2018/01/04 のログ
■ゼロ > そうこうしている間に、代わりの見張りがやって来る。
状況の引継ぎを手早く終えて少年は体を軽く動かす。
冷えて固まった体をほぐすように動いてから、砦の中へと戻っていく。
いつものように食堂へ移動して食事をして。
訓練場で反復訓練を行ってから部屋に戻り、汗をぬぐい休むのだった。
ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
■ゼロ > タナール砦の中、訓練場に白銀の鎧の兵士が一人いた。
今宵は非番であり特に仕事があるわけでもないのだが、人里離れた辺境のこの場所で、遊ぶようなところはなく。
精々食堂で酒を飲んで憂さを晴らす位のことであろう。
めぐり合わせが良ければ、親しくなった相手との逢瀬ぐらいか。
酒を飲んでも酔えない体で、親しい相手などいない少年としては非番ということ=やる事のない時間という形になる。
勉強を使用にも図書館などはなく、残るは鍛錬ということになる。
食事は食事で楽しみではあるが、補給との兼ね合いにもなるし一定量しか貰えない。
ならば、鍛錬するしかない。
ということで一人、ナイフを両手に持って何時もの訓練の動きを反復する作業を始める。
■ゼロ > ナイフというものは体術の延長上にあると言われる。
武器の大きさから重量で断ち切るものではなく、基本的にはサブウエポン扱いだ。
短いから致命傷を与えるにも、首筋を斬るとか、心臓を突くなど手段が限られる。
小さく取り回しやすく手数が多いので、フェイントを中心に相手の体勢を崩してからの必殺の一撃というイメージで教わっている。
小刻みに、右に左に体を振りつつ、素早くボクシングのジャブをするような感覚で振るう。
右に、左にと小さな傷を作り、出血と痛みによる弱体を狙い、弱ってきたところで……。
教わったことを思い出しつつトレースするようにナイフを閃かせる。
少年のナイフは特殊であるがゆえのフェイントもあるのだがそれは今は思考から抜いて、基本の動きを繰り返していく。
少しでも早く、少しでも正確に。
正確に狙えるようになれば、逆にフェイントをかけるのにも役に立つ。
相手のリズムを崩すために敢えて外れたところを正確に斬るという選択肢も出てくるから。
無人の練習場にナイフが空を切る音が響いて消えていく。