2017/08/28 のログ
ご案内:「タナール砦」にナミさんが現れました。
■ナミ > 今日も今日とて、愛刀「薄氷」を携え、然し本日は日暮れ頃に城内から連れ出され、
己の姿は夜半過ぎ、前線の砦の奥まった一室に在った。
部屋、とは言えども、結局は虜囚を押し込めておく小部屋である。
頑丈な石造りの部屋には窓のひとつも無く、出入口は鉄扉一個所のみ。
テーブルも椅子もひとつずつ、簡素な寝台もひとつ。
其の寝台へ腰掛け、いつも通り胸元へ「薄氷」を抱き込む己の両手首は、
黒い金属製の枷で繋がれており。
「―――どうせ、知らないひとに決まってる、のに、ね。」
「薄氷」の柄巻へ唇を寄せ、溜め息と共に呟きを落とす。
砦の何処かに、敵の一兵が捕らえられているのだと聞いた。
此れは謂わば首実検、己が其のひとを知っているか、其のひとが己を知っているか。
顔を合わせるだけの為に連れて来られたけれど、対面までは未だ時間が掛かる様子。
知己に巡り会う可能性など、万にひとつも信じられぬ己は、ただ、
此の待ち時間に退屈し、欠伸すら洩らしてしまうだけだ。
■ナミ > 味方であれ、敵であれ、己に縁の繋がる者、というのが、
そもそも、己には想像も出来ない。
己自身の事すら碌に覚えてもいないものを、家族だとか、友人だとか―――
信じられる筈も無い。そんなものが、己にも居る、等と。
「……だって、わたしには。貴方、だけで良いんだもの」
己の手に最も良く馴染む、己の分身たる白銀の刃。
ひんやりと体温を奪う硬い感触も、己の一部とあれば心地良い。
家族、というのなら、此の「薄氷」こそ、唯一の家族では無いか、とさえ。
手首を戒められていようと、こうしていれば心は穏やかだった。
ゆらゆらと、意識ごと存在が揺らぐ感覚すら、赤子をあやす揺り籠の様で。
■ナミ > ゆらゆら、ゆらゆら―――身体が揺れて、揺れて、寝台へ倒れ伏す。
抱きかかえていたカタナが煙の様に掻き消えたのが、己が意識を失った合図。
ごく微かな、けれど確かな寝息を洩らす己は、きっと朝まで目覚めやしない。
「誰かさん」との対面は、明日の朝に持ち越されるもの、と―――。
ご案内:「タナール砦」からナミさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にロイナさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。
■ロイナ > 血の臭いが絶えることのない砦。今日は魔族が支配しているらしい。
果敢に戦い敗れ去った騎士の死体が転がる屋外を一瞥し、やれやれと溜息をついた。
「よくもまぁ、飽きもしないで戦ってるよねー……」
淫魔ゆえ、戦うことに意義を見出せない。まぁ理屈やら何やらは理解できるのだが――
硬く重い石が積まれた階段をゆっくり上がって、見晴らしの良い場所に出てきた。
砦の周囲を見渡せるような高台に腰を下ろし、ぼんやりと空に浮かぶ月を眺める。
■ロイナ > 「……あーあ。暇だなぁ」
すっくと立ち上がると、豊かな胸を揺らしながら大きく背伸び。
戦地で何とも呑気な欠伸を零すと、のんびりとした足取りで階段を下りていく。
そして次の瞬間には、その場から姿を消した。
あとに残るのは、淫魔の微かな残り香のみで――
ご案内:「タナール砦」からロイナさんが去りました。