2017/06/15 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 戦がおわり、帰ってきた。
 今回は痛み分け、というところなのだろう。
 主目的は完遂したが、別の所で敗走している……戦略的には問題はないと言われている。
 何か引っかかる気もする。
 ただ、命令で撤退し、砦の防御を固めることとなっている。
 それならば命令に素直に従おう、それと同時に、交代の時間でもある。
 食事を取ることにしよう。

 少年は、砦の中で一番活気のある食堂へと足を運ぶ。
 酒を持ち、飲んでいる傭兵、昔の同輩でもある。
 戦火を楽しそうに語る兵士、今の同僚である。

 ただ、同輩も、同僚も友人というわけではない。
 なので、少年は一人誰に声をかけられることもなく食事を受け取り。
 塊から離れた済の方の席を陣取り、食事を一人開始する。

 フルプレートアーマーに、仮面で顔を隠し、マントで首元隠す。
 そんな怪しさ満点の少年に声をかける人物が、普通にいないからということもあるのだが。

ご案内:「タナール砦」にオルセィユさんが現れました。
オルセィユ > 背中の黒い羽根を人に悪魔的だと見咎められた。結果は両方の手首に魔法の木で作られた手枷が嵌っている。力尽くで外そうとしたができずに、膨れて隅っこのほうで小さくなっていると一人でいる子を見つけた。これ幸いと、ゴソゴソと隅の影に紛れて場所を移動して行き。

「モシモシ。あなた、ちょっとこの手枷外すの手伝ってくれない?今日は悪いこと何もしてないのに掴まってしまったんだ。」

身じろぎするとわさりと背中の後ろで羽根が揺れるが元々が人間の体なので飛ぶことはできない。
手首に嵌った手枷を見せながら小さく微笑んで、身を乗り出して少年がいるすぐ近くでじっと様子を観察するかのように見詰めながら捲し立て。間違いかどうかは話してみないとわからないが、なんだか少年からは悪い事をしそうな感じを受けなかった。

ゼロ > 「……!?」

 少年は驚いた、理由は幾つかあった。
 1・声をかけられるとは思わなかった。
 2・声をかけてきたのが、異種族、むしろ魔族に見える存在に思えたから。
 3・魔族との前線基地で、魔族ぽい存在がここにいるとは思えなかったから。

 以上三つの理由から仮面の少年は驚きを隠せずに、彼女の方をまじまじと見る。
 どうしよう、しばしの黙考。
 食事中というのもともかく、魔族である。
 自分は何か、魔族を退治する第七兵団である。
 倒すべきか、と考えるも、身分を隠しつつも魔族を倒すために第七に所属する同僚を思い出す、

 とはいえ。

「えーと。
 今日『は』……ですか?」

 気になった部分を問いかける。
 普段は悪いことしてますと、と言っているようなものである。
 今、ここは人間が陣として手に入れている状態である、魔族がふらりとくれば、捕まるのも道理。
 殺されないだけマシだと思うべきだろう。
 困惑を前面に押し出しつつ、目の前の存在を眺める。

オルセィユ > 「うん。前に一回、すごく悪いことをして悪魔になったんだよ。」

悪びれはせず、素直に少年の目の前で本当のことを言ってみる。声には楽しいことを人に教えるような響きがある。
その間にも魔法をかけられた手枷を横に思い切って引いてみるがびくともしない。こんな板切れ一枚、普段の腕力を出せばすぐに割れてしまうものをどうしようにもできない苛立ちで眉が低く寄ってきて。魔法さえかかったものでなければ。
ふらっとやって来て捕虜になったはいいが、夜も深いし段々人の目が周囲に同調して薄暗くなってきている。これからボコられるかと想像したら一刻も早く抜け出すことが必要に思われたが、手枷を外さないと不自由で、ぶらぶらと手枷を嵌めた腕を動かしてみて。
困惑する少年を前に、いったんは諦めたような心地で頭を下げて息を吐き出して。

「ああ、やっぱりダメっぽい。あのまま墓場でじっとしてたほうが良かったかもしれない、神よ!」

ゼロ > 「えー。」

 さらっと何かすごいことをカミングアウトされた気がする。
 余りにもさらっと適当に流されたので流しそうになったけど、ちょっとストップして考えてみる。
 何かしでかして悪魔になった。
 ということだけど、その手枷、いつ封印されたのだろう。
 しかも、目の前で急に嘆き始める。
 どうしよう、これ。

 本当に心の底から困る。
 冤罪だとか、それならまだ情状酌量の余地もある。
 でも何かしでかしてるとなると、この手錠をはめた人たち(誰だか知らないけれど。)彼らの考えが正しいとも思える。
 なんか微妙に楽しそうで今の状況を楽しんでいるようにも思えるし。

「そりゃあ、普通に前科者の枷を外すほど、脳みそ空っぽのつもりもないですし……。

 というか、今、生きてる方がすごく不思議なぐらいここ敵地じゃないですか。」

 余りにも気安い雰囲気なので、牢獄に連れ戻すための憲兵を呼ぶことを失念してしまう少年であった。

オルセィユ > 悪魔の姿でいることを恥じはしない。
自分を前に出して、そうして今の状況でも見せかけだけだとしても十分に笑っていて。
手枷をかちゃかちゃと、腕を前後に動かしてみるが玩具が焦れるような音を立てるだけ。
食事をする場所に立ち込めるスープや食材が立てる匂いが鼻にずっと届いていて、元々は石だったものの口の中に唾が溜まってきそうであり、ちょっとくらいは既に唾を飲み込んで。

「ご察しの通り、前科者です。見た目は子供っぽい感じがするけど中身は分別のある大人だったね。なら魔法が使えそうな人を探すしかないかなあ。」

目を明かりの反射できらきらと輝かせて、少年を眺めてからきょろりと周囲を見回して確認。今の状況と言われた状況がわかっているのかいないのか、言葉に対する答えを返し。

「生きてることって不思議だよね。こんなにも、人の顔は明るい。」

ゼロ > 「もしかして、何も考えずに解除されることを期待してた……。」

 確かに、自分は少年である。
 見た目……仮面に包まれてるし、全身鎧ではあるが、彼女(?)の見立て通りに子供なのは否定しきれない。
 人生経験という意味では普通の子供にすら劣る部分は否定できないのだから。
 美味しそうなスープの匂いにのどを鳴らす彼女に、飲みますか、と自分の飲みかけのスープを差し出す程度には。

 キラキラと輝く視線で見られても、一応この国の兵士だ、見習いだとしても兵士だ。
 敵性(?)に成りうる悪魔を解放するつもりはサラサラにない。
 疑問符が多いのは、判断ついてないというのもまた、あるのだが。

「まあ、ここにいる人は、生きることを全力で楽しんでますからね。
 いつ死ぬか、わかりませんし。」

 魔法が使える人がいたとして、彼女を解放してくれるのだろうか。
 というか、彼女捕まえておかなければならないんじゃないかという思考がふつふつと湧き始める。

オルセィユ > 「どんなに強力な魔法でも、お情け一つで解除されてしまうって。悪魔は夢見るお年頃だからね。」

ズルズルと長いローブを引き摺っている魔法使いらしき人物を眺める。
顔にも体にも油が乗って禿げており、なかなか好色そうな顔つき。美味しそうという見方をすれば良いような人物であった。

「うへへ。一回抜け出したほうが得かもしれない。よし、行こう。」

うへへと情けない声を出してから、顔つきを引き締め。拘束は手首だけなので立ち上がろうと思ったらできるという、なんとも簡単な拘束のされ方をしたものであったが。
本人も事の重要さに気付いてなく、暴れるつもりもなければ大人しくしていたのだが、空間の隅のほうの暗さに紛れて再び移動を始めて。

ゼロ > 「え。」

 ここで二回目のえ。がでました。
 見た目年齢、こちらは仮面で不詳ですが、どう見ても見目麗しいご婦人……?男性……?それともやっぱりご婦人?
 何はともあれ、男性が性的に見ればOK!な容貌のご様子。
 でも、それは夢見るお年頃というのは、ちょーっと、ほんのちょっと、多分少しだと思いたい、過ぎてるんじゃないかなーと。
 それを素直に思っても口にしない、表情に出てるけど、全体仮面の下で隠れております万歳。
 そんな、一文字のツッコミに気にすることなく、彼女(?)は、エロそうな男性へ。

「えーと。あー……。」

 困った。
 アレは止めるべきなのか、イマイチ判断がつかない。
 拘束されてるし、でもほかの人は気にしてないし。
 そのままにしたら、逃げてしまいそうだ。

「憲兵さーん。」

 困ったときの憲兵。
 再度拘束してもらって彼らに判断してもらおう。

 少年 は なかま を よんだ。

 けんぺい が あらわれた。
 とりあえず、彼女の拘束を依頼する。
 彼女が彼らから逃げられるかは、知らない。
 呼んだあとは、ご飯に向き直ったから。

オルセィユ > 悪魔のお年頃も適齢期も一見しただけではわからないものであると言っておこう。

憲兵があらわれた!
剣を振り翳して、ターゲットを見つけるが早いか声を発して襲いかかって来る。心なしか、チェストと言っているようにも聞こえ。
シマッタ見つかったかと、今更過ぎて気がついていた輩もいようが、見つけられたことに今更ながら驚いて、後ろをまっすぐに振り返る余裕は見せずダッシュの駆け足。
冷や汗をかいていよう。駆け足のルートが食堂を出口の方向までまっすぐな線を描くことになり、余計な手間を省くことができたことに感謝もしながら。

「さようなら!そらそら逃げるわよ、なんとしてでも逃げきってみせる…!」

キャッキャと黄色っぽい声を上げながら、ワンピースの布が翻るのも気にせずどすどすと大股で駆けて行き。

ご案内:「タナール砦」からオルセィユさんが去りました。
ゼロ > 女の子はミステリー。
 異種族の女性はさらにミステリー。

 少年はひとつ理解を得たような気もしなくもない。

「……うん。」

 憲兵がいたぞーとかなんとか言いながらダッシュしてくる。
 そして当然のごとく彼女がダッシュで逃げていく。
 ああ、やっぱり、捕まえておかなきゃならないけいのサムシングだったんだなと、少年は理解する。
 しかし、今は休息中で食事中。
 一気にかっこんでから少年も立ち上がる。

「やっぱり捕まえなきゃいけない系の人じゃないか……!!」

 楽しそうに逃げる彼女を追って、少年の休息は終わる。
 捕まえたかどうかは、また別の機会になりそうだ……っ。

ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。