2017/10/02 のログ
フェゴール > 『……?……』

(銃弾が直撃する刹那に、相手が何かを言いかけたことに気が付く。このエリアでの人間はイコールが敵だと思っていたが。そういえば、魔族側の方向から少女は出てきたような。瞬間、小銃の先端を軽く振ると、魔力に抵抗する能力が無ければ、氷結した少女は一瞬で氷の中から転送され、銃剣の先端が突きつけられるような距離に移動させられるか。)

『娘……何を待てと?……』

(転送が叶えば、心配する言葉などの蛇足は無く。近距離で照準を眉間に合わせたままで問うだろう。)

パルフェ > 相手が何者かを理解しているのだ、その力に抵抗をする気配すら見せていない。
一瞬薄れ掛けた意識が戻れば目の前で銃剣が向けられた状況へと変わっていた。
鮮明になってきた意識の中で聞こえる相手の問いに、身動きも出来ずに見詰めたままに唇を開く。

「わたしは、貴方様の敵になるつもりはな…じゃない、ありません。
その、違ってたら申し訳ありませんが、貴方様は魔王様ではないのですか?そうなのでしょう?」

ある種の願いだ、今までに感じた事のない力を感じるのだから、きっと違いないと。
目の前の存在が求めていた存在であるならばこれほどの幸いはない。
そうでなくとも、求める存在を知っているかもしれないのだ。

フェゴール > 『……そうか、では私の間違いだな。すまなかった娘。』

(小銃が空間に沈むように消えれば両手を下す。わずかに地面に浮いていた両足が完全に地面に降りて)

『フェゴール=フォン=ヴァイツゼッカー……。
怠惰の魔王、ベルフェゴールとも呼ばれている。』

(穏やかな声色になりつつ指先を伸ばし。立っているか座っているか。とまれ、相手の顎を人差し指で救い上げるようにしようとしつつ)

『私に、先に名乗らせたからには。相応の理由があるのだと察するべきか?』

(ニィッと浮かべた笑みは。悪戯も不敵も見えるが、わずかに苛立ちも)

パルフェ > 「い、いえ、わたしの方こそ紛らわしい真似をしてしまって申し訳なく…
その、貴方様に非があるだなんて思っていません、決して!」

切っ先が向けられる恐怖よりも興奮が先走っているか、少々どもり気味な言葉。
その切っ先が消え、地に降り立つ相手の姿を見詰め続けていた。

「ベルフェゴール様…あ、わたしはパルフェ=エルヴァンスと申します。
魔王様に仕えようと、神の元を離れました」

突っ立ったままのところに相手の指先が顎へと触れる。
緊張に身を固くさせながらも何とか問いに応え様と頭を働かせて。

「わたしは、その、以前に山中で魔王様に賊から救われました。
それが貴方様なのか、そうでないのなら、そういった魔王様をご存じないのか…それを知りたいんです」

この答えが相手に納得出来るものなのか、そうでないのか。
それに答えてくれるのか、くれないのか。
分からないが、手短に説明をする方が良さそうとの判断か理由と目的だけを答えた。

フェゴール > 『…………ではエルヴァンス君。
君の質問に答える為には幾つか質問で返さねばならない。

1つ、その「以前」というのは具体的にはどれくらい以前のことだ?

2つ、「そういった」というのは。賊から一般人を助ける、人助けを趣味としている魔王か?気まぐれにそういうことをする者もいるかもしれんな?私もそうかもしれない。特に覚えはないが。』

(少し指で引く様にして、近い距離。翡翠の瞳で相手を覗き込みつつ)

パルフェ > 次いでの問いに、答えの期待出来そうな雰囲気に顔を輝かせて。
その問いに思い出すように首を捻る。

「えっと……2・3ヶ月前の筈だと思います。その時は色々とあって正確な事が…
多分気紛れでしたのだと思いますが…その時に魔王と名乗っていたので、それで魔王様なのだと分かったんです」

本当はもっと確りと答えたかったが色々と記憶が曖昧過ぎてこの程度になってしまう。
指が引かれ顔が近付けば、讃えるべき魔王本人か、そうでなくても同質の存在をより近くに感じてしまう。
真っ直ぐに見詰められる相手の翡翠の瞳に、普段とは違う自分を映しているようで気恥ずかしさを感じてしまって。

フェゴール > 『なら、覚えがないな。
ここ数か月の間は人に合わせて人と同じ生活をしている。
そういう荒事があれば流石に覚えているはずだ。』

(瞳を近くで覗き込むのは、単なる癖なので大きな意味はないが。
多少興味が沸く相手にしかしない。魔王を探している理由とやらが物珍しいという程度だが)

『その魔王様を探し出して、仕えたい、と?』

(軽く首を傾げて指先で顎を上げさせようと。決して強い力でもない。逆らうことは幾らでもできる)

パルフェ > 「そ、そうですか……え?人…人間と生活、ですか?
あ、えっと、はい、分かりました…」

人間を恨む自分からすれば、魔王様が人間と暮らすという考え方が出来ない。
暮らすというよりも従わせている、そんな感覚が強いからで。
意外そうというよりも、信じられないといった表情を相手に見せてしまっているだろう。

「は、はい…そうです…」

讃えるべき魔王様の前だからこそ見せる、以前の様な自分の姿。
同質と考える為、他の魔王という存在なのを分かっているのに逆らえない。
相手の指先がそうしようとするなら、その顎は指に合わせて上がってしまうだろう。

フェゴール > 『手のかかる旦那がいてな。
彼の寿命分くらいは付き合ってやろうと……そんな感じだ。』

(告げるときの表情は微笑み。おかしいだろう?と聞いているようにも見えるかもいしれない)

『なるほど、モノ好きだな……はねつけられるやも。使い潰されるやも……果ては慰み物や玩具扱いされ戯れに殺されるかもしれんぞ?』

(指先で顎をくすぐるように、すこし楽し気に。問いかける吐息は、やけに近い。基本的にパーソナルスペースの近い魔王であった)

パルフェ > 「そうなんですね……えっと…良いのではないでしょうか?」

一緒に暮らすどころかその人間を旦那だという。
ますます信じられない言葉に、返す言葉の歯切れは悪い。
だけれど目の前にそういった存在が居るのだから、信じない訳にもいかないのだろう。

「それでも、あの時に救われた事実は変わらないですから。
そうされるのが、そういった相手であるならば…」

何も知らない、しかも両親を殺した賊。
一度は自分を救ってくれた魔王様。
同じ様に扱われるならば自分が選ぶべき相手は決まっている。
擽る動きを見せる指に小さく首を竦めてしまいながらも、逃げたりはしなかった。

フェゴール > 『良い事ではない気もするがな。自分のことながら、まぁ皆が皆、勝手なものだ魔王というのは。』

(一通り触れて満足したのか、手を引いて)

『まぁ、構わんが。あまり従順すぎるのもつまらんぞ?
世の中の、王と呼ばれる生物は皆、すべからく刺激に飢えているものだ。

持論だがな。』

(告げると無音で浮き上がり)

『縁があれば会えるかもしれんな。私は、街にいる。』

(言葉とほぼ同時にその空間から書き消えるように。姿を消した。)

パルフェ > 大人しく魔王様である存在である相手の話に耳を傾ける。
魔王がどんな存在であるのかを、改めて聞かされた。
魔王が何を求めているのかを、初めて聞かされた。
求めていた魔王様とは違うが同質である存在の持論。
その話が終わった後、その魔王様は姿を消した。

考えた、そういったものを望むのが魔王様。
それならば、やはり魔王様と共にするならば今の自分である方が良いのだと。

「街、か……もしかしたら、わたしの捜し求める魔王様もそうなのかもしれないのだ…!」

また色々と考えさせられる出来事だったが、纏まった考えもあったのは間違いない。
改めて少女は無人となった砦を抜けて人間の国へと戻ってゆくのだった。

ご案内:「タナール砦」からパルフェさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からフェゴールさんが去りました。