2017/08/02 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
■ゼロ > 祭りも終わり。
城などの防衛に駆り出されていた兵士たちが戻ってきた。
この一ヶ月間は地獄だった、向こうは変わらずこちらは減っていて。
散発的に襲いかかってきたかと思えば、大攻勢も。
何とか乗り切れたか、と少年は砦に入ってくる仲間たちを眺めて思う。
そして、この時期だからこそではあるが水を浴びるなり風呂に入るなりしたい。
人数が少ないからローテーションの時間も短く、食事、仮眠、防衛とか、そんな感じでずっとぐるぐる回っていた。
かなり疲労がたまっていると自負できる。自慢してもしょうがないことだが。
兎に角、これでもう少し緩和はされるだろう。
その前に。
少年は砦を眺める。
人数が減ったことによって砦の被害もそれなりに。
まずは修復してほしいなこれ、と思うのである。
まあとりあえず、交代の時間まではと、門のところでの警備を続けることにしよう。
ご案内:「タナール砦」に紫・沙華さんが現れました。
■紫・沙華 > 警備員としてそれなりに祭りを楽しんでいた少女は地獄の一か月を死守していた砦の者たちの徒労を意にもせずねぎらいの言葉もなく砦の回廊を突き進む。あるいはそれは、傭兵として雇われているに過ぎない少女からすると当たり前なのかもしれない。同胞たちに人目もくれず歩き進んだ先は砦を見つめる少年の隣。すとんと座って少年に話しかける。
「間違っていなければ交代の時間のはず。疲れてるみたい。さっさと休んできて」
視線も合わせずに少年に向かい不愛想につぶやく。もっともそれは少女の人見知りな正確に由来するものなのだが。少年からすればどのように映るかはわからない
■ゼロ > 「……うぇ?」
じっとしていたが、時計を確認していなかったためか、交代の時間ということに気がつけていなかった。
となりにやって来た少女の言葉に視線を向ける。
人の行き来も多かったから、自分に対する交代、ということを失念していたらしい。
「もう、そんな時間だっけ。」
少年自体は懐中時計を持っていなかったので、星を見る。
星では大体の時間しかわからなかったが、時間は立っていた模様。
仮面をつけたままの少年は、彼女の方を見る。
真っ白い無貌の仮面が、彼女にさらされる。
月明かりが反射しているそれは、彼女にどう見えるだろうか。
「ありがとう。
……あれ?えと。」
彼女を見た覚えはない。
傭兵であるみたいだけれど……、名前を言おうとして言えず、まごつく少年。
■紫・沙華 > 「驚くことはないと思うけど。仕事に熱中していたの?…いい心構え。」
時間を忘れていたのか時計を見ながらうろたえる少年の反応を好意的に解釈した少女は慌てた様子の彼とは対照的に表情一つ変えず持ち場に座り込み、得物の大剣をいつでも振り回せるように抱きかかえて月明りに移る仮面の姿をちらりと覗く。そこそこ興味は持った様子である。
「新しく配属された傭兵。名前は…知りたい?もし戦死者欄に載っているのを見つけたら、夢見が悪いと思うけど。…まあその仮面の理由でも教えてくれたら、教えてあげてもいい。」
少女の口ぶりからは想像しにくいが少女なりの冗談のつもりである。まごつく少年に近づくと真っ白な仮面を指でとんと叩いて首をかしげる
■ゼロ > 「いや、周囲の警戒おろそかになってたよ。
仲間とは言え近づいてくる人に気を払えてなかった。」
声に苦味を滲ませて自分の後頭部を軽く掻いてみせる。
傭兵の彼女の獲物を眺め、自分とは色々と対照的だなあと思ってしまう。
自分の武器はナイフ。体格を考えれば、武器を交換すればすごくしっくりくると思う。
見た目と、使い心地、戦い方は人によって違うので、思うだけでとどめておく。
傭兵としてここにいる以上、その剣の実力も確かなものなのだろう。
「名前を知ったほうが、いざという時に連携しやすいと思うよ。
僕はゼロだ。
よろしくね。」
彼女の問いに軽く返答して見せてから。
自分の仮面に指を押し当てる姿に、軽く笑ってみせて。
「これ、僕の生命維持の為の仮面。
外してすぐ死ぬ、というわけじゃないけれど……
付けてないと、戦闘は長時間できないんだ。
あと、これ、何気なく宵闇を見通せたり、魔法への抵抗が有る素敵アイテム。」
冗談を冗談と思っていないのか。
彼女の問いに真面目に返答する少年。
秘密にするほどのものではない、と考えたのだ。
■紫・沙華 > 「まあその油断で私が死ぬわけではないから構わない。…この剣、そんなに知りたいなら体で味わってみる?」
苦々しい口調の少年に対して特に気に掛けるでもなくさらりと受け流すと自身の得物を眺める視線に気づいたのかゆっくりと得物を構え少年の首筋に触れるまで近づけて。しかしあくまで挑発というわけではなく、純粋に腕試しの申し込みととらえたようでその声の調子も本気の雰囲気は伝わらないだろう。そもそも少女が変な依頼を各地に振りまいているのがいけないことだ。
「連携…確かに言えてる。私は紫・沙華…シャーファでいい。まあ本当に危なくなったら私は逃げるけど。」
仮面の奥で笑う少年に興味深そうに維持装置という仮面をじぃっと見つめる。頭の中ではなかなか便利なものみたいだ。という理解程度はできたようで仮面をはずせとまでは口にはせず。
■ゼロ > 「まあ確かに。僕がうっかり殺されてしまうだけだね。
気を引き締めないと。
剣に関しては訓練程度の運動でよければ……。
一応、引き継ぐとは言え、任務中になるし」
首筋に近づくその大剣にノンビリとした口調で肯定の返答を。
彼女の実力も気になるし、大剣相手の訓練もしたい。
彼女がその気なら、そのまま首と胴を泣き別れにもできるだろうし。
そして残念ながら、少年は彼女が振りまく依頼を知らなかった。
あまりこの砦から出ないからというのも大きいが。
ぼっち力が高くて、情報に疎いのが大きい。
「それでいいと思うよ。
死ぬまで踏ん張るのは軍人の役目だし。」
その軍人ですから、と少年はカラカラ笑いながら、ゆっくりと離れる。
5m程の距離を取ってから、肉厚ナイフを両手に構える。
軽く飛び跳ねたりしての準備運動で肉のコリをほぐして。
銀の全身鎧の少年はナイフを持ち上げて、構えを取る。
「僕の準備はOKだよ。」
■紫・沙華 > 「そう…それじゃあ賞金は考慮しなくてもいい…かな?」
おそらく少年には聞こえない程度の声で一人つぶやくとそのまま間合いを取った少年相手に改めて大剣を構える。刃の中心に合わせて持ち手のついた特殊な形の大剣を、まるで槍のように構える。そのままゆっくりと少年の動きに目を凝らしながら一瞬の隙さえも逃さないようにじっと相手を見つめたままで
「軍人といっても所詮は人間。生きていれば復讐もできる…私もいつでもやれる。」
■ゼロ > 「軍人は命令の下では駒だよ。
勝手に逃げることもできないし、復讐することも許されない。
そういう自由を売り渡して、糧を貰うんだ。」
彼女の大剣の構えは槍に近い模様。
そこから考えられるのは突きの攻撃だが、特殊な場所にある持ち手が気になる。
初見、知らぬ形状の武器に必要以上の警戒を払って。
少年はナイフを握り直す。
ナタに近い形の「く」の字の肉厚のナイフ、それは、叩き切る為の武器でもあり。
その厚さ、魔法の強化で盾にもなるそれ。
実は刺突には向かない武器だが、少年はそれをよしとして使っている。
「では。」
一言を合図として、少年は走り出す。
一歩、二歩目で加速、三歩目には一気にトップスピードへ。
地面をえぐるような踏み込みの加速を持って、大剣の弱点である懐に潜り込み牽制の為胴部への篭手をはめた腕でのパンチを狙う。
■紫・沙華 > 「駒…ね。まあ人間なんて何か大きな力のもとの駒にしか過ぎないのかも。」
少年の得物に対し間合いでは圧倒的有利。しかし間合いを一気に詰められると形成は一気に逆転する。少女もそれは理解していた。していたのであるが
「速い…!ぐぅっ…でも、肉を切らせて骨を断つ…」
予想だにしない速さに間合いを許してしまう。大剣ではおそらくガードは間に合わないだろう。けん制の胴部へのパンチを甘んじて受ける。おそらく第三者が見れば一瞬で勝負あったように見えるだろう。しかし少女は珍しく不敵な笑みをこぼす。パンチの当たる刹那、身体を柔軟に曲げることで衝撃を逃したらしい。そのままパンチを放ち一瞬の隙ができた相手を大剣で引き寄せて足をかけて倒し、寝技に持ち込もうとする
■ゼロ > 「……かも、しれないね。」
自分の人生を思い返す。
幼少攫われ、実験道具になり、逃げて傭兵となり、軍人となる。
どの状況も、必ずしも自分には上の存在が居るし、居た。
それを思い返すと、彼女の言葉を否定できなかった。
「……っ!」
懐に入り込むまではよかった。
彼女の腹部にめり込んだかと思った拳は彼女の方から衝撃を逃がし、ダメージはあまり与えられなかった模様。
そして、牽制として打った瞬間を狙われた。
天地がひっくり返る感覚とともに地面に倒される。
がしゃんと、地面と鎧がぶつかり合う音。
そして、そのまま寝技に持ち込もうとする動きに少年は思考する。
寝技では彼女も大剣を使うことはできないだろうから。
そうなると、考えられるのは首や、つなぎ目。
少年の全身は鎧に包まれており、絞め技や打撃は有効ではない。
ナイフ等の武器で隙間から突き刺すか。馬乗りで顔面連打か。
こっちは……。
彼女に腕を伸ばし、捕ま得るのに成功すれば、そのまま、ベアハッグにもちこもうとする。
これでも、肉体を薬物で強化し尽くした体である。
鎧と篭手で抱きしめて潰すだけでも、かなりの驚異となろう。
■紫・沙華 > 「んぐっ…やる、じゃない…」
もはや大剣は必要ない。全身を使って少年を締め倒そう。そう考えての少女の行動はやはり裏目に出たらしい。少年の人間離れした力の前には技の精度が武器の少女では圧倒的に不利である。そのままベアハッグに持ち込まれるとまるで蛇にとらえられた小鹿のように締め上げられる。しかし少女も負けてはいない。締め上げられながらも少年の締め上げる腕、その鎧の隙間に隠し持っていた針を突き刺す。軽い神経毒の混じる針である。のちの任務にさほど影響は出ないであろう。この勝負はもらった。不覚にも少女はそう判断してしまったらしい。
■ゼロ > 「ごめんね。針程度は数秒で治るんだ。」
先ほどの仮面の効果、針程度の小さな物であれば、抜いたらそのまま治癒されてしまう。
そして、言わなければわからぬのはお互い様だが。
少年は薬物に漬け込まれた身体、毒は効果が薄く、それこそ、人を殺すような強烈な毒でも、対抗できてしまう。
彼女の毒の効果を意ともせず、ぎり、ぎり、ぎり、と徐々に圧を高めていく。
「まあ、見た目通りの重戦士だから……力には自信があるよ?
どう?降参……する?」
ぎり、ぎり、ぎり。
少年は少しずつ力を込めるも、殺す気はない。
このへんで、いいかな?と。
そして、逆に仕切り直す?と問いかける。
これは訓練であり、殺し合いではない。
先程は先手を貰ったし、次は、彼女が先手でとも。
■紫・沙華 > 「なかなか…侮っていたみたい…それじゃあ奥の手、出させてもらう…」
身体をギリギリと締め付けられていく。不覚を取ったことに対する自虐からかその顔には苦々しい笑みがこぼれる。少年の言葉を受け入れる様子もなくそのまま少しずつ込められる締め付ける力を感じつつ、タイミングを計るように耐える。そして一瞬のタイミング、おそらく少年が隙を見せたわけでもないなんの変哲もないタイミング、その一瞬で少女はまるで魔法のようにスルリと少年のベア八ッグから抜け出してしまい即座に地に落ちた大剣を握り横なぎにする
「私も体術の心得がある。抜け出す技もいくらかは、ある」
とはいってもかなり苦戦したことに変わりはないのだが。それは少女の乱れた呼吸が物語っているだろう。そして少年に反撃の隙を与えまいと、ある時は大剣として薙ぎ、ある時は槍のように突き、ある時は棒術のように乱舞する動きで少年に乱れ斬りを続ける
■ゼロ > 「……ー!?」
急に感覚が抜けた。
彼女がするりと抜け出したと気がついた時にはすでに彼女は大剣を持っていた。
声を出す暇もあればこそ。
倒れたままの自分の体を横薙ぎに吹き飛ばされる。
「―――がっ」
強かに鉄の塊に薙ぎ払われて転がり。
彼女の反撃が始まる。
薙がれて、吹き飛び、突きを転がって避けて。
打撃にはガードで対応。
金属が金属を打ち付ける音が響く。
立ち上がる暇すらなく、少年は只管大剣での致命傷を避けるようにガードをする。
そして、彼女の突きに合わせ剣の腹に全力で腕を叩きつけてずらし、大きく体制を崩させてから、立ち上がろう。
■紫・沙華 > 「ふぅ…これ以上やると私もさすがに、任務に差し支える。」
華奢な体での乱れ斬りはさすがに負担が大きかったみたいでそのまま座り込む。もちろん少年がここで少女へ追撃すれば少年の勝ちであろう。しかし少女自身は自身の大剣使いとしての矜持は出し切ったためか、敗北を覚悟しながらも自身の隙を男に見せ続ける。
「正直、ここまでとは思わなかった。あなたとなら…まあ、やぶさかではないかもしれない…」
少年に聞こえるか聞こえないかというほどの声で呟く。もちろん少女の出自など知らない少年には果たして何のことかわからないだろう。少女はそのまま大剣を背負いそのままの視線でまっすぐに少年を見つめる
■ゼロ > 「それなら……ここは引き分け、ということで。
一手、ありがとうございました。」
訓練に勝敗はこだわりはない。
それよりも、気になることがあったからで、ある。
彼女の特殊な剣、体術。
見たことのないモノ、魔法のような抜け技、それを見れただけでも充分勉強になったから。
そして、彼女ならわかるだろう、少年の動きは技ではなく力任せな事が。
彼女との戦いで、色々学んでいることが。
「まあ、一応魔族と戦うためにあるから、ね。
……?吝か?」
居るではなく、あるというのが、少年の自己評価を端的に表しているのかもしれない。
無意識の言葉ではあったが。
自分を見る彼女、つぶやいた言葉に、仮面の少年はナイフをシースに戻して見返す。
仮面のせいで視線はどこにあるかわからないだろうが、彼女に意識が向いているのは確かで。
■紫・沙華 > 「うん。強い人は好き。ありがとう。楽しかった。…魔族と戦うためにある…?独特な言い回しをするんだね?」
自身の剣術や体術が少年にどのような影響を及ぼしたのか少女は知る由もなく、しかし少女もまた自身の課題点が様々浮き彫りになったという時点では学ぶことは多々あったのであろう。その表情はどこか満足気で、少年の最初に見せた素早い動きをまねようと見様見まねでピョンピョンと技を会得しようとしていたりする。
「やぶさか…?ああ、あなたみたいに強い男の子なら、宿すのもやぶさかではないってだけ。気にしないでいい。君はそういうこと、うぶなにおいがする。」
少女のつぶやいた言葉に反応したのか、自身を見つめ問いかける様子に一瞬首をかしげるも、自分の言葉に対する疑問であることを悟るとためらいもなく応え、まるで挑発でもするように鎖骨をちらりと少年に露わにして見せる。