2017/05/21 のログ
タマモ > 「冒険者か…あんな阿呆共よりも、冒険者を相手した方が面白いのやもしれんな?
まぁ、国に仕えておる者も、一部には面白そうな相手が居るものじゃが」

その言葉に、くすりと笑い、相手を見遣る。
目の前の相手も冒険者、そこらの者達を相手にするよりも…この相手の方が、面白いかもしれないと、言わんばかりに。
すぅっと細める瞳が、それをより明確に意識させるかもしれないが…すぐに表情を戻す。
まぁ、冗談だ、と…半分は本気だが。

「ふむ…まぁ、馬鹿鴉にも同じような事を言われたのじゃがな?
遊びが過ぎる、とのぅ…?
暇潰しに、少しでも強い者と遊んでみたいものじゃ…」

それが、心配によるものなのか、それは分からない。
今は術式によって力は抑えられている為、確かに気を付ける事はしなければならないが。
…それでも、そういった相手にまったく出会えていないのだから、仕方が無い。

と、ふと続く言葉に、軽く首を傾げる。
そういえば、報告の一つに…と、そこで、ぽんっと手を打った。

「うむ、変わらずにのんびりやっておるのではないか?
妾も、そこまで通い詰めておる訳でもないしのぅ。
よく分からんが、そういえばセインに会うた事も言っておったな?
細かくは教えてくれんかったが…シノが他人を家に招くなんぞ珍しかったから、覚えておったのじゃ」

で、それで何があったのじゃ?と、首を傾げたまま、向けた瞳そう問うているように見詰めていた。
…ちなみに、報告で名前を思い出したのか、やっと言葉に相手の名前が出てきていたのだが…気付けただろうか?

セイン=ディバン > 「……相手、ですか。まぁそうですねぇ。
 タマモ様のお暇つぶし、ということなら。お付き合いいたしますよ?
 無論命のやり取りは勘弁願いますが」

相手の笑みに、背筋が凍る感覚。ごくり、と喉が鳴るが。
そこで男はニヤリ、と不敵な笑みを浮かべそう告げた。実際、戦闘能力なら勝ち目など万に一つどころか、数十万に一つも無いだろう。
しかして、改めて超越者級と戦ってみたいという思いもあった。
その不敵な笑みは、相手が表情を戻しても消えず……。

「鴉……あぁ、噂の……。
 未だお会いは出来ておりませぬが。想像するに、堅物の従者様、という感じですかな?」

以前この方の従者に会った際聞いた存在。鴉。だったような?
男の中では、老獪な執事的ビジョンが思い浮かんでいるが、さてさて本人はどのような方なのか、である。
そうして、少しでも強い者と遊びたい、と聞けば、男は目の前の大妖から、二歩、三歩、と距離を取った。
まるで、それが戦いの開始の合図かのように。
しかして、そこで質問に返答が帰ってくれば、少し困ったような表情になり。

「そうですか。それはなによりです。
 いやぁ、あまり外遊びが過ぎますと、怒られかねませんよ?
 ……はあ、ええまぁ。なんといいますか……その。
 こってりと『搾られ』まして」

ごにょごにょと、何とか誤魔化そうとしていたが、隠していてもいずれはばれるだろうな、と思い。男は単刀直入にそう告げるだけにとどめておいた。
なお、ようやっと名前を呼んでもらえたことについては……どうにも気づけてはいない様子。男としても、自身の名前は偽名なので、あまり頓着しない性分らしい。

タマモ > 「ほほぅ…セイン、お主が付き合うてくれるとな?
さすがに、命を奪うような悪党でも無いのに、そんな事はせん。
叩けば育つ芽を摘む程、考え無しでも無いからのぅ…?」

普段の表情を浮かべたまま、視線は相手から逸らさない。
扇子で扇いでいた手が、ぴたりと止まった。
その表情が、笑みへと変わる。

「あー…知っておったか。
会っておらぬのに分かっておるとは、説明要らずで助かるのぅ。
まったく、その通りなのじゃ…もう少し、柔軟になって欲しいものじゃが…昔ながらじゃ、仕方あるまい」

まぁ、相手が式をどう想像をしているかは、分からない。
さすがに、世界が違えば考え方も違うが…それは仕方のない事だろう。
相手をする、それが真である事を示すように、相手が数歩後ろに下がる。
あらぬ方向に揺れていた尻尾が、その動きをぴたりと止めた。

「うぐっ…ま、まぁ、そういつも会う訳ではないからな、大丈夫じゃろう。
………そうか、シノに気に入られたようじゃな?
ふふ…あれはあれで、なかなかに楽しめたじゃろう?」

苦手意識が多少あるか、軽く唸り、視線が逸れる。
が、もう一体の式の話が続けば、にやにやと意地の悪そうな笑みを浮かべた。
うん、事情を察した、そんな笑みだ。
まぁ…名前に関しては、気にしてないならば、それで良しである。

セイン=ディバン > 「僭越ながら、ですが。正直想像するだに、恐怖しかないですがね。
 とはいえ、まぁまぁ、お暇つぶしくらいなら。
 オレの命を全力で賭ければ……それくらいは何とかなるのではないかと」

笑う相手に、男は冷や汗を流しながらも答え、不敵な笑みを浮かべたままだ。
本音を言えば、逃げ出したくもあるのだが……。ここいらで実力差を知っておくのも良い機会だろう、という考え。

「はい、少しだけ。
 まぁ、従者とは主人を想うものですから。恐らくはタマモ様を案じてのことですよ。
 そう言う忠言とは、耳に痛いでしょうけど」

どこか歯切れの良くない言葉をほほえましく想いながらも、従者に慕われているのだろうなぁ、と思う男。
そうして、更に後ろへと下がっていけば、相手の尻尾の揺れがぴたり、と治まった。いよいよか、と緊張し、唾を飲む男だったが。

「おや、もしや苦手だったりしますか?
 ……う~ん、どうでしょうねぇ。そうであれば嬉しいのですが。
 ……まぁ、ハイ。否定はしませんが。やはり、搾られるだけ、というのは少し辛いです。シノさんは可愛らしいですから、なおさらですよ」

従者と主人の間にも色々あるのかな、と少し苦手意識を見え隠れさせた相手に微笑みつつも。
勘良く察されてしまえば、今度は男が視線をそらす番だ。
そこで男は、ぴん、と何かを思いついたように目を開き。

「タマモ様。もしもこの暇つぶし、オレの実力がタマモ様に認められたのであれば。
 願い事を一つ聞いていただいてもよろしいでしょうか?
 逆に、タマモ様のお眼鏡にかなわなかったのであれば、自分がタマモ様の望みを一つ、叶えたいと思うのですが」

そうして、賭けを持ちかける男。何を企んでいるのやら。
なんにせよ禄でもないことであるのは間違いないだろうが……。

タマモ > 「まぁ、命は奪わぬと知っておっても…痛い思いはするのじゃ、そうじゃろう。
…全力は良いが、命は賭けるでない。
どんな戦いであろうと、情けなくとも、まず生きて戻る事が第一じゃ。
特に、待つ相手が居るならば、な?」

瞳を閉じ、言葉を返しながら、言い聞かせるように語る。
そして…ゆっくりと、その瞳が開き…

「分かっておる、互いに、それなりに理解しておるつもりじゃ。
まぁ…でなければ、面倒で聞いてられん」

ふぅ…深く息を吐きながらの呟き。
実際に、そうでなければ聞く耳も持たないだろう。
…そんな会話の最中ではあるのだが、ゆらりと尻尾が揺れる。
少女自身は突っ立ったままだ、代わりにすべての尻尾がぐん、と伸びる。
それは一本一本が別の生き物のように動き、大振りに襲い掛かった。
受け止めようと思うなら、受け止めてみても良いだろう。
間違いなく、武器ごと吹っ飛ばされる程の威力を知るのだが。
それは、直撃をすれば一撃で骨が軋む程のものだ。

「………怒られるのは、苦手じゃ。
可愛らしいか…まぁ、可愛いと言えば可愛いのやもしれんな?
その内は、一度体験しておるのだから、分かっておるじゃろうが。
して、お互いの望みではあるが…まぁ、認められたらのぅ?」

油断無く、相手の動きを視線に留めながら言葉を返す。
相手が動けなくなるか、または、尻尾を潜り抜けてこちらへと突っ込んでくるか。
そうならぬ間は、縦横無尽に尻尾が襲い掛かってき続ける事だろう。

セイン=ディバン > 「ははは、それは確かに。ですが……。
 全力でやる以上、命は無条件で賭けるものですよ。痛い思い同様、です。
 無論。そのつもりではありますが……。ここは意地の張りどころ、というやつでして」

ゆったりと、深く刻み込まれる相手の言葉。
その言葉の意味は男にも理解できるが……相応の覚悟も決めているようで。

「これは失礼。いらぬ世話に余分な言葉でしたな。
 しかし、それはそれとして……って、いきなりかよ!!」

相手の呟きに苦笑いしつつも、また何か一言余分なことを言おうとした瞬間。
目の前で、少女の尾が動き、男に襲い掛かってきた。
それはまるで意思あるかのように。例えるなら、身を捩りながら襲い掛かる大蛇のようにも見えた。
防御、もしくは回避。男は後者を選んだ。身体強化の呪文を唱え、後方へと跳び退りながら、右手で散弾銃。左手でリボルバーを構え、襲い来る尾に向かい、何度も何度も発砲を繰り返す。

「ははははは、タマモ様は案外可愛らしい部分をお持ちでいらっしゃる!!
 えぇ、シノさんは可愛らしかったですよ。その内面も含めて、ですっ!!
 それでは、認めていただけるよう全力を尽くします!!」

叫びながら、男はバックステップを止め、瞬時に横方向へと跳躍する。同時に銃の弾丸をリロード。
当然ながら、人間の持つ唯の銃程度では大妖たる少女の尾の動きは止まらない。必死に身体強化を連続で唱えながら、何とか逃げ回り続ける男。足を止めれば、一気に押しつぶされる。
そこで男は懐から器用に爆薬を取り出し……転送魔術で、それらを少女の後方へと転送する。
反響爆弾と、煙幕。少女が気付かねば、煙幕の煙と、耳障りな音を鳴らすだけの爆弾が、少女の後ろで破裂することになるが……。

タマモ > 「ふむふむ、心の持ちよう、じゃな?
それも良かろう…さぁ、その意地がどこまでのものか、見せて貰うのじゃ」

襲い掛かる尻尾、それは感触等は本物のそれであるものの、実際には力の象徴であり本物ではない…一本を除いては。
しかし、その本物の一本とて簡単に傷付くような賜物でもない。
その動きは大雑把だが、本数が本数である為に油断は出来ないだろう。
銃弾を受けてもものともしない尻尾だが、何とか逃げる事は出来る程度の動き。
油断さえしなければ、直撃する事はない…かもしれない。

「む…むむむ…どうして、こうも妾を可愛いと言う連中の多い事か…!
…は、ともかくとして…そうか、シノも可愛いと思える相手もおるものなんじゃのぅ。
ふふ…良い、全力を出し切ると良いじゃろう。
妾も、少しばかり見せてやろう…色々とな?」

しっかりと相手を視界に留めていたからだろう、何かを取り出し、それを手元から消すのが見えた。
今回は、いつものように表面心理を読んではいない、それでも…経験は色々と答えを映し出す。
転送をして、何かをする時は、十中八九…

「さて、この辺りか?」

ぽつりと呟く言葉、尻尾の一本が後方、少々上の位置でしゅるりととぐろを巻く。
そして…ずどんっ!と何かを押し潰すように、地面へと叩き付けられた。
後ろの小範囲の一面を叩き潰す一撃は、相手の転送させた爆弾を押し潰してしまう。
もっとも、叩き潰した本人は何が転送されたかは分からず仕舞いである。
いや、分かろうと分かるまいと、効果が現れなければ関係ないのだ。

セイン=ディバン > 「えぇ、とくとご覧あれ、というところでして……。
 とは言っても、コッチも余裕はなさそうですねぇ!!」

銃という武器は、時にデメリットが大きい。今回に関して言えば……。
手ごたえがまったく伝わらない点が大きかった。怯まず、襲い掛かる動きをやめようとしない尾の群れ。
これが武器での受け流しだったのならば、尾が本物でないと気付けたのかもしれないが……とはいえ、男の逃走速度に、ギリギリの所で尾は追いついてこない。
しかし、男の呼吸は既に乱れてきている。そもそも身体強化は連続で使うには負担が大きすぎるのだ。

「それはまぁ、見た目もあるのではっ? もっとこう、ばいんばい~ん、だったら言われないかもですよ!!
 そりゃもう!! シノさんとも是非とも深い関係になりたいですねぇ!!
 今!! 正に!! 全力ですよっ!!
 ははははは、お手柔らかに!!」

会話を切れば。多少は呼吸も乱れずに済むのだろうが。男はそうしない。
楽しい、というのもある。ただ……これが男の集中方法であるというのも確かだった。
しかして、自身の策をあっさりと潰されてしまえば……。

「……っっ。マ、ジ、かよっ……!!
 じゃあ……これだっ!!」

あっさりと。実にあっけなく策を看破されてしまうが。男とて経験は豊富だ。
実際、以前別の相手にも似た技を潰されている。男とて、手札を増やしてこなかった訳でもない。
男は少女の周りを迂回するように動きながら、少女に向かって銃を構え……。
引き金を引くと同時に。その銃を転送した。

少女の死角へと現れた銃は、転送と同時に弾丸を放ち。次の瞬間、再度男の手の中に。もう一度、男は引き金を引くと同時に銃を転送する。
繰り返し繰り返し。弾丸が切れるまで行われる、死角からの連続射撃。これが男が最近思いついた技だ。
何の能力もない男が。必死に考え、実戦で使えるまでに鍛え上げた唯一の必殺の技。

「少しは、驚いてもらえますかね……!!
 『汝 怠惰なる眠りに墜ちよ』!!
 (デア・ラ・ベルフェゴール)!!」

そう。唯一の必殺技。つまり……この技を防がれれば。
男には、切り札は残されていない。残るは、小技のみなのだ。

タマモ > 「ふふ…余裕があったら、それは本気ではないじゃろう?
限界寸前まで力を出し切る、今までの努めてきた力を…
そうであるからこそ、真に戦う姿と言うのは美しいものなのじゃ」

さて、次といこうか?
そういった感じを受けるだろう、扇子を持つ手が、ゆっくりと動き始めた。

「むぅ…それなりに自信はあったのじゃが、最近はどうも…
おやおや、あんまり多数の女子と関係を持つと、後々ごたごたが起こりはせんか?
まぁ…ベルちゃんが容認しておるならば、文句は言うまい。
………加減はするが、容赦はせん。望まぬじゃろうしな?」

不必要な会話に答えているのは、余裕があるから…という訳でもない。
相手のように、集中する方法という訳でもない。
戦いながら会話もする、それが少女のスタンスなのだ。
再び、少女の瞳が閉じられる。
ぴくぴくと、物音に澄ませる耳が揺れ動く。

「………その技を行使する武器が、それで助かったのじゃ。
さすがに、空を切る音を的確に判断するのは難しいものじゃからのぅ」

相手が使う武器は銃器、射撃の際には必ず発砲音がする。
それを頼りに、手にした扇子がその方向へと向けられてゆく。
そのたびに、がぎんっ、と鋭い金属音が響き、弾丸が弾かれていった。
前方向に収束した不可視の力を、攻撃を阻む盾にしているのだ。
部分的に集中する為、それなりに消費は抑えられる。
…もっとも、それでも、今の力では下手に乱発は出来ないが。

もし投擲武器等であったなら、全方向に張らなければならなかった。
そうしてしまうと、あっと言う間に力が尽きてしまう。
こういった点では、今回は相手の武器に助けられた形となる。
音を頼りに、すべての弾丸は弾かれていった。

「………いやはや、やはり冒険者は強い者も居るようじゃ。
こうも考える戦いをさせられたのは、本当に数少ないもの…
ほれ、これは避けられるか?」

あえて、扇子を相手へと向けて揺らし、留めていた力を相手へ向かって放つ。
攻撃の手を緩めぬ尻尾の合間を縫う、不可視の衝撃。
その動きをしっかりと見ているならば、何かを放ったのは理解出来るだろうが…さてはて。

セイン=ディバン > 「左様ですがね……!! とはいえっ!!
 少し、お見苦しい様子ばかり見せてしまうことになるとはおもいますがっ!!」

少女の言葉には、ギリギリのラインで答え続けるが……いよいよ足がもつれ、無様に転がる羽目になる。だが、すぐさま跳躍し、再度回避行動。
男が転がった地点が尾になぎ払われ、石や土が舞う。

「見てみたいものですな!! 色っぽくなったタマモ様の姿をっ!!
 は、はははははっ!! それはもう!! 手遅れってヤツで!!
 いやぁどうでしょう!! 多分、怒られます!!
 ……ハイッ!! そうでなくては!!」

だんだんと。言葉が短くなってくる男。ゼェハァと息が切れ。視界がだんだんと狭まっていく。
それでも、尚動き、尚抗う。せめて、せめて一矢報いたい。
その思いだけが男の身体を動かしていたが……。

「……カハッ、カハハハハッ……。
 事も無げに……イヤになるねぇ、本当に……」

恐らく。相手が人間だったならば。必殺は成った。
恐らく。自身の武器が、魔術的効力を持っていれば。手傷くらいは負わせられたかもしれない。
しかして。それは全て想定の話。現実は……非常であった。
全て、何らかの手段で防がれた射撃。それを目にした瞬間。男の足は止まってしまい……。

「……ッッ!!
 ガッ、ハアアアッ!!」

尾に囲まれ、懸命にその襲撃を腕や武器で防ぐ。並の人間であれば、下手をすれば命に関わるかもしれなかったが。
以前購入していた防御力向上のアミュレットのおかげでなんとか致命傷は避けた。しかし……。
続いて襲い掛かった、不可視の衝撃。それには抗うことできず……。
見事、男は叫び声をあげ空を舞った。時間にして5秒ほど滞空し、地面に叩きつけられ、盛大に転がり。

そうして、男は気を失い、その場に倒れこんでしまった。
その後男がどうなったかは……。少女の心次第というところなのだが。

ご案内:「タナール砦」からセイン=ディバンさんが去りました。
タマモ > 「いやいや、全力を尽くす姿に、見苦しいものなんぞあるものか。
ふむ…ここまで避け続けるとは、さすがじゃ」

九本の尻尾をすべて使い、それがすべて避けられている。
いつもならば、一本でも十分に対処出来ていたのに、だ。
それだけでも十分なものだろう、そう思う。

「あの時に、十分とそういう姿は堪能したと思っておったのじゃが…そうでも無いんじゃのぅ?
………って、いや、それは駄目じゃろう!?
まぁ、それでも…今でも十分に戦った、褒められるに値するものじゃろう」

以前の行為を思い出すように、一瞬視線を逸らせる。
次いでの言葉に、びくーっ!と肩が跳ねた。不意打ちよりも、明らかに吃驚した様子だ。
だが、それもすぐに戻り、視線も改めて向けられる…次第に鈍くなる動き、それでも油断は決してせずに。
とは言え…さすがに、もう限界であろうとは確信していた。
最後であっただろう技を防げば、相手の動きは止まってしまう。
尻尾の猛襲を必死に防ぐも、そこまでだった。
最後の衝撃を受け、地面に転がり…意識を失ってしまう。

「………ここまで抑えられておるものか、なるほどのぅ。
まぁ…それなりには、認めてやらねばなるまい。
望みを叶えるには、ほんの少し足りなかったが…更なる精進を期待するとしよう、うむ」

倒れ込んだ相手、よいせ、と担ぎ上げる。
…ゆらり、ちょっと揺らいだ。
さて、これはどこに送ったものじゃろうか?そう考えながら、ふらふらと抱えたまま少女は去っていった。

ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。