2017/09/15 のログ
ご案内:「タナール砦」にシュティレさんが現れました。
シュティレ > 金色に煌く月が空に浮かび、安らぎ与える闇の帳に包み込まれる時間帯。
私は、主のいる国を離れ、ヒトのいる場所へと向かい足を進めていました。
魔族の治める国と、ヒトが治める国の国境というべき場所である、タナール砦と、ヒトが呼ぶ建物に到着しました。
ここは、ヒトと、魔族が諍う場所、戦場というべき場所で、今は魔族がこの場所を占領しているようで。
私のような血族達も、安全に通れる状態となっております。

「……?」

すん、と鼻に残るのは血族の匂い、それも上位の者。
私の前に誰かいたのでしょうか……?いえ、匂いの残り具合からつい先程と言ったところですか。
今は此処には居ない事は確かなので、私の興味は直ぐに目の前の建物に注がれます。
ヒトは短命ゆえにすぐに発明というものをします。
いろいろなものを作っていく、新しくしていくのはとても興味深く思えます。
急ぐ用事もないことですし、この砦を見回ってみましょう。
そんな気まぐれに突き動かされ、骸の兵士が立っている門をくぐり、砦の中に入ります。

シュティレ > カツン、コツンと、石畳に不似合いな、ヒールの足音が響き渡ります。
しかし、それを咎める者は誰一人として、居ません……生きている存在がいないのですからまあ当然というべきでしょうか。
其処此処に見えるのは、魔術で作られた骸の兵士、死んだヒトの骨を魔術のチカラで組み立てて作った物体。
喋るということもしませんし、此方を見てる訳でもなく。
無人の野を行くが如しというやつですね、まさに。
廊下を進んで見て思うのは、ところどころ崩れている壁や床で、趣があると思いますが。

「んー……これは、こう言う建て方、なのでしょうか?」

ヒトはそういうものではないと思いますし、戦で壊れてそのままであると考えたほうが正しいような気がします。
歩いてみて思うのは、凄く迷路に似ているという感覚。
我が主の居城とかは、魔力で空間を歪めたうえで、作りを迷路のようにしていますが、それに通じる作りな気がします。
攻めにくさを重点としているのでありましょう、砦ですし当然ですね。
とはいえ、思ったほど面白い物があるわけでもなさそうです。
廊下を進みながら、私は次はどうしましょうかと思いを馳せます。

シュティレ > 「そうね、主の間というものを見てみましょう。
 ヒトの主の感覚を見てみたいし。」

主とは優雅であるべきである、血族はそれが大事なことであるし、砦とかそういった場所でも優雅たる装飾等が多い。
ヒトの主はどういう感性でどういう物を建てるのかがいま気になりました。
だからこそ、私はそれを見学させてもらいましょうと、足を踏み出して、一度止まります。

「そこの骸、案内なさい。目的地は、主の間へ。」

物言わず、立っている骸の兵に、私は命を下します。
作成者の命の下に一時的なモノとして組み込めば、骸は何も言わずに先に歩き始めます。
やはり、此処に居たものの骸、地理は頭に入っている模様。
カツコツ、と骨が歩くあとに続いて進み、私は地理をのんびりと記憶していきます。
右に、左に、案内されて階段を上り、一番奥の豪華な扉の前に到着しました。
骨は案件が終わったものとして、何も言わずに最初に居た場所へと戻っていきます。
それを一顧だにすることもなく、私は扉の淵に手をかけ、開いていきました。

シュティレ > 扉を開きますと、其処にあるのはやはり主の間というべき場所でした。
しかし、それはなんと言えばいいのか……。

「正直、ガッカリですね。
 この程度のものでしたか。」

優美とか、優雅というには程遠い、野蛮な作りでした。
ヒトの主はこう言う所は杜撰という事なのでしょうか。
ヒトは色々と作るのが得意なようですが、戦も好む野蛮人というのが、血族共通の認識。
やはり、こういうところが野蛮人と言われる所以なのでしょうかと思ってしまいます。

「見るものは見ましたし、さて、そろそろ行くことにしましょう。」

がっかりしていても仕方がありませんし、私は気を取り直すことにしました。
とりあえず、もう此処に興味はありませんし、マグメールでしたか。
そちらの方に行ってみることにしましょう。
私は踵を返して、扉から、主の間から出ていくことにします。

シュティレ > 私はそのまま、砦を出ることになりました。
しかし、何故に誰もいないのでしょう、誰かがここを制圧したならば、この場所を管理する人がいてもいいはずかと思いますが。
まだ決まっていないのでしょうか、我々血族とは違い魔族は色々いますし。
怠惰なことこの上ありませんが、まあ私には関係のないことです。
気にはなりましたが足を止めることでもありません。
それに、少し時間を取ってしまいました、安らかなる夜闇は永遠とは言えませんし。
さて、そろそろ行きませんと。
私は、砦を後にして、ヒトの国に入るのでした。

ご案内:「タナール砦」からシュティレさんが去りました。