2018/06/12 のログ
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
サロメ >  
──飛竜の背から見下ろす砦には暗雲が立ち込めている

「…魔族が率いる軍勢、か……」

人間側は、統率と団結で砦を落としてきた
魔族…特に知能の高い連中が統率を行い始めたとしたら……

「そう簡単には奪えなくなるかもしれんな…」

そうなれば、第七師団の名折れでは済まない

「………」

翼をはためかせ、飛竜が舞い降りる
砦から少し離れた森へと降り、飛竜を飛ばせて待機させる

「(…見張りも当然いる、か……)」

遠目に砦の入り口を確認する
……がむしゃらに攻めたところで話にならなさそうだ

ご案内:「タナール砦」に影時さんが現れました。
影時 > ――全く全く、よくよく俺の飼い主様も他の貴族どもと張り合ってくれる。

体よく使える手駒を使っている積もりなのだろうが、否、実質そうなのだろう。
何時離反しても構わない、あるいは切り捨てても困らない、少しは腕の立つ駒であろうという自覚はしっかりと持っている。

さながらコインの表裏の如く、目まぐるしくその所属を変える砦の戦闘の支援、並びに偵察をしてこいと寄越される。
その為に与えられた仮の身分として冒険者を名乗る。近隣に展開する義勇兵に扮して独り、砦より離れた森を進む。

「……ン?」

そんな時だった。適度な樹上に潜み、どのように進むかを思案していれば上空を掠める影に胡乱げに空を仰ぐ。
飛竜の姿だ。近くに飛竜兵でも展開しているのだろうか? 
そう思いつつ、樹上から飛び降りては、枯れ葉の如く着地をする。その上で足音を顰めて向かう先は飛竜が進んだ先だ。
誰か、この辺りに降ろしたのだろうか。見かけた軌道を思うにそう算段しながら、遭遇と確認を試みる。

サロメ >  
「───!」

自らへと接近してくるほんの僅かな気配を感じとる
それは、偵察にも似た緊張感の中だからこそ感じ取れたのだろう

「(…足音を消しているな)」

となれば魔族や魔物の類は考えづらい

半身をずらし、背の高い樹木の影へと移動する
華奢な身体故に樹は十分にその身を隠してくれた

影時 > 「……ふン」

どうやら、己の見立ては間違いではなかったようだ。誰か居るらしい気配を微かに感じ取ることが出来る。
この辺りにわざわざ降りるとなると、偵察兵だろうか? それとも後方から王国の軍を攻めようとする魔族の類だろうか?
最近砦の戦役に係ることもあれば、よそ者であったとしても少なからず感じ取れるものだ。
ただ、闇雲に攻め込んでいるわけではないというコトである。海の魔王と名乗った少女との邂逅もまだ、記憶に新しい。

「……――ありゃ。この辺りに居そうな気がしたんだがな」

やがて、気配が感じた辺りへと出て足を止める。
物陰から隠れみる視線が見ることが叶うなら、上背のある黒い外套姿の影を認めることが叶うだろう。
抜き出す手甲をつけた右手でくしゃくしゃと髪を掻き、その場にしゃがみ込んではその手を地面に当てる。

その姿勢で目を閉じる。微かな振動や氣の有無を確かめるようにしながら、口の端を釣り上げて。

「居るンだろう? 出てきてくれ。俺は多分敵じゃないぜ」

問おう。応えてくれるならば善し。応えないならば、本来の己の勤めに其の侭かかろうと心に決めて。

サロメ >  
「(──人、か。見慣れない格好ではあるが)」

存在には勘付かれている
そもそも此方を認識して接近してきるのだ

油断をしなければ、言葉をかわすくらいはよかろうと

「…こんな場所で何をしている?」

一歩、木の陰から姿を現す
かけた言葉は、まあ、お互い様のことだろうが

影時 > 「……ほーう?」

片膝を突いた姿勢で声がした方に身体を向け、見える姿に感嘆の声を上げる。
笑みの形に細める暗赤色の双眸の先に見えるのは、少女剣士と形容するに足るいでたちの姿。
無論、只者ではあるまい。飛竜を御していただろう点と物腰より、そう察する。

「仕事だよ。
 またまた奪われちまった砦を奪いに掛かる算段のための、な。お前さんも、そうだろう?」

応えつつ、立ち上がる。上背の差は立ち上がればよく分かる。
力量もまた己が思うかそれ以上にあり得ることだろう。そして何よりも、身分もまたそう。
人を従えるということをよく知った人間らしい物腰と、気風を思う。

サロメ >  
「…ふむ。どこの手の者だ?」

ただ一言を信用するほど単純でもない
その出で立ちも含めて、少しばかり異質なその男を睨め上げる
互いが直立すれば大人と子供かというくらいの体格の差を感じるが、臆することはない

「正規の軍属ではないだろう。雇い主の名を明かすことはできるか」

毅然とした態度を崩さず語りかける
その手はしっかりと、鞘に収まった己の帯剣の柄へと添えられている

影時 > 「俺かい? ――、だよ」

大変ご尤もだ。その所属を、ひいては敵味方を識別するということは戦場の倣いである。
故にそのロジックは異邦の人間でも納得できる。何故ならば、己もそうするからだ。
向こうが小柄でも、甘く見ることはしない。軽んじる由縁はない。

ただ、その風情を楽しむようにしながら、雇い主の名を告げよう。
別段口止めをされていることはない。やや没落気味であるが、保守的な一派に属する貴族の家名である。
他の貴族や王族等の情勢を測り、再興の為に少しでも情報面でも先んじようとやっきになっている、と知るものは知ろうか。

「で、俺はその御老人に飼われている手駒だ。影時、という」

お見知りおきを、と。外套から抜き出した両の手を上に挙げ、敵意はないことを示しながら名乗ろう。

サロメ >  
雇い主の名を口にする男にはまるで動揺も思案も見られる様子はなかった
はじめから用意していた向上か、もしくは単にその事実が然程口外するに重いものではないか、だ
どちらにせよ、警戒の姿勢を見せるこちらに対して返す態度としては十全である

「カゲトキ…北の人間か。
 …第七師団のサロメだ。場所が場所なのでな、疑うような真似をしてすまなかった」

述べながら、柄からその手を外し一礼、小さくその頭を垂れる

「──して、砦の状況は見ての通りだ。一筋縄で行きそうもない。
 久しく大掛かりな出兵を計画する必要がありそうだな……」

影時 > 雇い主には寝床と食事の恩義こそあるが、それ以上の義理はない。
体よく使うならば、己もいいようにさせてもらう。互いにそう弁えた上での行動である。
そして、己個人としてもわざわざ国や名だたる騎士団など、喧嘩を売りに行く理由が薄い。
如何に戦うのが好きであったとしても、決死の覚悟を繰り返すようなものは辛い。

「北、嗚呼、シェンヤン……だったか? まぁ、似たようなところから来た。
 第七師団――嗚呼、聞いたことがあるなぁ。最精鋭のご歴々の一人か。気にしなさんな。俺だってそうするさ」

似ているようで、違う。かのシェンヤンある国はまだ足を運んだことは無いが、其処の出ではない。
頭を下げる姿に己も手を降ろし、目的地である砦のある方角を見遣ろう。

「……そうらしいなァ。
 俺も何回か攻防戦に混ぜてもらったコトはあるが、裏から回って攻めるのも難しいか?」

裏というのは、魔族領側。砦を迂回して兵力を回し、正面と裏面からの同時攻撃の可否を口にする。

サロメ >  
理解を示されれば、嘆息し小さく肩をあげる
互いにこういう場では大変だ、という気持ちを込めて

男が視線を砦へと送れば自分もまたそれに続く
暗雲が立ち込めているのは決して天候のせいだけではない

「相手が烏合の衆ならばそれもいいだろう。
 しかしここ最近は魔族側に統率された軍が組織されているらしい。
 その類に察知されれば、手痛い挟み撃ちに遭うだろうな」

影時 > 最近知り合った冒険者や傭兵達の間では、何日で取り返し、何日で奪われるかを賭けるものも居る有様だ。
己も一口賭けろと言われたが、流石に不確定要素が多すぎて愉しめる賭けとして見れなかったほどだ。
まして、愚直な突撃では死ぬということが目に見えてわかるのであれば、尚の事である。
城攻めは大概にして、守る側が有利となるのであるのだから。

「ああ、俺も聞いている。厄介だよなぁ。……それに面倒だ」

しみじみと息を吐きつつ、遠く目をやりながら思考を巡らせる。
烏合の衆が指揮によって整然と行動する群――否、軍となるのである。その厄介さは筆舌にし難い。

「だが、逆に引っかけようもあるってコトよなァ。烏合の衆を束ねる頭の意の裏をかくとなると、どうだ?」

人と同じ思考をするなら、人同士の戦争のようにやれる要素がある。
騎士団の長たちもきっと考えるだろう。それが、戦争だ。

サロメ >  
「…そうだな。計をかける隙はあるだろう」

男の言葉を肯定する
人同士の戦争ならば、当然それは選択肢に入ってくる、しかし──

「人と魔族では基礎となる戦力に大きな隔たりがある。
 そのリスクは、人間相手の比ではないだろうな…」

無論、魔族と単体で戦える人間も存在する
しかしそれはほんの一部の人間でしかない
物量と戦術で押し切るのが常なのだ

「そして魔族の思考を人の思考と同等と考えるのも、難しいだろう」

影時 > 「そうだなァ。魔王なんぞ、前線に出張られたらいよいよコトだ」

全く、そうだ。肉体も魔力も何もかも、人間と魔族は地の差がある。存在の差といってもいい。
己は戦える。いい勝負はできることだろう。しかし、万人がそうであるとは限らない。
それでもなお、戦力差が極端に偏らず、競り合えているのは少数の英雄とも呼べるものの存在もあろう。

「偏りはありそうだな。……だが、敵を深く知ろうとするにも時間は長くはない。だろう?」

過日遭ったもの、雑兵として遭ったもの、それぞれの反応を思い返し、胸の前で腕を組む。
騎士団等の面子としても、砦は早期に取り返しておきたい。
しかし、ただただ兵力を集めても容易くいかない。その現実に二の足を踏む。だが、急がねばならない。其れが問題だ。

サロメ >  
「そういうことだ。だが…」

言葉をつぐみ、その視線を外す
その表情は、情けないやら、歯がゆいやらといった
そんな感情を感じさせるもので

「敵は魔族だけというわけでもないからな…」

第七師団の対魔族特化大隊としての在り様は、
主にこのタナールでの戦果を中心に挙げられる

ただでさえ一部の貴族からは睨まれている一団
戦績が芳しくなければそれにつけ込み、解体しようと画策する者はいくらでもいるのだ

「──コトが性急だということだけは確かだ。限られた時間で可能な限りの情報を精査するしかない」

影時 > 「――その点については、余所者として深い言及は避けさせてもらうが、……生臭いわな、色々と」

わざわざ、雇い主が己を斥候として遣わせる位だ。
つまみ食いする程度の情報を集め、並べても奇々怪々具合の情勢模様は窺い知れる。
まして、その当事者たる女剣士の仕草と表情を見遣れば、猶更よく理解も出来る。

何処の国も似たようなものである、と。外套に包まれた肩を上下させ、一息吐き出そう。
生臭いのは男と女の交わり位でいい。華やかな裏で鍋の中で煮えたぎる汚泥を眺める程、不毛なものはなく。

「じゃぁ、こっちじゃ――こう言うんだったか。あの砦の門をノックしに行かなきゃねェなぁ」

つまり、武力偵察だ。向こうの頭の思考と兵の練度、その他をまず誰かが試して知りにいかなければならない。
愉しい散歩というには物騒極まりないが、にぃと蛇が嗤うように口元を笑みの形にして砦の方角を見よう。

サロメ >  
「そうだな。そして相手の頭の出来を見るには……」

意外なことに女剣士は男の言葉に同意する
砦へと再び向けた視線は鋭く、冷気すら感じさせた

「──奇襲が、もっとも手っ取り早い」

影時 > もう少し、慎重論を述べるかと思っていた相手が――思った以上に武闘派だった。
その反応に思わず目を瞬かせ、くつくつと肩を震わせて笑う。
大笑いをしないのは砦から離れていても、ここは敵地に極めて近い場所だからである。

「話が分かるねェ。いいね、そういうノリの良さは大好きだぜ、サロメさんよ」

軽く手を打ち鳴らし、其れを景気に呼吸を整えて体内の氣の巡りを整える。
密やかに流動を高めることで、戦闘態勢にいつでも入れるように己の意識を引き上げる。

「……で、何時やる? 今やるか?」

左右の手をぶらぶらとさせ、現在地と砦までの距離を測る。
武力偵察は必要だ。その為には少数精鋭であることが望ましい。下手に兵力を伴うと、損耗を免れない。
矢弾、魔法のつるべ撃ちをされても、切り抜ける程度のことが前提として必要だ。

サロメ >  
見た目は少女騎士のように見えようとも、
荒らくれの多さで有名な第七師団の叩き上げである

「無論今やらない理由はない、が。踏み込みすぎる必要もない」

スラリと帯剣していた剣を抜き放つ
その刀身からはひやりとした空気が流れ漏れる

「常に撤退を考えて攻める」

その一言を皮切りに、サロメは既に走り出していた

影時 > 「ははは、そりゃァそうだ。勢いあまる程度で落とせるほど容易かないからな」

だから、引き際は重要だ。退路の確保をしながら戦える兵力がこの場合は望ましい。
時を貴ぶならば、出来る限り早い方がいい。思い立ったが吉日とも云うのだから。
抜き放たれる剣の放つ冷気が頬を撫でる。魔剣の類かと心中で頷き、

「――心得た。じゃァ、言い出しっぺとして御供仕ろうじゃねえか!」

そして、黒い影もまた纏う装束を翻して駆けだす。
早い。剣を携える美影に追従しつつ、事を為そう――。

ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」から影時さんが去りました。