2018/08/08 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 流石に、あれから、丸一ヶ月が過ぎている。任務は完了どころか、毛筋ほど進んではいないけれど、中間報告はしなければなるまい。そう考えた後に、少年はタナール砦へと戻ってきていた。
 一ヶ月間と言う期間ではあるが、離れていたのでタナール砦の姿を見れば懐かしさまで感じてしまう。
 今は、タナール砦は人間の軍勢……我らが第七師団が駐留しているのを見て、軽く安堵のため息。
 仮面も、鎧も、武器も防具も、何もかもがドロドロである。あとで洗おう、と珍しく思う少年。
 驚き戸惑っている門番に近づいていき、その目の前で止まる。

「お疲れ様です、第七師団偵察兵ゼロ、任務の中間報告に戻りました。
 つきましては、いま現状の指揮官にお取次ぎ頂きたく。
 あと、食料と紙の補給を願います。」

 驚き、戸惑っている師団の兵士、そういえば見たことのない新兵だなあと思う。
 現状の指揮官と言ったのは将軍は基本忙しい方である、ここに駐留してないことも多い、なのでいま現状の誰か、でもちゃんと報告すればいいだろうとの考えである。
 新兵に対して何も言わなかったのは軍でもあるし、兵士が新しく入ることは不思議でもない。
 二人いる片方が慌てて奥に移動し、その間大人しく荷物検査などを受ける。
 真面目に仕事しているようで、少年は仮面の下で自分の門番の時をを思い出していた。

ご案内:「タナール砦」にサヤさんが現れました。
サヤ > 今は人の手にあるタナール砦。
守るのは精鋭の第七師団とはいえ、周辺の巡回にまで手が回らないのか傭兵にも仕事が回ってきていた。
久しぶりのまともな仕事を逃さすわけにもいかず。
受けた依頼である巡回警備から戻ってくれば見知った顔が門の前で入門の手続きをしている姿が見えて。

「あれ、ゼロ……久しぶり、だね」

今しがた任務から戻ってきたのだろう。
汚れが目立つ鎧をまとう相手に近づけば声をかけて小さく首を傾げ。

ゼロ > 「サヤ?」

 暫くの間……というよりも入念に行われている気がしなくもない。
 魔族の国からの帰還者だからだろう、すり替わったりしてないのかとか、死んでないのか、とかいろいろとされていた、分かるところだったので、受けていたのだけれど、かけられた声に驚いて、視線を向けた。

「サヤ、久しぶりだね。……元気だった?」

 近づいてきた相手に、仮面の少年の声は喜色を滲ませる。
 長い間魔族の国に移動して、仕事をしていて戻ってきたら知り合いに出会えた。
 嬉しいことこの上はなく。
 そして……それと同時に漸く身体検査などが終わり、許可を得る。

「サヤ、少しだけ待っててもらっていいかな。
 今、任務の中間報告に戻ってきただけだから、一旦行かないと。
 とりあえず……食堂で落ち合おう?」

 もう少し話をしていたいところだけど、先に済ませないといけない事がある。
 なので、後で落ち合いたいと伝えた。

サヤ > 「ん、わかった。待ってる」

こちらも当番の仕事を終えてきたところ。
急いで何かしないといけない用事もなく相手の言葉に小さく頷き。
自分も門番に入門の手続きを行えばこちらは出ていったときにも挨拶していることもあってすぐに終わり。

「じゃあ、先に行ってるね」

報告の用事があるという相手に軽く手を振ってから先に食堂へ向かい。
軽い軽食を済ませ、飲み物を飲みながら相手がくるのを待つことにして。

ゼロ > 「ありがとう、後で。」

 待っていてくれるという相手に少年は感謝を紡いで先ずは報告のために歩く。
 今は部隊長……伝令の隊長に取り次いでもらう。
 そこで、衝撃の事実を聞くことになった。
 前回の遠征の失敗と、壊滅。オーギュスト将軍の死、組織の再編、サロメ副団長が、将軍に昇格したこと。
 それに驚愕しつつも、オーギュスト将軍から生前受けた任務に関しては、何も言われず。
 今の将軍からも通達はない、それに、偵察は重要だということで、改めて任務や配置の変更が言い渡されない限り、そのまま偵察して欲しいとのこと。
 それに了解をしながら、今まで書き溜めていた魔族の国の地図を伝令隊長に渡す。
 サロメ将軍に渡して欲しい、と頼んで。
 さらに、新たに筆記用具と紙や保存食などの補給をお願いし、退出する。

 そして、彼女が食堂で待っているので、食堂に戻ることに。
 急いでいたから、まだ、汚れとかは拭ってはいないが常時戦場のここだ。
 それでも気にするものは少なかろう。

「ごめん、サヤ、お待たせ。」

 食堂に戻るなり、飲み物を飲んで待っている彼女に近づいて、声をかける。

サヤ > 「大丈夫、待つのはそんなに苦じゃないから」

報告を終えたのだろう。
食堂に現れた相手に顔を上げれば口元に笑みを浮かべて頭を小さく振り。

「それにしても最近正規軍も忙しいみたいだね。ゼロとも王都でまったく会えなかったし」

急いできてくれた様子の相手を新米するように少し眉を下げ。
詳しく知ることはないが一時期首都警備の仕事が激増したこともあり、傭兵の間では軍の人で不足は噂になっていた。

ゼロ > 「ありがとう。」

 大丈夫だと言ってくれる気遣いに少年は軽く笑い、お礼を言うことにする。
 彼女の前に腰を下ろし、自分も、と食事と飲み物を注文する。

「ああ、あれから配属が二回変わったしさ。
 王城の警備になったり、今は魔族の国方面の偵察だよ。
 あと、ようやく訓練兵じゃなくなったというところかな。
 しかし、サヤに手紙出したのに連絡つかなかったし、こっちも心配してたよ。
 今、見る限り元気で良かった、と思うけど。」

 彼女は彼女で色々あるのだろう、でも、様子を見たところちゃんとやっていられているようで安心する。
 職にも付いているみたいだし、元気そうだな、と仮面の下で目を細めた。

「しかし、タナールか……俺たち正規兵が不甲斐ないからとも言えるよな。」

 彼女が傭兵としてここにいる。
 それは軍人だけでは足りてない証拠、つまり、自分らの手落ちである。
 少し申し訳なく思い、少年は声を落とす。

サヤ > 「あぁ、ごめん。私もちょっといろいろあって。
ゼロに助けてもらったのは良かったけど、やっぱり信用って戻るものじゃないしさ」

相手の手紙のことを言われると申し訳なさそうに笑みを浮かべながら髪を耳にかき上げ。
長く王都を離れていたらしい彼は今の自分のことをどれだけ知っているのだろうか。
貧困地区でのこと、今のメインの依頼主のこと。
どれも表の世界でまぶしいほどに活躍している様子の相手には自分から言いだす勇気は持てそうになかった。

「まぁ、人の足りてないところに必要な時に雇えるのが私たちだから。
気にする必要はないと思うけど」

責任は全くないにも関わらず暗い様子の声を落とす相手を励ますように言い。

ゼロ > 「いいや、大丈夫、元気にやっていてくれればいいんだよ。
 信用は自分で積み上げるしか無いのもわかっているし、崩れたら戻すのは大変だしね。
 今、元気だと分かっているから、さ。」

 彼女の言葉に、少年もまた気にしてないよ、と声を返す。
 彼女が何をしていたのか、何をしているのかはわからない、手を差し伸べた人間だとして、彼女を救っただけで放置することはできやしない。
 最後まで、面倒を見る義務が有る、と少年は考えている。
 彼女が自分でやっていければいいのだ、過度な干渉はしないほうがいいとも。
 彼女が言えないのであれば、それを知る機会は、きっとないのであろう。

「はは。……ありがとう。」

 励ましてくれる声に、少年は返答をして久しぶりに彼女のことを見て思い出す。
 彼女と激しく交わったりしたこと。

「……っ。」

 そして、ずっと禁欲生活だったこと。
 しかし、今は彼女も仕事として、傭兵として来ているので、求めるのは違う気がした。
 とりあえずごまかすように仮面を少し上げて、食事に集中することに。

サヤ > 「どういたしまして」

乾いた笑いとともに礼を言われれば肩をすくめて返し。
唐突に無言になって食事に集中し始めた相手に軽く首を傾げ。
どうしたのだろうかと少し考えるが、忙しい日々に重なった短期での偵察任務。
男になれた今の自分であればおのずとすぐに答えは出て。

「ねぇ……女の傭兵には別の契約もあるの、知ってる?」

身体を乗り出すように肘をテーブルにつき。
顔を相手に近づけて声を落として囁くように相手につぶやき。

「夜は、兵士の情婦になる事、私はそれにサインしてるの」

もちろんそれは第七師団将軍の指示ではない。
ここ最近の戦で増えた新兵の士気維持もかねて別のところからの依頼であった。
戦場から近い砦に娼婦を送るわけにはいかないため、こういった依頼はままあるものだ。
それを含ませながら相手にどうするか問いかけるように仮面の向こうにある目を見て。

ゼロ > 意識して、食事に目を向けてがっついていたところに、かけられる声。
 彼女の言葉の内容にビクン、と少年の身は震えた。
 察したのだろう、多分。しかしそれに甘えてもいいものなのだろうか。
 少年は食事の動きが止まってしまう。まあ、バレバレなのであろう。

 ゆっくりと、顔を上げ、彼女に視線を合わせる。
 無謀の仮面は、目の部分も空いていないけれど、彼女に見透かされているような気もして。
 迷うように、仮面の下で口が動き、閉じて。
 しかし、結局彼女の方から言葉を放たせているのだ。

「―――抱かせてもらって、いいかな?」

 彼女から言い出したことでもあるけれど、ここで何か言うのは彼女に恥をかかせることとなるだろう。
 それに、彼女に欲情し、抱きたいと思っているのは間違いない。
 だから、願った。

サヤ > 「うん、いいよ」

自分の言葉にわかりやすく反応を示す相手。
自分から、そうだという勇気はなくても相手にそういう生き方でることは察せられることはできるだろうか。
相手の言葉に小さく頷いて身を引けば食器を乗せたトレイをもって立ち上がり。

「砦の奥、元々尋問室に使ってた場所がいまはそれ用の部屋になってるから。
そこで待ってるね」

傭兵一人一人に個室があるわけでもなく。
相部屋でやるわけにもいかないので専用に用意された部屋の場所を伝えれば一足先にその場に向かって歩き出し。

ゼロ > 彼女は、すぐに了承して、トレイを持って去っていく。
 一度それを見送ることにし、食事を済ませてしまおうと、食べ始める。

「……そっか。」

 彼女は性を生活に取り込んだのだろう。それを察することができた。
 そして、それを使う自分もほかの大多数と同じなのだろうことが分かる。
 それよりも。

「尋問室が……か。」

 尋問室をそんなふうに使うなよと言いたいが、他に無かったのだろう。
 将軍は知っていたのだろうか、多分ここの現場指揮官どまりなのだろうなぁ、とか。
 自分も今から使うから何も言うことができなくて。

 とりあえず、食事を終えてトレイを返し。
 彼女が待つ部屋へと移動することにした。