、のんびりと眺める…そう楽しませて貰おう。

ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > 今現在は人間の側が占領をしているであろうタナール砦。
魔族の国の側の扉が開けば、其処から現れたのは黒色のローブに身を包んだ一人の少女であった。
開く扉の奥には、数人の兵士がある者は複雑そうな、ある者は心配そうな表情を浮かべて少女を見詰めている。

「構わん、閉じ給え。
何か来たら儂が対処しておく、君達も気を張り詰めっ放しで疲れているだろう?
儂が調べものをしている間だけでも寛いでいてくれ。
後は……何かあれば伝えに来れば良い、遠慮なくな」

其の言葉にゆっくりと扉は閉められる。
少女の目的は名目上は最近此処を攻め立てているアンデット軍団の調査だ。
あくまでも名目上は、だが。
本音は最近賑わいを見せているタナール砦の様子を見てみたかっただけである。

「其れでは始めるとするかね」

其の位置からもう少しだけ距離を進める。
其処で足を止めれば、其の唇が小さく詠唱を紡ぐ。
詠唱の終わり、そして何らかの魔法の発動。
然し、其の発動した筈の魔法は誰しもが感じ取る事は無いだろう。

「成る程ね、色々と面白い事が在った様だ」

少女の呟き、其の表情は実際に何か面白いものを見て来たかの様に楽しそうな笑みを浮かべていた。

ミリーディア > 「人間で在っても魔に堕ちても変わらんか。
益々彼に対する興味が湧いてしまう。
矢張り次に手に入れたいと考えるなら彼の様な存在だろうね」

当初の目的は終わった。
とは云え、出て行って直ぐ戻ってしまったら後々面倒だ。
調査がこれ程迅速に終えれるなんて思われたくはない。
故に何かをしている様に見せる為に佇んだ侭で動かずに居た。
考えている仕草でも見せておけば十分だろう。
尤も実際に考えていても調査とは別の内容なのだが。

「だが決まった日に現れる訳ではないのが面倒な処か。
一応は監視でも置いておいて都合が合えば来てみるとしよう。
イグリス、聞いての通りだが頼めるかね?」

独り言の癖と云うよりも、誰かに聞かせている様な口振り。
然し、其れが本当に誰かに聞かせていたのだと理解出来る最後の言葉。
其れに答える術を持つ者は居ない様に見えるのだが…

『承知致しました、メフィストフェレス様』

少女の付近、何処からとも掴めぬ場所から聞こえる男の声。
其れが少女の言葉に応えた。
勿論、誰かが居ようともその気配さえ感じ取れない。

ミリーディア > 「後は稀に現れている九本の尾を持つ狐も連絡を頼む。
如何も違和感を感じて為らんからな。
他にも何か儂が興味を引きそうな者達が現われるかもしれん。
其の辺りの判断は君に任せよう」

其の言葉を終わりにし、少女は口を閉ざした。
どれだけ得ようとも尽きる事のない知識と云うものは本当に素晴らしい。
又あの時の様に為りそうな自分を抑えるのも辛いものだ。
興奮を胸に抱き乍、暫しの時を過ごしてから砦へと踵を返す。

此の侭何も無ければ王都へと戻るだけだ。
適当な調査報告でもでっち上げて何時もの部屋で寛ぎたい。
否、途中で九頭龍山脈の麓にある集落に寄って甘味を買って帰ろう。
そんな戻った後の楽しみを考え乍。

ご案内:「タナール砦」からミリーディアさんが去りました。