2017/05/20 のログ
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
タマモ > この世界に存在するものは、何が作り上げたものなのだろう?
己の世界と同じように、一から世界の環境に適した進化を遂げ、今の世界となったのだろうか?
…そもそも、この世界ではそんな事を考えていたりする存在がいるのかは、疑問なところだ。
それに、考えたところで、今の何が変わる訳でもない。

…後はあれだ、難しい事を考えるのは、苦手。

砦の屋上に立ち、少女はらしくない事を考えていた。
どうやら、今の砦は人間側が占領をしているらしい…それは、小競り合いをしているらしい今の状況を見れば分かるだろう。
と言うよりも、見張りだった人間が足元に転がっている。

「………だから、妾は敵では無いと言うたじゃろうに…」

はふん、と軽く溜息。
中を通るのは面倒と、砦の屋上から抜けようと考えていた。
ちょうど攻めて来た魔族とぶつかり合う寸前だったらしい、見張りはいきなり現れた自分に問答無用で攻撃を仕掛けてきたのだ。
まぁ、うん、いきなり通り抜けようとしたのは自分にも非があったかもしれない。

タマモ > 「その存在が、なぜその存在として成り立ったのか…お主に分かるか?
人間が人間に、魔族が魔族に、もちろん他の種族もそうじゃ。
………まぁ、分かる訳も無いか」

転がった見張りを横目に、ぽつりと呟く。
そもそも、意識を失っているのだから、それ以前の問題だが。
ゆっくりと屋上、魔族の国側の縁に立って戦況を見下ろす。

「これが、この世界と言ってしまってはそれまでじゃがのぅ?
さて…ならば、それらしく動いてみようか?」

とん、と地面を蹴り、ふわりと身を舞わせる。
結局は、あの時の答えは出ないままだった。
自分は自分、今はそうであるしかない。
人間と魔族のぶつかり合うど真ん中、そこへと少女は舞い降りた。

タマモ > 「さぁ…お主等の力を妾に見せておくれ?」

いきなりの乱入者の姿に、どちらの勢力も一瞬動きが止まる。
少女の呟きと共に、九本の尻尾が横薙ぎに振られ、周りに居た人間も魔族も一気に吹き飛ばした。

「明けても暮れても争いばかりで、疲れておるじゃろう?
妾からの贈り物じゃ、しばし休息の刻を設けるが良い」

するりと袖から扇子を取り出し、ばさりと広げる。
変わった模様の刻まれた扇子、それが何なのか、知る者は居ないだろう。
敵、しかも、今敵だった相手の味方という訳でも無い。
戸惑う余裕も与えず、更に振るわれる尻尾が更なる犠牲者を生み出した。
考えている余裕は無い、切り替えの遅速はあるものの、こちらへと注意が向けられ始めた。
その様子に、少女はくすりと笑みを浮かべる。

「まぁ…打ち所が悪くなければ、半月程度で戦線に戻れるじゃろう。
加減を間違えたらすまぬ、今の内に言っておこう」

タマモ > 先手は打たれた、後手となる攻撃をと、吹っ飛ばされた者達よりも距離を置いて居た者達が一斉に駆け寄ってくる。
少女は…まだ動かない。
武器の届く範囲まで近付けば、各々の攻撃を叩き込もうと武器を振るう。
そこで、やっと少女は動きを見せる。
三度尻尾が振るわれ、近付いてきていた者達を全員、同じ道を辿らせた。

「………ほれ、もう少し考えたらどうじゃ?
そんな、ただ真っ直ぐに突っ込むだけの馬鹿の一つ覚えが通用する相手か?ん?
それとも、その程度しか出来ぬ者達ばかりなのか?
そうであるならば、素直に回れ右をして国に帰れ、阿呆め」

ぱたぱたと扇子を扇ぎ、くすくすと少女は笑う。
小手先の技術も何もない、直線的な攻撃。
こういった戦場に出てくるならば、もっと腕を磨けと言っているかのような言葉。
しっしっ、と払うように手を振ってみせる。

タマモ > そう大きな戦闘を想定していない編成だったのだろう、そう思う。
飛び抜けた力、技術、能力、それらを持った者達は…ざっと見た感じ、見受けられない。
惰性での戦い…そんな感じなのだろう。
そうして、無駄に傷付きあい、この砦を占領したとして先に何が待っているだろうか?
そう、変わらない、また同じ惰性での戦いが始まる。
そうした中で、傷付き、命を落とす者もきっと居るだろう。
何と無意味なものであろうか…自分はそう思ってしまう。

…そんな思いを口にする訳も無く、新たに近付いてくる者達が、また吹き飛ばされてゆく。
深い考えも何もない…下手をすれば、何も考えていないような行為。
考える猶予があれば、少しは変化もあるかもしれない…まぁ、希望というか、願いというか…その程度か。

「妾を、一歩さえ動かせる者も居らぬとは…情けない。
烏合の衆とは、まさにこの事じゃのぅ?」

その言葉の通り、また少女はここに降り立ってから、一歩も動いていない。
やれやれ、と肩を竦め、ぐるりと辺りを見渡した。
視線は、吹き飛ばされて倒れた者達にも向けられる。
動かなくなり、運ばれていく者達…致命傷とまではいってないのを確認し、ふむ、と頷く。

タマモ > 「………また、夜に来るのじゃ。
それまでに、お互いにさっさと国に帰っておくんじゃな。
でなければ…残って居る者に、後悔と言うものを教え込んでやろう」

辺りに響き渡らせる程の声ではない、周りにまだ残る者達に掛ける声。
しっかりと伝えておくが良い、そう付け加えれば…広げていた扇子を閉じる。
良いな?と念を押すように言えば、悠々とした態度で魔族の国の方角へと歩き出した。
止める者は居ない…いや、居ないのが分かっているからか、逆に道を開けるように離れていく。
少女は、そのまま砦を後にして姿を消していった。

ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
タマモ > まぁ、魔族の国の方面には、少々用事があって出向いていた。
式の一体からの報告、それを受け取る為に。
それを終えれば、再び戻る為にタナール砦を通る事となる。
別れる前に、遊びは程々にしておけと、軽く注意は受けてしまったが。

月や星の輝きに照らされる、そんなタナール砦。
魔族の国から、小さな灯りが一つ向かってきた。
狐火を灯りにし、日中に人間や魔族に与えた言葉の通り、ゆったりとした足取りで少女が現れる。

さて、現在のタナール砦はどんな状況になっているのだろうか?

タマモ > 正直、大層な期待はしていない。
本当の強者ならば、こんな場所になんぞ現れはしないだろう。
こんな惰性の戦いを続けている、そんな場所に送るくらいなら、もっと送るべき場所はいくらでもあるのだ。
それに、今は第七師団も別件で忙しいのは式の報告で知っている。
こんな場所に兵を割いて置くなんて、多分しないだろう…多分。

関係者なんて居ようものなら、将軍様に怒られかねない。
本気で敵対はしていないと、理解はしてくれるだろうが。

…まぁ、中には自分のように気紛れに現れる者も居るかもしれない。
その時はその時、宣言通りに相手をするのも良いか。
人間でも魔族でも、その辺りは何とも言えないものである。

ご案内:「タナール砦」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > タナール砦。人と魔族の争い、その最前線に近き砦。
いつ終わるかも知れぬ小競り合い、侵攻、防衛。繰り返される流血。
まぁ要するに、血なまぐさい争いとは切っても切れぬ場所ということなのだが。

「……ふ~ん。ふむふむぅ?」

宵闇の空を駆け、男が一人砦へと近づいていく。
なんでも、とてつもなく強いバケモノが現れ、大暴れをしたとかでその調査が今回の依頼だ。身体強化の魔術を断続的に使用し、まるでハルピュイアの如き速度で空を飛ぶ男。
そうして砦へと肉薄すれば……。

「……おや? これはこれはタマモ様?」

そこに居たのは……知人にして妻の知り合い、かつ男が尊敬する存在であるところの大妖様だった。
そこで男は考える。……まさかここを襲って大暴れしたって噂って……この人? と。

タマモ > 遠目に見える砦、うっすらと灯りが見えるのは、魔法によるものだろうか?
まぁ、人間と魔族とで占領する相手が違うと、中身が変わってたりする不思議仕様、気にする事でもないだろう。
そんな砦を眺めながら、はふん、と軽く溜息。

「やはり、こんなものじゃろうな。
所詮、ここで戦っておる大半は、戦っておると浸りたい阿呆ばかりなのじゃろう。
こうして、宣言してやって来てみれば、何者も居らんのが良い証拠じゃ。
………うん?」

腕を組み、言葉を零し歩き続けるも…ぴたりと足が止まる。
何者かの気配を感じ取ったか、ぴこぴこと耳が揺れていた。
軽く意識を集中し…くるり、とその方向へと視線を向ける。

と、視線に入ったのは、見覚えのある人間。
魔王と結婚をしたとか、その珍しさから良く覚えている。
名前は確か…

「………おや、こんな場所で出会うとはのぅ。
今は争いも無いじゃろうし、別段何かある訳でもないのに、どうかしたのか?」

ひらり、と挨拶代わりに手を振って言葉を返す。
名前は…現在進行形で、思い出し中である。会う間が空けば、こんなものだ。
さすがに、それは知られる前に思い出そうと必死ではあるが、それは表には出さない。
…代わりに、尻尾がわさわさと意味不明な動きをしていた。

セイン=ディバン > よく言えば激戦区。悪く言えば……一進一退展開のない泥仕合を繰り返す砦だ。
昨日は人間が治め、今日は魔族が治める、などというのも日常茶飯事。
とはいえ、どうにも今夜は事情が違うようで。

「……静か、だねぇ。いつもなら鉄火場のお祭り騒ぎだろうに。
 やれやれこれじゃあ情報収集もままならないぞ」

見事、無人の荒野の如き様相の砦。しゅたっ、と降り立つも人の姿も魔族の姿もない。
こりゃあ調査の仕様が無いじゃあないか、と途方に暮れていれば。
そこには見知ったお狐様がいたわけで。

「どうも、お久しぶりです。
 いえ、なんでも今日の日中、ここで何者かが大暴れをして、人間・魔族が共に一時撤退をしたとかで。その事件の調査を依頼されたのですがね」

手を振ってくれる相手に、改めて一礼をし、事情を説明する。
目の前のもふもふしっぽが、なにやらわちゃちゃわちゃちゃと動いているが、男はそれをあぁ相変わらず可愛らしいな、としか思わない。名を忘れられているとは思ってもいないようだ。
そうして、男は目を細めながら……。

「もしかしてですけど。タマモ様、ここで昼間暴れたりしてないでしょうか」

そもそも、報告も随分雑且つしっちゃかめっちゃかな報告ではあったのだ。
やれ空を飛び、やれ火を吹いた、身の丈は城壁にも匹敵するバケモノが暴れた、とか。
……恐らく、すごすごと引き下がった恥を覆い隠すために、ありもしない盛大な報告をしたのだろうな、と男は推測する。

タマモ > 「ふむふむ…なるほどのぅ。
こんなどっちが何かやって、大事になるようなものが無さそうな場所の事件なんぞ、気にする事もないじゃろうにな?
まったく、下らん事をしておるのぅ…」

相手の言葉に、やれやれ、と呆れたように肩を竦める。
そうして会話を続けながらも、必死に頭をフル回転させて名前を思い出そうとしていた。
魔王はベルちゃん、その夫が…確か…セ…セ…頭の文字は浮かんだ、後少しだ。

「………その前に、一つ聞きたいのじゃが…
事件とは、どんな内容の事件だったのじゃ?」

考えてみれば、おかしな話だ。
争っている途中での乱入、人間も魔族も吹っ飛ばした。
どちらの言い分であろうとも、事件と扱うものだろうか?と。
単純に、砦を奪おうと、または守ろうとしたところで、乱入者に荒らされたと言えば済むはずだ。
まぁ、そこが少々気になったので、試しに問うてみた。

セイン=ディバン > 「……ま、おっしゃるとおりなんですけどね。
 人間にも面子ってもんがあるんですよ、きっと。
 そして、それは魔族にもあるって訳で」

ズバッ、という鋭い指摘に、男は苦笑しながら答える。
正直、相手たる魔族側も撤退しているし、実際のところは大きな被害も出ていなさそうなのだ。
調査して、何もありませんでした、何もいませんでした。これで報酬を得ることができ、依頼主たる国軍はまたここに人を送る。
なんだかなぁ、である。

「……は、内容ですか?
 ……突如現れた身の丈山ほどのバケモノが、口から炎を吐き、目からは高威力の魔術砲を行使。尻尾を一薙ぎで大地は抉れ、幾多もの人間と魔族が死に絶えた、とか」

相手の質問に、男は苦笑を強めながら報告にあったことをそのまま口にした。
無論、男とてその様な事実は一切無いと判った上だ。
砦は燃えてもいないし、以前見たままの状態。大地だって穴ぼこなんてありゃしない。
オマケに死傷者の報告など、調べてみれば一人もいないのだから。
あぁ悲しき軍人の無駄極まりなきプライドよ、と思う男であった。

タマモ > 「面子か…その面子の為に、無駄に命の華を散らせる者も居る。
はてさて、それは本当に誇れるものなのじゃろうか…のぅ?」

ふん、とつまらなさそうに鼻を鳴らす。
結局は、その面子とて他人の上に立てられたものだろう。
努力も無しに得たものに、何の価値があるものか。
そういったものは、これ以上にない程に嫌っているもので…不機嫌そうな表情を浮かべる。

そして、問うた相手からの答えを聞けば…はぁ…と深い深い溜息をついた。
今度浮かべるものは、心底呆れ返ったような表情だ。

「なるほどのぅ…これが、身の丈山程の化け物じゃと?
妾は炎は吐かんし、魔法なんぞ使えん、そもそも力も何も使っておらん。
尻尾は振ったが、大怪我を負わぬ程度に吹っ飛ばしただけじゃ。
…よくもまぁ、そこまでの大法螺を吹けるものじゃのぅ?」

言葉にあわせ、着物の裾を摘み、くるりと身を翻す。
その報告の化け物が、こんな姿か?と問うように。
改めて向き直れば、裾から扇子を取り出しぱさりと広げ、ぱたぱたと扇ぎ出した。

セイン=ディバン > 「さぁ、て。それは一冒険者にしか過ぎないオレには断じれないことですよ。
 ついでに言えば、国に使えるだのなんだのはクソ喰らえ、でして」

相手同様、つまらなさそうに……且つ、不機嫌そうに男も鼻を鳴らす。
進んで戦争ごっこをしたがる様な人間など、碌な物ではない。だったら冒険者になってスリルを求めた方がよほど健全なのだ。
そう、戦争『ごっこ』。本気で攻め込むでも、本気で守るでもないこの場の戦は、所詮メンツやら利権やらが絡んだ『だけ』の遊びのようなものだ、と男は考えている。

「ハハハハハ、やはり虚偽報告でしたか。いえいえ、判ってはいましたが。
 とはいえ、タマモ様も遊びが過ぎますよ。貴女様ほどの実力者に撫でられれば、人間としては血の気も引きましょうからな。
 ま、人間共も、魔族共にも。良い薬にはなったのではないですかなぁ」

そう言いながら、男は呵呵大笑、という具合に笑う。と、そこで思い出したかのように手を打ち。

「そういえば……。その。タマモ様の従者さんの、シノさん、ですか。
 お元気だったりしますか?」

そう。何とはなしに尋ねてみた。いや、なんとはなしではないのだが。流石にいきなり核心には迫れない男なのであった。