2018/07/07 のログ
影時 > 「ここまで散々なザマだと、本当に砦全体に火ィ放ちたくなるな。
 駄目か? 駄目だろうなァ」

今は兎も角、戦闘後は酷い様になるのだ。
敵味方の骸が区別なく折り重なる情景とは、それだけで気が弱い人間は泡を吹いて倒れることだろう。
故に互いの足を引っ張るしか能のない貴族共を纏めて引っ立てて、この様を見せてみたくなる。
否、それで何か変わることはあるまい。
此れ位で改心する程、生易しいものではないのは仕事として色々と行う中で、よく知る処だ。
ぼやきながら、カンテラを拾い上げて開けたままの蓋を閉じる。

「……嗚呼、事が済めばもっとマシな空気で酒呑みつつ女抱きてェな。
 慣れたにしても、ずっと吸っていたい空気じゃねえぞ。」

最早、この付近に漂う空気とは雑念混じりの瘴気と化していないだろうか?
そう思わずにはいられない位に、酷いものだ。
足音は低く、静かに砦の壁の上を歩みつつ思う。食事は砦の外でなければ、摂るのが儘ならないものが居る位に。

影時 > 「……確か、井戸は無事らしいからな。
 そこから水を喚んで、澱み流して――否、再度無事確かめて、蓋しておくように具申しとくか」

どうせなら、砦内の見取り図を用意して問題個所を記していった方が早いだろうか。
否、余計な世話で有ろう。己がやっていることも結局、その程度でしかないのは自認済みだ。
しかし、だからといって唯々穢れが溜まって行くままというのは、守る以前の問題にもなりかねない。
特に報酬が出るワケでもない、いわばボランティアめいた活動である。

次、襲来があった際に備え、直ぐに退いても困らないように最低限守るべきものを守る。
その程度の意見具申と具体的な対策実施程度は、やってもいいだろう。
砦の生命線となるべき井戸に屍を投じられることを遣られると、それだけでも碌なことにならない。

「……さーて、次往くか次。集めた屍も焼いておかなきゃならん」

俺、坊主のマネできんってのに。そんなぼやきは絶えず、止める気もない。
取り除けない位置にあるものやら何やら、見つけうる範囲のものを焼き払い、清めて魔除けと匂い消しの香を焚く。
それだけでも、次に立て籠もる面々にとっては多少楽になるだろう。そう願いつつ――。

ご案内:「タナール砦」から影時さんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
タマモ > タナール砦、その屋上に立つ見張り台…
ではなく、少女が居るのは砦を囲む壁の上だった。
こんな時間だ、壁の一角にぽつんとある影なんぞ目立つものでもないのだろう。
そんな場所で、少女はごろりと寝転がっている。

なぜ、少女はこんな場所に居るのだろうか?
…別に大した理由はない、最近の賑わいの様を見学に来ていたのだ。
考えてみれば、湧いてくるのは不死者らしい。
日の昇った日中に来る訳が無い、なのにうっかり早く来過ぎてしまった。
目立たない壁の天辺の一部を陣取り、持ってきた酒に肴に舌鼓を打っていた。
邪魔?そんな事は知った事ではない。
そんなこんなで、今はこんな時間なのだ。

「今日は…このまま、静かに終わるのかのぅ…?」

はふん、溜息。呟きながら、ごろりと軽く転がった。
大丈夫、大きく転がらない限りは落ちない…多分。

タマモ > 「まぁ、少しばかり暇潰しでもしてみるか…?」

寝転がったまま、ごそごそと袖に右手を突っ込んで漁る。
そこから取り出したのは、数個のビー玉だ。
軽く握って力を込め、壁の上から手を伸ばし、ぱらぱらとビー玉を落とす。
与えられた力によって不壊となったビー玉は、何事もないかのように地面に落ちる。
そして、何かに操られているかのように、ころころと転がり始めた。

再びぐてーっと壁の上で寛ぐ少女。
その周囲にいくつかの映像がぽつぽつと浮かぶ。
かなり目線の低い位置…それこそ地面の上から、見上げるような光景。
そう、それらはビー玉から映し出されていた映像だった。

ちなみに、動くものが近付いたら止まるようにしてある。
誰かがたまたま見ようとも、ビー玉は見える景色の一部と化しているだろう。
遠くから眺められていたらばれるかもしれないが。

いや、そもそも壁の上に居る少女自身、いい加減にばれるかもしれない。

タマモ > よいせ、と軽く上体を起こす。
遠く見える魔族の国、それをのんびりと眺めてみた。

「あれじゃな、いい加減互いの領域を侵さねば良いものを…
妾からすれば、どっちもどっちじゃろうにと思ってしまう。
そんなに一番が良いのか…まったく、愚かな事じゃ」

ぐーっと伸びをして、くぁ、と欠伸を一つ。
次いで砦内へと視線を向け、同じように眺める。
うん、あれだ、今日は平和な一日でした?
まだ今日は終わっていないが。

タマモ > 視線を砦の中から魔族の国へ、また砦の中へ、何かないかと交互に移す。
砦の中を転がしている、ビー玉にも面白そうな反応は無い。
少女は腕を組んで考え始めた、今日は素直に引くべきなのか、と。

「むむむ…まぁ、ここで何も無ければ、帰りに何か探せば良いか。
平和なのは良い事じゃが、期待外れはちとあれじゃのぅ」

なんて、勝手な事を呟きながら、ゆらりゆらりと体を揺らす。
仕方ないか、そう考えれば、砦内を転ばしているビー玉を呼び戻し始める。

ご案内:「タナール砦」に仮面の魔将さんが現れました。
仮面の魔将 >  
夜の帳が下りた頃。
タナールの衛兵が不意に叫ぶ

「――来たぞ、アンデッドどもだ!!!」

砦の内部に緊張が走る。
わらわらと現れるアンデッド。有象無象の死体達。
そして、その奥で指揮を執る――ナイトメアに跨り、大剣を構えたナズグル。

『――戦争の時間だッ!!!』

号令のもと、アンデッド軍団はゆっくりとタナールへ近づきはじめる

タマモ > ひょい、と壁の上から下を覗く。
その視線の中、戻って来た幾つものビー玉は壁の側まで転がって来ていた。
手を伸ばす、それに吸い込まれるように、ビー玉は手の中に寄せられていく。
そうして、すべてのビー玉を手に収めれば、袖の中へと戻す。

「さて、そろそろ戻…ん?…っと、おおおぉっ!?」

いきなりに大声に、少女は壁から落ち掛ける。
何事だ、と砦へと視線を向け、その声の主らしき人間の視線を辿れば…その先に見えるのは…

「………おや、やっと来たのか…」

その視線の先に見える不死者達、少女はすぅっと目を細める。
だが、それだけだ。
少女はまだ動かない、これからどうなって、あんな話題として持ち上がっているのか…それを見たかったからで。

仮面の魔将 >  
もちろん、衛兵達も油断などしていない。
今回は聖水も神聖魔法の使い手も準備してある。
大砲で死体を飛ばしてこようとも、ゾンビやグールども如きならば簡単に対処できるよう準備済みだ。

『――ドラグニール、例の準備だ』

魔将の号令の下、魔軍の本陣から飛び立つワイバーン・ゾンビ。
アンデッド・ドラゴン・ライダー達は、タナール上空をあっという間に覆うほどになる。

「気をつけろ、上空からの攻撃に注意!」

衛兵達の言葉と同時に、ドラグニール達は砦に向かってバラバラと何かをばら撒く。
それは、骨だった。太い何本もの骨が、タナール砦の中へとばら撒かれる。

「骨!? スケルトン召喚か!」
「ふん、芸の無い! 神官隊、聖歌を準備!」

だが、それはただの骨ではない。
かつて水晶の谷で朽ちた――本物の、竜種の骨だ。

『大いなる竜よ、その朽ちた身朽ちた魂を今一度現世へと戻したまえ――サモン・ドラゴン!!!』

そして城門内に、巨大な骨竜――ボーンドラゴンが現れる

タマモ > 「ふむ…」

ずらりと並ぶゾンビやグール、空を舞うワイバーンも見事に不死である。
しかも、それに追加してドラゴンも、まるでアンデットの見本市だ。
よくもまぁ、こんなに呼べるようになったものだと、少女は別の意味で感心していた。

「………しかし、そんなものを呼ぶだけの芸か?
そんな力を手に入れて、自身が何ら変わらないなんて事は…さてはて?」

そんな呟きを漏らしながら、よいせ、と立ち上がる。
とん、と壁を蹴れば、ふわりと魔族の国側へと着地をした。
砦の門からは少し離れているが、視線の端には入るかもしれない位置だ。
こちらに反応するならするで良いが、しないなら、あの偉そうな号令をしてる相手へとゆっくりと近付き始めてみよう。

仮面の魔将 >  
『全軍突撃。ボーンドラゴンの相手をしている間に門を破れ。俺は――』

魔将は全軍に突撃を指示すると、ゆっくり狐娘の方へ向き直る。
他の者はといえば、所詮は脳みその無い不死者達だ。
ボーンドラゴンにかかりきりになり、対応する暇の無い砦というご馳走めがけて突っ込んで行く。

『――何の用だ、狐』

タマモ > 「おや、気付かれたか。
お主、最近ここを賑わせておる輩じゃろう?
何用かと問われれば、そうじゃのぅ…」

どうやら、他の不死者達はこちらにまったく意を示さない。
いや、まぁ、鬱陶しい事この上ないので助かるが。
それならばと、言葉を掛ける相手へと近付きながら言葉を返す。
そこで一度、言葉を止めて…

「お主がどれ程のものか、試させてくれぬかのぅ?
まぁ、別に嫌なら嫌で構わんが…そうなると、妾の暇潰しはあれに向けられる、それだけじゃ」

ゆっくりとしたままの動作で、袖から扇子を取り出しながら、首を傾げて問うてみる。
言葉に合わせ、その視線を相手から、その横を通り砦へと向かう不死者達へと向けて。

仮面の魔将 >  
不死者達はタナールの城門を突破し、城内へなだれ込む。
城内に突如現れたボーンドラゴンの対処と城門の防衛。流石に二つを同時に行うのは不可能だったようだ。
だが、ボーンドラゴンは突入時には既にボロボロになっており、衛兵達は何とか非戦闘員を先に逃がしながら撤退を始めている。練度が上がってきているのだろうか。

『――いいだろう。来い』

ナイトメアから下馬すると、魔将はゆっくりと大剣を構える。
同時に詠唱――身体の動きを加速するヘイストを身に纏い。

タマモ > ちらりと、砦の方を一瞥だけする。
前は壊滅近い状態にされたらしいが、なかなかに良い撤退振りだ、うん。
まぁ、それはどうでも良いかと視線を戻す。

「………あの時は、妾も力を使い切った後じゃった。
今は、ほとんどを封じているとは言え、あの時の様な事はない」

情報通りに、この相手があの男ならば、あの時の動きは覚えている。
相手は覚えているかいないかも分からないが、少女の狙いの一つはそれを確かめたかったのだ。
言葉を紡ぎながら、普段は両手にしていた扇子を、片手だけにして、ばさりと広げる。
思っている通りならば、あの時は、一本の扇子しか使ってなかったから。
それを再現してみたのだ…まぁ、間違っていたらいたで、構わない。

仮面の魔将 >  
『――――』

魔将は何も語らず、無言で地を蹴る。
ヘイストによって加速された動きにより、大剣を大きく振りかぶり――そして、人とは思えぬ力でそれを斬り返す。
縦からの斬撃と横薙ぎの斬撃。二種の組み合わせで大剣を振るい

『――――』

それは、貴女がかつて相対したものと同じ戦い方だろう。
加速による自身へのバフと、大剣による大ぶりの攻撃。
それらを繰り出しながら貴女へ迫り

タマモ > 「………やはり…」

お主は…続けかけた言葉を飲み込む。
ならば、これはあの時の再現…いや、仕切り直しだ。
何度も何度も思い出してしまう、あの時の戦い。
今度こそ、不満の残らぬ戦いをさせて貰おうか。

ゆらりと少女の身は揺れる、流れる動きは舞いを連想させるような。
その動きを見切っているのか、縦の斬撃を扇子の側面で流し、続いての横薙ぎを、とん、と軽く地面を蹴って後ろに身を引きやり過ごす。

「………さぁ、これはどうじゃ?」

その動きの中で、空いた手元にぽんっ、と唐傘を出す。
大振りの隙を見て、一歩身を前に、唐傘による突きを繰り出す。
相手は分かっているだろう、それをまともに受けた時の衝撃を。
ただ、これも理解しているだろう、間違いなく吹き飛ばすだけの力で、ダメージ自体はほぼ無い事に。

仮面の魔将 >  
舞いのような動き、そして流麗な動作。
もしも他者が見たら、見蕩れてしまうような所作だろう。

だが、ここに居るのは不死者であるナズグル。そのような動作などに見向きもせず――

『――――ッ!!!』

吹き飛ばすだけの力に抗うように、障壁が展開される。
重度の魔力を伴った、対衝撃・対魔法のマジックシールド。
もしその魔力量だけ見れば、おそらく魔王級――
『あの男』ならば決して使えないはずのその障壁を操ったナズグルは。

平然とした顔で貴女の前に立っていた。

タマモ > 予想はしていた、存在を変えられ、それによって得た力があるかもしれないと。
あの時は、これで吹き飛ばす事が出来、距離を置けたが…

「なるほど、妾も…あの時と違い、ちと力を出さねばならんか…!」

その力が魔王級と言われても、それが魔力であれば少女は理解出来ない。
少女の力が相手に理解出来ないように、それはお互い様か。
ただ、あの時のような小出しの力は意味をなさないのだと…それだけは理解出来た。

ふぅ…と深呼吸を一つ、唐傘をぶんっ、と薙ぐように一振りし、身構えた。
今の動きで分かるだろう、攻撃の要が唐傘で、防御の要が扇子だろうと。

今度は、少女から動く。
足を滑らせるようにして相手へと踏み込み、今度は横薙ぎをする動き。
次の攻撃に加減は無い、直撃を受ければ骨の一本二本でも折ってやろうかと言う威力。
下手な受け流し方をしても、受け手を痛めそうなものだ。
もっとも…今の男が、それでも通用するのかは分からないが。

仮面の魔将 >  
その動きに合わせるように大剣を振るうが――今度はこちらが防御する番。
加減の無い攻撃に対し、大剣を構える事で防御し――
そして、衝撃。
その衝撃で吹き飛ぶ――不気味な黒い仮面。
そこには

『――ふん』

青白い肌と血のように赤い瞳。
そしてそれ以外は――見慣れた顔があるだろう。

一度こちらから地を蹴り、距離を開け。

タマモ > 「ふむ…この状態とは言え、本気を出して差も無しか…」

少女は今まで、こうして力を込めた攻撃をした事はない。
それは、それを必要とする事がなかった為だ。
久々の力とは言え、出し損ないは無い…はず。
今の衝撃で飛んだ仮面、その顔を見れば、己の考えを確かなものとした。

「強くなったのぅ、偽りの力とは言え…な。
今のお主は、一体何を求めておるのか………らしくないな、そう思わぬか?」

距離を自ら開けた男に、油断無く構えたまま問う。
まぁ、不死者となったのだ、その思考になにか変化はあるかもしれないが、問わずにはいられなかった。

仮面の魔将 >  
『――らしくない?』

男は鼻で嗤った。
どうやら砦の制圧は終わったようだ。なら――
もう、ここに居る必要も、無い。

『人と魔の共存は不可能。人であり魔を滅ぼそうとするのが俺なら、魔になれば人を滅ぼそうとするに決まってるだろうが』

仮面を手元に呼び戻すと、魔将は再びナイトメアに跨り。
貴女に背を向けゆっくりと、魔族の国へと戻っていく。

タマモ > 「なるほどのぅ…確かに、道理じゃ」

男の言葉を聞き、苦笑を浮かべる。
その際たる理由までは知らない少女だからこそ、それで納得してしまう。
知っていれば、少しは返す言葉もあったのだろうが…

「まぁ…妾にとっては、どちらとしても関係はない。
おーちゃんはおーちゃんじゃからのぅ。
とはいえ…残念なのは、一緒に酒を飲み交わす事が出来ぬと言う事じゃろうか?」

不死者となれば、飲食は不要、言葉の通りに残念そうな表情を。
仮面を手元に戻し、ナイトメアへと跨る、少女は手出しをもうしない。
そのまま、魔族の国へと戻って行く男を見送るだろう。

ご案内:「タナール砦」から仮面の魔将さんが去りました。