2017/09/10 のログ
ご案内:「タナール砦」にロザリアさんが現れました。
ロザリア >  
魔族の国側
古びた大きな木の枝の上に、
その場には見合わぬドレスを風に靡かせながら少女が腰掛けている

エメラルドの輝きを湛えた瞳が見据える先は…先日自身な魔物を放った鶏でである

内部にそれらの気配はほとんど感じられず、代わりに人の気配が増えてゆく
制圧を完了した人間達であろう、搬入作業を終えれば此方側にも見張りが立つだろうか

「魔王どもが退けと命じるならばと置いたつもりだったが。
 ほんの僅かな時間であれを仕留める人間もいるのか。………」

僅かに細めた、その瞳を向け続ける
憎悪と悲しみが混在するような、複雑な感情を見せながら

ご案内:「タナール砦」にパルフェさんが現れました。
パルフェ > 人間の国と魔族の国の境、どうやら今は人間の側が占領をしていたらしい。
その砦から物陰に隠れるように魔族の国の側へと人影が動いて行く。
辺りを見渡し見張りが居ないのを確認したのか、気を取り直すように立ち上がって埃を払うように神官着を叩いた。
距離を置いてから砦へと向き直れば、両手を腰に添えて偉そうに胸を張る。

「ふんっ、今回は運が良かっただけに決まっているのだ。
こんな砦の一つや二つ、魔王様の手に掛かれば人間なんかに…!
精々一時の優越感に浸ってれば良いのだ」

まだ誰の姿も見えぬ人気の無い砦の扉へと向かい言い放てば、魔族の国へと改めて足を向けた。
なかなか機会が作れずに行けなかった魔族の国。
悪かった機嫌もすぐに良くなった。

ロザリア >  
その声は木の上にいるロザリアにもよく聞こえた
まるで人間を呪うかのような言葉を吐き出したのは──

「…何をしにきたのだ、人間?
 そのような美味そうな匂いを振りまき歩けば、すぐに魔物が喰らいに来るぞ」

木の上から降りかかる鈴の音のような声は、
決して大きな声ではないものだったが不思議とはっきりその耳へと届くだろう

パルフェ > 目的は勿論の事、自分の従うべき相手を見付ける為だった。
その相手は当然だが人間の国には居るとは思えない存在。
だから、こうして魔族の国へとやってきたのだが…そこで聞こえる声に視線は上へと向いた。
そこに見えたのは自分より見た目の年齢は低そうな少女。
しかし、その言葉から見た目で判断してはいけないとの考えが浮かぶ。
なぜならば、人間を人間と呼ぶなんて相手、この地には魔族や魔王しか居ないのだから。

「わたしは、わたしの求めている相手を探してここに来たのだ。
魔物なんかにやられる気はないけど…美味しそうな、匂い?」

だから、自分の目的をその相手に伝える。
のだが…そんな匂いがするんだろうか?来る時に何か匂いを付けてしまったのか?
不思議そうに首を傾げれば、自分の匂いを嗅いで確かめようと。
当たり前だが、分かる訳がない。

ロザリア >  
パルフェが自分の匂いを嗅ぐような様子を見せれば、クスクスと小さな笑いが降る

「──うむ、匂うぞ」

再びその声が聞こえた時には既に木の上に少女はおらず──
ぱたぱたと小さな鳥が羽ばたくような音と共に、いつの間にか地上へと降りていた

「吾の鼻はとてもよく効く。
 人間の、生娘であれば尚の事よく香るというもの。
 …魔物を畏れぬ程腕に覚えのあるものが誰を下がす?
 魔王どもを滅して名でもあげようというならば、あのような言葉は吐くまい」

興味深げに視線を送るロザリア
暗がりの中でも怪しい光を湛えたそのエメラルドの瞳は不気味なほどによく見える

パルフェ > 魔族であろう少女だから、人間には分からない匂いを嗅ぎ分けられるのだろうか?
そう考えた時には、その少女の姿は見上げていた木の上から消えていた。
視線は気が付けば地面へと足を付いている相手へと向けられて。

「おま…いや、君は魔族なのだな?それならば納得がゆくのだ。
魔物を畏れる程度なら、こんな場所になんて来たりはしない。
むしろその逆、魔王様の下に置いて貰おうと来たのだ」

こちらへと向けられる、輝く瞳を見詰め返す。
言い掛けた二人称をすぐに引っ込めて言い直し、来た理由も添えて伝えた。
もしかしたら、この魔族の上に魔王が居るかもしれないのだと考えれば気を回して損はないのだと。
相手が下手をしたらそれ以上の存在だとは思ってもいなかった。

ロザリア >  
「ふむ。まぁ魔族と言っても間違いではないな」

魔族であろうという言葉には愉しげにそう返す
人間の観点、かつ広義でみれば魔族であることは相違ない

「人間が魔王の配下に加わろうというのか。
 クク、まぁあれらは酔狂な考えの者も多いが、
 その為に単身砦を越え此方へやってくるとは、酔狂はそれに限ったものでもないか」

何か宛てでもあるのか?と肩を小さくあげて問いかけた

パルフェ > 「…?魔族にも色々とあるのか?」

はっきりと言ってしまえば、魔族の種類には詳しくない。
幸か不幸か魔族そのものに会った事はなく、出会ったのは救われた一件のみだったのだ。
だからこそ、少女のその言葉に首を傾げてしまう。

「その通りなのだが…人間では加えては貰えないのか?
わたしに救いを齎すのは神ではなく魔王様なのだ。
その為ならば、砦を越える事なんて造作も無いのだ」

いざ少女の問いに答えてみれば、やはりまだ少々不安があるのか心配そうな表情を浮かべてしまう。
自分ではそう思っていても、相手である魔王が拒否すればそれで終わりなのだ。
だがそれ以前の問題もある。
少女の後の問い掛けに、言葉を詰まらせてしまう…宛ては無いのだと簡単に分かるだろう。

ロザリア >  
「この地に住む魔族と呼ばれる種、
 其れ以外にもこの地を訪れる者は多くいるであろう?まれびとなどと呼ばれる者達のように」

ふわりとドレスの裾を踊らせ、
パルフェへとゆっくり歩み寄りながら語りかける

「人間と相容れぬ者は自然と此方へと訪れることとなる。

 …さて、魔王の中には人間に救いを齎す気紛れ者もいるかもしれんがな。
 大方独善的な連中のこと、そういった変わり者もいるのではないか?
 ───命を捧げるほどの覚悟も、在ると見えるしな」

しかしどうやら宛てなどはないらしい
それでも行動を起こせる辺り、単なる気紛れではないということか

「──して、吾がどういう魔族なのかといえばだ。
 人間の血を食料として不死を体現する…有り体にヴァンパイアと名乗ろうか。
 …嗚呼、近くへ寄ればより芳潤に香るな…。貴様、生娘であろう…」

パルフェ > 「魔族の国にも人間の国のように色々と居るのだな。
この魔族の国に居るからと決め付けて考えない方が良さそうなのだ」

確かに間を挟むのは遠目に見える砦のみ、行き交う事が出来ればそんなものなのだろう。
はっきりとまではいかないが、それとなく納得はした感じで。

「神を捨て、魔を讃えるようになればそんなものなのだ。

そうであっても、わたしは確かに救われた、その事実は変わらないのだ。
だからこそ、わたしはこの身を捧げる決意をしたのだ…魔王様に」

あの時にすでに命は尽きていた筈なのだ、それを救った者の為に使うのは当然。
その出来事さえなければ忠実な神の僕であったが故に、それが逆へと向けばこんなものなのだ。
その目的が達せようと達せられずとも、すべきなのだと。

「ヴァンパイア…君は、吸血鬼なのか!?
だ、駄目だぞ?わたしの身は、魔王様へと捧ぐ為にあるものなのだ。
それを君に与えてしまっては、魔王様に申し訳が立たないのだ」

流石にその存在は知らない訳がない、それ程に有名な種だ。
血を吸われればその相手の僕になってしまう、そうなれば魔王の下にという目的も消滅する。
一歩二歩と自然と足が下がってしまう。

ロザリア >  
一歩、二歩と後退るパルフェを眺め、笑みを深める

「クク、随分と間の抜けたことを言う…
 人の血を飲み、命を喰らう化物が、人間の哀願を聞くと思うているのか。
 人間は家畜が鳴こうが喚こうが、殺し喰らうであろう…?」

愉しげに笑うロザリアの顔は年相応にあどけなく、だからこそ恐怖を与える
……が、あと一歩近づけば互いがの身体が触れる。そこでロザリアは足を止めた

「人を憎み神を捨て去り魔道に堕ちる……。
 吾も人間を餌を見る以外に、嫌いで嫌いで仕方がない。
 あれらを祝福し守るであろう神もまた、だ。
 ………お前とお前の探す魔王の名は何だ?吾の知る者なら口添えてやってもよいぞ」

パルフェ > 「そ、それは…」

笑みを浮かべ近付く少女の言葉に、こちらは逆に言葉を詰まらせる。
理解している事だ、魔王に会う前に会ってはいけなかった種なのだと。
それに言っている事に対する反論さえも見付からないのだ。

もう駄目だと目を強く閉じ身を固めるが、それ以上は何も起こらない。
薄く閉じた目を開いてみると、後一歩の位置で少女は足を止めているのが見える。
どうやら寸でのところで目的の消滅は免れたようか?
少女の言葉に気持ちを落ち着かせようと深呼吸を一つ。

「わたしは、パルフェ…パルフェ=エルヴァンスなのだ。
でも、その、私が探している魔王様は…」

そこまで言って、言い難そうに視線を右に左にと彷徨わせてから…

「実はちゃんと名前を聞いてなかったのだ…魔王、とだけ何とか聞けたくらいで。
声を聞けたら、もしかしたら思い出すかもしれないのだ」

つまりは声を聞けねばただ会うだけでは目的の魔王であるかさえも分からない。
考え無しと言われても仕方の無いものだった。

ロザリア >  
「パルフェ=エルヴァンス」

復唱するようにその名を繰り返す
こうやって問われるままに名を晒すのもやはり危機感がない
くすりと笑うが、自分にとってはその名をどうこうするつもりもなく

「話にならぬな。
 魔王なぞ自称している者も含めれば両の指では折り足りぬほどいるのだぞ」

呆れたように肩を竦め、じっとりとした視線を向ける

「覚悟は買うが、些か不勉強に過ぎるな…。
 この先、生きて其の魔王とやらに会えるとは思えぬ。
 やはりこの場で血を頂いておくか…?」

呆れた表情、その口元から白い牙が覗く

パルフェ > 「わたしの名は答えたのだ。それで、君の名は何なのだ?」

首を傾げたまま当然のように聞き返す。
自分の危機感の無さを笑われたのだがそれには気付いてないようだ。

「自称…?え?魔王様を自称する者がいるのか!?」

少女の言葉に驚く素振りを隠しもしない。
目を丸くしながら少女を見詰め、少しの間を置いて肩を落とす。

「ま、ま、待つのだ!
不勉強なのは確かに認めるけど、実力は認めさせられるくらいにはちゃんとあるのだ!
だから、その…それは勘弁して欲しいのだけど…」

両手を振りながら慌てるように少女へと答える。
一度視線を逸らしてから向け直し、謝るように両手を合わせ愛想笑いを浮かべてお願いとばかりに。
そして何か思い付いたように上目使いに少女を見詰めた。

「良い事を思い付いたのだ!
魔王様が見付かるまでは、わたしの力を君の為に使うのだ。
決して悪い話ではないと思うのだけど…どうだろう?」

ロザリア >  
「正統なる血統の魔王がそう何人もいるわけがないだろう?」

やれやれ、と僅かに視線を外す
この娘をどうしようか
特に腹が減っているわけではなかったが…

人間の生娘が自らこの地にやってくるなどそうあることではない
配下の者が見つけたならば喜び勇んで捕まえ自分の元に連れてこようとするだろうくらいには…

「…ふむ?」

思案していると少女からは以外な言葉が飛び出してくる

「吾の名はロザリア。この地の奥深く、霧烟る谷に城を構えている。
 魔王に認められると自負する力、貴様の美味なる血の代わりになるほどのものか?」

瞼を伏せた表情で再び視線を投げる
どこか怪訝…というよりは、本当に?と疑わしきを見る眼である

パルフェ > 「そんなところまで人間の国に近いのは…予想外だったのだ…
で、でも、わたしを救ってくれた魔王様は確かに居たのだ。
それが正統である魔王様で無くとも、わたしにとっては…」

人間の国では、王位を巡って色んな者達が名乗りをあげているという。
近からず遠からずだが、魔族の国がそうなっているのは想像もしてなかった。
気を落としかけるも、自分に言い聞かせるような言葉を少女に向け顔を上げる。

「これでも前はそれなりの聖職位は持っていたのだ。
わたしの血を吸ってここで終わらせるよりも、きっと役に立つのだ」

その言葉には嘘はない、司祭ではあるも実力だけならば司教を超えるものだったのだ。
その力は神を捨てた今でも健在、同等の闇の力も得た今はそれ以上かもしれない。
相手からはどう見えるかは分からないものの、自信満々に胸を張って答えた。

ロザリア >  
「成程、神を捨てたと言っておったな…。
 魔物を畏れず此方の国へ踏み込んだのもその力あってのものか」

神を捨てた、堕ちた神職者というのも面白い
どんな味の血をもっているのか…と興味は深まる、が……

「しかし人間は人間、信用には値せぬな」

嘘をついていないのはわかる
目的の魔王に会うという強い決意も

「それに吾は人間の助力など…いや、ふむ…」

顎にその小さな手をあて、思案に入る
やがて───

「…マグメールの城に、第七師団とかいう騎士どもが結界を張っている。
 破れぬ程強固なものではないが、破るのに手間はかかる。
 ──貴様が元・聖職者だというのであれば、その手の退魔の結界の術式には詳しかろう?」

パルフェ > 「その通り、そうでなければ砦を越えようとも思わないのだ」

力無き者が砦を越えて魔族の国へと入ればどうなるか、誰にだって分かる事だ。
納得してくれた相手の様子に胸を張ったまま自慢気な表情を浮かべる。

「うぅ…それは酷いのだ。
それではわたしが信用させる手段がないじゃないか」

存在自体が不信の元となれば、もうどうしようもない。
唸りながら不満気な言葉を漏らす。
だが思案の後の少女の言葉に、今度はこちらが思案顔を浮かべた。

「王城に張ってある結界の事なら知ってるのだ。
将来的にはわたしも携わる筈だったから手解きは受けてるのだ。
教わってたのはそれ以外にも色々とあるけど…それが?」

さも当然のように答える。
神を捨てたのだという事は伝えているのだから、そこも理解していたのだと思っていたからだ。
そこまでの力の持ち主とは思われてなかったのだとは思いもしない。

ロザリア >  
「面白い。あれは中々に厄介な代物でな。
 旧神の加護とやらの残るあの地では内部の者に気づかれず破るのが難しい」

くすりと笑みに歪んだ口元から白い牙が覗く

「王族の血は一度飲んだが実に美味であった。
 しかし食事にゆくたびに騒がせては忍びないというもの。
 …吾もこう見えて魔術師あがりのヴァンパイアでな、
 式さえ手にすればディスペルすることなど造作もない」

つまり、あの城へ容易に入るため
人間側が対魔族として使用している結界の仕様をリークしろ、ということであるらしい
いくつかパターンもあるのだろうが、それこそ少女の言う『それ以外にも色々』に含まれるものなのだろう

パルフェ > 魔族や魔王にとってはあの加護は非常に厄介なものであるのは知っている。
だから少女の言いたい事は何となく分かってしまう。
しかしそれは魔王に付く為の手土産とした知識の一つ。
出された条件に少し考え込むも、それを出さねば先はないのも分かっていた。

「それが条件なら仕方ないのだ」

ここで断ろうと、少女が本気になれば自分からそれを引き出すのは簡単な事だろう。
だけどそれを自分から差し出せば今この時の身の安全は保障される。
自分にとってはそれが一番重要なのだ。
例えそれが少女の気紛れによって簡単に破られるものであろうとも。

ロザリア >  
パルフェと名乗った少女は思案する様子を見せた
それはつまり、その知識が少女にとっても重いものであるということ
命を奪われるか否かの状況ですら躊躇いを禁じ得ない程度には
人間である少女がそれを危惧する理由など、考えれば片手で事足りる

即ち断罪を畏れるか
切り札か

「(件の魔王への献上品とでもするつもりだったのだろうな)」

なんとなく伝わる空気からそう読み解き、最終的に条件を飲んだパルフェに笑みを向ける

「よいであろう。
 吾は人を見下してはいるが、故に人と交わした言葉を撤回などはせぬ。
 安心するが良い」

言い終わるがはやいか、ロザリアが指先で虚空に何かを描く
その軌跡を追うようにして光が形を描き、人間二人が通れる程の、空間の歪が現れた

「立ち話もなんであろう。吾の城へと招待しよう…。
 何、不死者の園ではあるが、気の良い者しかおらぬ故、吾の客であれば命の危険はないぞ」

歪の先には水晶に囲まれた霧烟る警告、そしてその奥に聳え立つ古めかしい城が映り込んでいる

城へと招待すれば、白薔薇が咲き誇る庭園にて血のように紅い紅茶を振る舞われ
初めて得る魔術知識に妙に食い気味に話すロザリアと王城の結界の話をした後、
魔族の国の比較的危険のないエリアへと解放されるだろう───

その際に魔族の国の古びた地図を渡されるが、それが少女に読めるかどうかは、また別の話であった───

ご案内:「タナール砦」からロザリアさんが去りました。
パルフェ > 今までであれ、闇の司祭という立場で王国の人間達から見放されていた存在った。
それもこれで完全に関係を断ち切る事となるだろう。
だろうと構わない、もうそうなる事は砦を抜けた時点で覚悟していたのだから。
それが受け入れられた事を伝える少女の言葉と、目の前に広げられた空間の歪みが見える。

「君を信じるのだ、それしかわたしには道はないのだしな。
それではありがたく招待を受けさせて貰うのだ」

歪みの奥に見えるのは深き渓谷と聳え立つ古めかしい城。
招待された城の中での少女との会話。
魔族の国でも一時を過ごし解放された後、どうするのかは自分次第か。
手渡された地図を大切にしまい次なる目的を…

ご案内:「タナール砦」からパルフェさんが去りました。