2018/10/04 のログ
ご案内:「タナール砦」にシュティレさんが現れました。
シュティレ > [お約束待機です]
ご案内:「タナール砦」にニアさんが現れました。
ニア > 「……人の物…人間の世の中、か
…でも、それじゃ生きづらくて溜まったものじゃない…人間の陰に怯えて暮らすのは……正直嫌だ…

魔族の国だって安全なわけじゃないでしょ……
あそこにだって、同族を平気で踏みにじる様な野蛮な連中ばかりだし……」

元々魔族の国出身だった彼女はあそここそ王都よりも危険な場所と知っていた。
だが同時に、強いものに付けば誰にも邪魔されず生きていくことだってできる。
だが、そんな生き方は彼女のプライドが許そうとはしなかったのだ。
せめて、自身を辱めた人間達へ何かしらの報復をと思い、今の盗賊をやっているが…それだって決して安全な仕事とは言えない。
しまいには、塒さえとりあげられてしまった身。
住まうところもなければ行く宛てすらないのである。

「…あ、あんまり言わないで……恥ずかしいから。
……観光案内なんて大袈裟な……そんな広い場所なの?

…っ、あぅ…………」

慣れない待遇に終始照れまくりの模様。
異種族の者にこれほど良く扱われたのは初めてだ。
優しいのや切ないので胸はいっぱいとなり、額へ落された口づけに上ずった声が漏れ……
そんなもどかしい感覚に
瞳には涙が溜まり、うっすらと朱月の色を映し出す。

「……会った時だけで、いい。
…………私は自分の一族に誇りを持ってる。
…だから、血族にはならないけれど、それでも……」

言葉は途切れ俯いた。
慣れない感情に心は揺らぎ、大きな溜息をもらす。
抱きしめられる感触が心地よく、触れる人肌にすっかりと甘えた態度。
撫でられる頭はすりすりと自らシュティレの手へ、すり寄る様な形で

シュティレ > 「残念ながら、それでも……一番勢力を持っているのは、ヒトなのです。
私も、血族として胸を張って生きては居たいのですけれど、ヒトはそれを許してくれません、一人でも全力で潰しに来ます、正しい判断ではありますが。
それならば、どうします?下の彼らのように、ヒトを駆逐するために襲いますか?」

ヒトに隠れて生きるのが、嫌だといいます。その気持ちは分かります、私も誇り高き血族がこそこそと、人に怯え隠れ生きるのは本意ではありません。
しかし、です、ヒトはその繁殖力、その技を伝える事で繁栄しております、今の世が何よりも力強い証拠なのでしょう、私は思います。
なので、問い返してみました、下にいる魔族のように人を駆逐するために襲いかかるのも方策としては、間違ってはおりません。
ただ、下の魔族たちは、さきほど彼女が襲われたとおり、粗野で誇りの欠片もありません、彼女がそのようになるのは、望ましくないと、私は思い、彼女の水色の瞳を凝っと覗き込みます。

「ふふ、褒められるのは、良い事ですわ。
私の国のお話ですけれど、城とそれなりの土地はあります、これでも私の国での身分ですが、伯爵位を授かっておりますの。
偶には帰りませんと、侍従たちに怒られてしまいそうですわ。

初々しくて、とても可愛いですよ。」

私は微笑みをこぼします。女の子は、感情を出したほうがいいのです、喜怒哀楽は、その子を彩る最高のお化粧とも言えましょう。
ほら、涙目で頬を染める顔は、赫月に照らされて、とても、とても美しくなっております。
きっと、世の男性が見れば、すぐに口説き始めてしまうのでしょう。

私は、彼女の頭を撫でました。

「それでよろしければ。私は、二ア、貴女の姉になりましょう。
そして、よく言い切りました、ニア。自分の一族に誇りを持つことは素晴らしいことです。
血族でなくとも、その意志の強さは、その誇りは、尊敬に値します。
その誇りを胸に、生きてくださいね、そして、困ったことがあれば、いつでも相談に来なさい。
私が、私の出来る範囲で助けてあげましょう。

―――血族、シュティレ・ズィゲルトーア。この名と、誇り高き血に誓う。
ニア・ドラグーンを妹と認めて、見守り、慈しみ、そして、真に困ったときには力になりましょう。

ただ。
姉というものになるのは初めてなので、至らぬこと多いと思いますが、許してくださいね?」

幼子のような、彼女。
私は彼女をもう少し抱き寄せてその頭を優しく撫でます。
安易に己を捨てない、その彼女の強さに感じ入りました。
ですから、私は姉になりましょう。

ニア > 「……そうね。
……いや、あんな風に惨めな戦いをするのは御免よ」

下で無意味な争いを行う魔族達。
あんな風に意味をなさない戦を続けること自体がこの世を歪めている原因ではないのか。
ただの支配のため、戦う者達を見て、彼女は無性に腹が立った。
自身の家族はあんな物のために命を落としたのだから……
復習をするならば、そこのは筋を通さねばならないし、それにしては多勢すぎる奴ら。
果たして奴らは何のために戦っているのだろう────

「ほどほどにして……いろいろと、持たないから……
…そうなんだ……待っててくれる人がいるって、いいわね。

可愛くなんて、ない……」

もう既に胸は恥ずかしさと照れでいっぱいになっていて
追い打ちのように浴びせられる言葉に、顔は真っ赤に熟れている。
と、同時に待っててくれる人がいる相手に羨ましさを感じた。
自身にはそんな相手は存在しないし、いたとしても、それはもう遠い過去の話。
独りぼっちでこの世を彷徨う彼女には、ちょっぴり寂しい現実だったりする。

だからこそ、こうやって頭を撫でられるだけで、猫のように…
否、どちらかと言えば犬か。
懐いてしまうのだ。

「……お姉ちゃん…悪くないわ……
……私も、姉なんていなかったから……でも、嬉しい……

シュティレも、種族に誇りを持ってるのね…
うん、何かあったら甘える…私は何もできないかもしれないけど……
シュティレも、私を頼ってね……」

姉妹とはどういったものかはわからないが、これも一つの絆。
ただ甘えるだけでは申し訳ない。
もし彼女が困っていたら手を貸そうと、ニアは誓う。

シュティレ > 「ニア、貴女は賢い子です。
貴女の誇りを胸に生きなさい、誇り高く生きていれば、今の状態でも貴女は輝いていますから。
ヒトに屈しているという事にならないのですから。

それと、覚えておいてください、彼らの行動は、間違い、ではない事を。
考え方の相違でしかないのです。」

結界に弱められ、それでも、人を駆逐し人の世を脅かそうとする事、それは、そういう反抗の仕方、抗い方なのである、そしてそれは正しいとも思います。
行動することに貴賎はない、貴賎が発生するのは意図にあるものなのです、私達が無意味に思うことは、彼らにとっての意味が有る事、そして、ヒトは正しく我らのことを驚異と思う、正しく理解させるための行為でもあります。
でも、彼女はそれに、嫌気を覚えているのが見えました、だから、彼らを擁護するつもりはありませんが、伝えるべきなのです。

「素敵な部分を褒めることは、やめられませんよ。
二アは、素敵な子なのですから。

あら……。でも、これからは、私が姉として貴女を待っていてあげますわ。

意地張ってはいけません。
それとも、先程辞めましたが……肉体を重ねて証明したほうが、よろしかったでしょうか?」

真っ赤な顔、それでも強がっている仕草に私は言いましょう、その仕草も可愛らしのですよ、と。
待っていてくれる人がいないというその姿、寂しさをたたえた雰囲気に、私は再度彼女の頭を抱きしめる手を強くします。
私があなたを待ちましょう、貴女の帰るべき場所になりましょう。
それが、姉の私の役割、なのですから。
もう貴女は、一人ではありませんから、安らいで下さい、せめて、ここでだけでも。

「ええ、血族は己の血に誇りを、相手に敬意を持って生きるモノですから。
ヒトの国で言えば貴族的という……には、この国の貴族は堕落しておりますね……そんなものなのです。
ふふ、ありがとうございます。人を探しておりまして、何かあれば、お手伝いをお願いしますわ。」

私一人では、探しきれないこともあります。警戒して逃げられることもあるでしょう。
それでも、彼女であれば見つけられるかもしれません、とはいえ、最後の手段、奥の手にしましょう。
私は、そんなために彼女を妹にしたわけではありませんから。

ニア > 「……ありがとう。
心配には及ばない。これでも、人間に堕ちるような真似はしない。
私は私の生き方があるから……

…ええ、そうね。
覚えておく……」

胸を張り、強く頷いた。
それは今は亡き一族へ捧げる祈りにも見えるか、
紅き月の光と彼女の赤髪がその決意を示すように、彼女には光が降り注ぐ。
例え孤独であろうとも、私は絶対に屈しないと言わんばかりに、そこには強い意志を垣間見せ。

もちろん、彼を全否定することはなかった。
ただ、あんな風に生きるのは嫌だと、これもまた彼女の意志か。

「……意地悪なお姉ちゃんだこと。
…シュティレも十分素敵だよ。ほんと…

ほんと…?
嬉しい……なら、辛いときは貴方の元に帰るわ……
毎日、毎日……寂しくなったらシュティレのとこに帰るよ……

……っ、いいよ…
シュティなら、シュティレなら……そうしてくれても、構わない」

まるで母親の腕の中にいるような温かい温もりにうっとりと、
癒されているかのような柔らかい表情を浮かべ、強く抱きしめる。
帰る場所が、自分にもあると思えば何も怖くないと、
どんなにつらくても歩いていけると、訴えるように…

遂に彼女は姉からの深き愛情を求め、微笑みを見せた。

「確かに、この国の貴族は……ロクな奴いないわね…
例外もあるけど、その人を除けば憎しみしか向けられない……
だから、そんな風に相手に敬意を向けることのできるシュティレが凄く羨ましい……

人探し、か…
あまり宛にはならないかもしれないけど、力になれそうなところは力になる……」

それはどんな人なのかはわからないけど、
シュティレでも手を焼いてる存在なのだから自身に見つけることはできるだろうか。
そんな思いは片隅にでも置いておこう。

シュティレ > 「ふふ、それと、私は、ヒトのことそう軽蔑しているわけではありません、彼らには、彼らの見るべき所、すばらしいと思える場所がありますから、ね。
彼らの成長すること、それを伝えること、それは認めているのです。
ニアは二アの生き方を、しっかりと進んでくださいね。」

彼女は大丈夫だと私は思いました、いろいろ不安定なところもありますけれど、それでも、誇りを胸に自分を見失わずに生きていけると確信します。
その強い意志を見せる姿は、私は潤い、素敵なものを久しぶりに見て目を細めてしまいましょう。

「妹のためであれば、意地悪にもなりましょう?素敵な淑女にしませんと。
ふふ、ありがとうございます、精進しますわ。

ええ、ええ。どうぞ何時でも。
私は、マグメールと、魔族の国に家を持っております、何時でも、帰ってきていいのですよ。
それと、これを。」

私は、鍵を二つ具現化します、それは、マグメールと、魔族の国、それぞれの家の鍵です。その鍵の頭には白い満月を模した宝石がはめ込まれております。
それを、彼女に差し出して言いましょう。

「これは、私の家の鍵です。いつでも、帰ってきなさい、家の中のものは自由にして構いませんから。
そして、その月が赫く光っている方に、私はいますから。」

逆に言えば、一人で居たい時は赤くない方の鍵を使っていればいいのです、と追加説明してみせましょう。

「あらあら?姉妹になったのに姉と交わりたいのですか?
罪作りな妹ですこと、ニアは。ふふ、受身ではなくて本気で、ニアから求めてきた時には、その時は近親相姦致しましょうね。」

微笑む妹の顔に、女は笑ってうなづいてみせる。エッチなことに関しては戯れ半分で答えておきましょう。
彼女は受身の姿らしいので、そんな彼女が本気で求めてくる時に、ちゃんと答えを出してあげましょう。
そもそも、私と同じ種族ではないので、女同士は普通に忌避するモノのはずですし。

「逆を考えてみましょう。私は、この国の貴族の堕落に目を潜めてますが、ただそれだけです。
無関心、これが一番正しい答えでしょう、何も感じていないから、憎しみも向けることがない、故に見るべきところは見えるのです。
ニアほどに、ヒトを見ていないのですよ。

人探しは大丈夫です、無理はしないでも、私も急いでいるわけではありませんし、そろそろ仕事としての人探しは終わりに近づいておりますから。
それに、私の血族ですから、その気になればすぐに捕まります。」

そう、私は、個人を見ておらず種族全体でしか見ておりません、感覚で言えば、アリが歩いてるのを見て、その一匹を注視するかどうかというレベルのものです。
彼女はそれをして、私はしていない、その違い、でしかないのでしょう。
探し人に関しては、今は巧妙に隠れているだけですが、時間の問題ですからと、笑いかけてみせましょう。
ええ、そうです、その気になれば見つけるのは容易いでしょう、と安心させてあげます。

ニア > 「貴方なら、人間と魔族を繋ぐ架け橋になりそうね……
ええ、ちゃんと生きるわ……貴方のためにも」

シュティレは人間のいい面もしっかりと見ている。
だから、こんなにも慈愛の心に満ち、他人を受け入れることができるのだろう。
自分には決してできないことだが、別にそれになりたいとも思わなかった。
何故なら、未だ人間達を許すことができないから……
この心がいつか晴れる日が来るまでは、自分を失くさぬようにと、シュティへ尊敬の念を向けて。

「むぅ……でも、そういうところも素敵だわ。
……見習えるかはわからないけど…血族の妹として恥じないように…

でも…迷惑じゃない?
なんだか、私ばかりが……申し訳なくて……」

具現化された二つのカギを受け取ると嬉しそうな表情を浮かべるが、その反面少し申し訳なさを感じた。
少々あさましい気もする自分の言動を気にしつつ
遠慮なくと紡ぐシュティレの優しさに甘えてばかりな気もするが…

「……きっと、赤い方にしかいかないわ。
…こう見えて、寂しがり屋だから…私」

俯きながら呟く。
その行動には照れ隠しと、やはり少々の申し訳なさが含まれ
言葉も何処かぎこちない。
完全に遠慮しまくりだったりしているわけで。

「……そ、そういうこと言うからっ…
…なら今度、貴方の家で……そこなら、私は何も気にせず姉である貴方を望む……ここは、気が散ってそれどころじゃないし……」

お預けを食らってしまった妹ことニアは不満そうな顔を浮かべるものの
嬉しそうに微笑んでいた。
こんな風に冗談を言ってからかってくる相手は今までいなかったし、それも姉妹としての戯れならこんなにも暖かいものだと教えてくれた。
だから、きっと、求めるときは本気で愛し、相手を望むことだろう。

「…それはそれで賢いと思う。
……でも、私はどちらかというと私情を挟んでしまうから……
火の中に飛び込む虫の様なものかも……

…でも、力にはなりたいから……
もし何かあったら言ってね」

人に無関心と語る姉に対し、それはそれで羨ましいとも思った。
なんせ、彼女が過去が過去なため、人間を見て見ぬふりすることができないのだ。
それでも何とかうまくやっていこうと生きてきたが、どうにも納得のいく答えは出ない。
人を、人間を目の敵にしてきた10年間はそうそう拭えるものでもなく……

人探しの方は微力ながら協力するという感じで話はまとまった。

シュティレ > 「ええ、ええ、成れるのかもしれませんね、でも、ダメです。私はそういうことをする程ヒトに肩入れをするつもりもありませんし、彼らは彼らで生きていればいい、平行線のままがいいのです。
大怪我とかしてみなさい、問答無用で連れ帰って治しますから、ね。
許しませんから。」

彼女の提案には、首を横に振る。出来るのかもしれない、でもする気は起きない。自分の存在はそういったものではないのだ、人から見て異質な存在であるのだから。
だから、出来るとしてもしない、それが一番良いのであろうから。穏健というわけでも、過激というわけでもない。
一介の伯爵位――――懲罰官なのだから。

「嬉しいです、妹に恥じぬよう、もっと引き締めないといけないわ。

ええ。ええ。迷惑なんてとんでもない、妹が家にいることを迷惑に思う姉がいますか?家族は、ひとつ屋根の下にいるものですよ。
申し訳ないと思わないで、ニア。
それに、姉妹となったのなら、お互いを知るために語り合う時間も必要です。一番良いのは、家で食事をしながら、でしょう。」

申し訳なく思う必要などないのです、気にしてはいけないですよ、と笑って、頭を撫でてあげましょう。
今まで甘えられなかったのなら、その分しっかりと今は甘えておきなさい、と。

「ニアの、思うがままに。それでいいのですよ。」

俯いてつぶやく妹に、悪いことじゃないのですから、と笑いかけて、頭を撫でる。
遠慮なんて必要はない、いつでも開かれている、その証拠がその鍵なのだから。

「……ふふ。
甘えん坊さんですね、ニア。ええ、ええ、では、おうちにいるときは身を綺麗にしておきませんと。」

不満そうな顔はすぐに笑顔にかわりました。彼女の冗談ということなのでしょう。
穏やかな時間は私にも心地よく、笑顔がこぼれてしまうます。
可愛らしい妹のじゃれる姿は、本当に愛おしいと思います。

「ニアの人生ですもの、ニアの思うままに生きなさい。
迷うとき、悩む時には相談してヒントをもらうのがいいのです。
生きていれば私情を持つこともありましょう、それが、役目の妨げにならなければいいのです。
私だって、私情を持って、貴女に声をかけて、手を指し伸ばして姉になりましたから。

ええ、ええ。その時になったら、いつでも遠慮なく声をかけさせていただきます。」

彼女は、感情が強く、感受性も強いのでしょう、だから、憎しみがあると言え、人に関わろうとする。
さきほど言っていた、一部の例外という言葉、おそらくは人が困っているのを見捨てられない娘なのでしょう、憎らしい貴族であろうとも。
そんな、娘が妹なのを誇りに思い、私は彼女を見ます。

彼女は、憎しみを持っていても絶望はしていないのだと。
それは、とても素晴らしいことで、先程も思いましたが、彼女の強さ、なのでしょう。

ニア > 「…まあ、人間はわからずやばかりだし、仕方ないかもね。
私達は私達、人間は人間と、放っておいたら平和になるのに……上手くいかないわね…

わ、わかってる…」

互いに干渉しあわなければ争いなど起きない。
でもそれは現実的に考えすごく難しいことだった。
魔族は人間を襲うというレッテルを張られてしまった以上は、この先もずっと、彼等との争いは止まぬことだろう。

「…シュティレはもう十分素敵だと思うけど……

そう……なら、良かった……
ええ、そうね…私ももっと貴方のことが知りたい」

この国に来てから誰かと共に食事を過ごしたことなんてあっただろうか・
そんな素敵なお誘いに、妙に心は高鳴ってしまう。
迷惑ではないと、ちゃんと妹として受け入れてくれる相手に対し、悦びを…
その言葉通り、更に甘えるかのように、体重全てをシュティレへ預ける。

「…お姉ちゃんに甘えるのが妹の仕事、じゃない…?
…それに、ずっとこんな風に甘えられる人なんていなかったし……」

身体を密着させ、思う存分相手へ甘える。
すりすりと頬ずりしたり、時には抱きしめる力を強めて見たり。
こんな風に過ごす一時はとても幸せな時間であった。

「ありがとう……
だったら、そういう時相談するのはきっと…シュティレだわ。
貴方なら、素敵なヒントをくれそうだし……何より私がそうしたいって思ったから……
貴方が姉になってくれたように、私も妹になりたいと思って、今こうしてる。
だから、その時は……助けてね……」

命の恩人ではなくとも、心に光を灯してくれたのは確か。
そんな相手と姉妹となり、続く夜に戯れを──
自身の生きる理由として、それはシュティレと姉妹となったこと。
それだけあれば、少なくとも、自分が壊れることはないと思った。
もしそうなってしまった時、きっと姉が自分を救ってくれると信じて

シュティレ > 「それに、わからず屋なのは、ヒトに限ったものではありませんわ。
私達には、私達のルールが有り、それはヒトと相容れないものでありましょう。
ニアの言うとおりに放っておいてくれれば、絡まなければ、何事もないのでしょうね。」

彼女の言葉は悲しい事に現実には難しいことです、既にこう絡み合い、敵対しているのですから。
私は、何とも言えずに、視線を落とし、魔族を見ます。レッテルだけではないのでしょう。
私と違う吸血鬼の中には、血を吸わねば生きていけぬ種もあるので、間違いとは言い切れないのですから。

「満足は停滞を産み、停滞は、退化よりも……恐ろしいものですわ。

ええ、ええ。嫌いなものや、食べられないものまずはその辺からですかね?
故なき好き嫌いは、許しませんけれど。」

食事を共にするに当たり、食べてはいけないものがあるかどうかは、先に確認しておくべきでありましょう。
私は何でも食べることができますが、味がわかればいいので少食の部類です。血を飲むと言うのもそれは間違いで周囲に漂う精気をいくばくか貰えればずっと生きていられます。
食事は娯楽でしかありません、逆に彼女はそれが生命をつなぎ止める行為。
なので、食べてはいけないもの以外は、好き嫌いはさせないようにしましょう。
身を寄せる妹を抱き寄せ、よしよし、となでて笑いましょう。

「妹としての仕事は、そういうものでしょう。だから、いっぱい甘えて、いっぱい辛いことを吐き出してくださいな。」

受け止めて、それをなくしてあげますからと、強く抱きついてきてくれるニアの髪の毛に唇を落とします。
甘えん坊ですね、と私も嬉しく思いながら彼女を眺めて言いましょう。

「いいえ、いいえ。気にしないで。
私の知識がなにかの助けになればいいのですけれど。
でも、あまり買いかぶられてしまうと、勉強が大変になりそうですね、ふふ。
困ったときは、いつでも助けます。大丈夫、貴女の姉はそれなりに色々なことができますから。」

他人と寄り添う、ついぞ長い間していなかった事であり。
私の胸に温かいものが満ちます、彼女の為に、私は頑張らないといけませんね。
心を新たに私は妹の体を抱きしめます。

ニア > 「……少なくとも私達の一族は人間に敵対されるようなことはしてこなかったけど…。
きっと、そういうわけじゃないんだろうね…」

もちろん、無理な話ということは承知しているし、どんなに願っても今の状況を変える手段なんてありはしない。
けれども、それでも…
自分たちには干渉しないでもらいたかったと言わんばかりに、人間達を見下ろした。

「…なるほど…ね。
上を求め続けるのも悪くはないかも…

食べられない物も、嫌いなものもないよ…
食べず嫌いなものはあるかもしれないけど……」

一応魔族の国にいた頃は肉も野菜もそれなりに摂取していたし
きっと食べれないものなんてないはず…
食べたことのないものに関しては何とも言えないが、人間の食事はどれも好きで、本当に美味だと感じる。
シュティレの腕の中で撫でを受けながら、シュティレが作ってくれるならなんでも食べると呟いた。

「…ふふっ、ありがとう……大好き…」

シュティレから感じる愛情は懐かしさを持ち合わせている。
それは家族から受けていたとても大きくて暖かい、心から安心することができる穏やかなもの。
だから弱さを曝け出し、甘え浸ることができるのだろう。

「勉強なんて要らない
もしその時が来たら、甘えさせてくれればいい……
…それが解決へとは導かなくても、生きる理由にはなるから……
ええ……ありがとう」

これまでにないほど、べったりとくっついて離れない。
子供のようにひたすら甘え、心の穴を塞ぐように……