2018/06/22 のログ
ご案内:「タナール砦」に舜胤さんが現れました。
舜胤 > 【お約束待機中です】
ご案内:「タナール砦」にヴェルムさんが現れました。
ヴェルム > 現在は王国軍が駐屯しているタナール砦。
魔族軍による攻撃が苛烈していることを鑑みて、複数の部隊から人員が派遣されている。
第十三師団もその一つ…人手不足を理由に最低限の人員を送り込んではいる。
今回はそれに先立つ視察を終えて、一人砦を離れれば小高い丘のほうへと馬を歩かせた。

「魔族の国って言っても、実際はどんなとこなんだろうな」

誰に対して言っているわけでもない、単なる独り言。
丘の上から魔族の国の方角を眺めてみるものの、そんな簡単に異国の町が見えるわけではなく。
戦火の痕が生々しい荒野をじっと眺めていた。
ついつい、誰かの接近に無防備になっていたかもしれない。

舜胤 > 魔族の国方角より まろやかで優しい音色が弦楽器の音色によって紡ぎ響き渡る。
魔族の国にも芸術を愛する頓珍漢な者がいるらしい、という噂はまだまだ小さい物。
というか、目撃者は全て行方不明に少なからずなっているのだ、それも一人や二人の斥候兵士達。

王国軍が跋扈する戦火の痕跡が著しい荒野に弦楽器の音を共に一人の猫耳と猫尻尾を持つ存在が近づいていく。
とある師団長の他に 少なからず 王国兵士や騎士がいる筈なのに、
誰もその音色やその弾き手の事に気づいていないが如く。

「人為らざる者が多く居り、欲と罪に塗れた亡者も少なくはない、数多くの人の轍を超えた者たちが棲む国々」

ごきげんよう、とその弾き手は弦楽器を弾くのをやめ、スカートの裾を少し摘まみ淑女の礼を以て声をかけたという。

ヴェルム > 「…音?」

ふと耳に聞こえ始める弦楽器の音色。
砦に音楽隊などいただろうかと考えるが、その音色が聞こえてくるのは魔族の国の方角。
音響攻撃?それにしては音色がとても心地よい

その場にはヴェルム以外誰も居ない。
元からわりと単独行動派な彼にしてみればいつものことだし、部下たちも自立しているので心配していない。
それでいいのかと思うかもしれないが、のけものたちにとっては居心地が良いものか。
しいて言うならヴェルム一人ではなく、彼の乗ってきた毛並みの綺麗な馬がいるくらいか。

「…久しぶりだね、舜胤…」

音色に混じる人の、人ならざる者の気配…その放つ気配の色を彼は知っている。
弦楽器を弾いていたのは他でもない、かつて十三師団に身を寄せていた元魔王。
それが魔族の国のほうから来た、来てしまった。
彼女の姿を見るなり警戒するような、でも同時に安心したかのような目を見せた。

舜胤 > 音響攻撃の厄介な点は 曲調べによっては攻撃に聞こえない点。
聞こえた時点で既に効力を発揮し、純粋な魔法でもないので魔術による防御がしにくい。
指向性を持ては直線距離にして数キロ単位で攻撃も可能である事。
何より音だ 超音波等で人に聞こえない範囲の高周波攻撃をされれば気づかれることの少ない粉砕も可能。

人の国で弾かれるというか魔族の国の旋律なのだろう、芸術を理解するものも魔族の国にいるのだ。
その音色は純粋に攻撃も含まず敢て含んでいたのはその弾き手に意識を向ける事の無きよう、な効力。

「息災なご様子で何よりで御座いますわ」

淑女の礼をしてから 抓んでいた手を放し、楽器を持ち直して改めてそれらもどこかにしまい込めば丸腰に。
お話をしても良いのですか?、なんて にこやかに微笑みながら それでも適度な距離を以て歩みを止める存在。

ヴェルム > 十三師団は出入りが比較的緩い分、脱走する者もままいる。
舜胤のこともほとんどの団員がそう考えていたため、大掛かりな捜索は行われなかった。
ヴェルムは彼女の人となりから黙って出て行くことは考えにくく、誘拐されたのではないかと思っていたが、足取りはまったくつかめずにいたのだった。

魔族の国については、あまり情報が入ってこない。
一応十三師団には魔族も多く居るが、たいてい根無し草だったりするので貴重な情報というものはなかなか望めない。
魔族の国の音楽というものが、どういった概念を持つのかはヴェルムにもわからないが、両国は文明的にはそう違いはないのかもしれない。

「舜胤こそ、元気そうで…
ああ、僕も言いたいことがあったからね」

相変わらず、礼儀正しくお淑やかな雰囲気を漂わせる彼女。
だからこそ、黙って出て行ったことに怒っている。
出て行くのは自由だが、黙って出て行くのは礼節に反すると。
話をしたいと言うのであれば、あっさりと警戒を解いて手ごろな岩に腰掛けた。

舜胤 > 記憶が元に戻った途端に元魔王として欲する者の元に、召喚 されたのでいなくなった説が正しい。
高度過ぎる召喚陣によってその場から証拠も残らず去っているので誘拐されたのも正しいのだが、
召喚されたその先で契約もされずに解放されて、師団に戻らず魔族の国で解散したかつての楽団を再編成して今に至る。

有体に言えば 結果論として 誘拐されたもののその後帰還せずに魔族の国にいた。
そして一人か二人 斥候の王国兵士や傭兵冒険者を 音響攻撃で死なせずに情報を聞き出し尋問して開放していた位。
魔族にしては比較的真っ当なキャッチアンドリリースをしていたのだ。

魔族の国は一つの国で固まっておらず、種族や勢力ごとに群雄の態をしている。
統一国家なんてない気がする、魔王は一人に非ず、名のあるものが魔王と名乗っている始末。
魔族に限らず 人為らざる者もどうやら人は魔族と一括りにするようであるし。

「私は特に御座いませんが…少しお付き合いを致しましょう」

対して此方は何もない宙に椅子があるかのように腰かけると、宙に浮く状態に。
にこやかにあくまでも元魔王としての雰囲気は戻っていた。
そう、ぽつぽつと魔族の国の奥底の方に魔族の気配が少しながら。

ヴェルム > 彼女がどういった経緯で姿を消し、またどういった目的でこの場に現れたのか、今のヴェルムには思いつきはしない。
少なくとも侵攻ではなさそうだ、まぁ戦闘になっていればただでは済まなかったかもしれない。
元魔王の肩書きとはいえその力に衰えは無いだろう。
いや、「元」は外すべきか?

「魔族の国から来たみたいだね、記憶を取り戻したってことかな?
…こっちは最近忙しくなったよ、団員みんなは相変わらずだけどね」

空気椅子…みたいなことをしているが、彼女がやると不思議と雰囲気がある。
それもそうだろう、以前のメイド然とした彼女の雰囲気を異なり、今の舜胤はまるで…魔王のよう。
父親のことを含め記憶を取り戻したのか、それとも誰かに洗脳されたのかは、わからなかった。
ただ、こっちだけ質問するのはフェアじゃないので、かつての仲間の近況でも話そうか。

このような接触、もし他の王国軍の人間に見られればただでは済まないかもしれないが、どうでもいいことだ。

舜胤 > 最近の両国においては侵攻がどうの、ミレー族の里がどうの、と小さい情報が積み重なっている。
元魔王としては魔王の地位に戻る事はないものの、あくまでも一吸血鬼として過ごし、
魔王クラスに呼ばれればその都度その下で動くそんな立場を貫く。
魔王の力を持つそんな存在は準魔王として居るべきだろう、魔王じゃない魔王とは名乗らないなんて。

「記憶は戻りましたが、戻った以上は王国に居る事は罪になりましょう。
 魔族の国に侵攻を企てたり、ミレーのテロリズムに右往左往をしていたり?ですか。
 面白い位に喋る愚かな愚物が居りますのでこの手の情報に事欠きません」

メイドめいたのも良いだろうが、あくまでも 元魔王の立ち振る舞いを丁寧至極にしているのみ。
父親とは決別を果たし、父親以外の人たちから適当に記憶を抜いて過ごしているのだ。
チャンスさえあれば一応父親の記憶も抜くつもりだ、あっても父にとってこの身は大きすぎよう。

誰に目撃されようが気にはしない、そんな小さな事でおろおろはしない、それが元魔王としての矜持だ。

ヴェルム > 「僕は気にしない…ってのは気休めにもならないね。
舜胤がそこに居場所を見つけたなら、言う事はないよ。
…なるほど…戦争には関わっているわけか」

王国には魔族の居場所などほとんどない、彼女が自分のいるべき場所を見つけたのであれば、それは良いことのはずだ。
ただ、どうやら戦争にも間接的に関わっている様子。
彼女が尋問をする姿は想像しにくいが、もう以前の彼女ではない。
テロについてはその通りだが、魔族の国への侵攻…そんな大それたことを計画する王族貴族がどれだけいるのか…。
あるいは、特定の部隊による計画か。

「ついでに聞くけど、誰に影響された?」

こうまで人が変わるものかと、純粋な疑問。
記憶が戻ったからという理由はあるかもしれないが、それにしてもきっかけがあるはずだ。
彼女は何者かの接触を経て変わったのだと確信した。

舜胤 > 「私はアシュラ奏楽隊が居りますのでその者達と共に。
 直接関わりはありませんが、魔族側に居りますので次出会った際は容赦なく粉砕して差し上げますね

 第七師団は相変わらず砦から侵攻されたいようですが…。」

居場所を求めていただけなので それが魔族の国であればそちらへ移動する。
あくまでも優しくソフトチックに尋問をするのだ、ハード的にモザイク掛かる様な尋問はしていないつもり。
今も変わっていなければいいが、何度か昔遭遇している第七師団の事を滲ませてみよう。

「…我が母が嘗て仕えし 魔族の国のとある城の城主 ロザリア様がきっかけに。
 少し長居をし過ぎました、お別れに御座います。ごきげんよう、アーキネクト様」

最後の質問位 答えておこう、そろそろ暇をすべく、
淑女の礼を再度すると、では、とその場から煙を巻く様にすっと姿が薄まっていき―気配諸共消えたという。

ご案内:「タナール砦」から舜胤さんが去りました。
ヴェルム > 「アシュラ…奏楽隊ね、記憶や居場所だけじゃなくて仲間まで。
やっぱり第七師団か…」

どうやら完全に魔族側となったようだ。
おまけに自前の部隊まで用意している…奏楽隊と名乗ってはいるが、音響攻撃に長けた部隊であるならば、苦戦は必死。
彼女も次はやる気のようだ。
第七師団については、噂こそあったが実際に侵攻準備をしているとは。
それは…いい流れかもしれないと内心思った。

「ロザリア…名前だけは聞いたことあるな…。
…ああ、会えてよかったよ。
それじゃあさようなら、舜胤」

ロザリアという名前には見覚えがある。
いくつかの師団で接触があったとか。
たしか吸血鬼…そして舜胤も、そういうことだ。
次に会うときには、間違いなく敵となるかもしれないなと、姿ごと気配を消していく彼女を見やり、お別れの言葉を継げたのち、何事もなかったかのように砦へと戻った。

ご案内:「タナール砦」からヴェルムさんが去りました。