2017/05/03 のログ
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 「やれやれ…これだから、無駄に血気盛んな連中は困るのじゃ」
はふん、溜息をつく少女の姿は、タナール砦の扉の前にあった。
その背後には、地面に転がる大量の人間や魔族。その全員が意識を失って倒れている。
人間と魔族、争うのは連中の勝手だが、そこを歩いて横断しようとするのも自分の勝手だ。
先にここを通り過ぎるだけのつもりだから、大人しく通せ、そう言っておいた。
この結果を招いたのは、無駄にこちらへと刃を向けた者達の末路だ。
状況的には、この先には魔族が立て籠もっているはずである。
■タマモ > 「………本来ならば、お主等全員、今頃場所も弁えずに面白い事になっておった。
ふふ…それを考えれば、むしろ感謝して欲しいものじゃのぅ?
まぁ、誰も聞いてはおらんじゃろうが、な」
肩を竦め、倒れ伏せた者達に言葉を掛ける。
どうやってこの状態を作り上げたのか…それは、砦から見ていた者達にさえはっきりと分からないものだっただろう。
大勢の人間や魔族が、少女に近付いたものから順々に宙に浮き、激しく地面に叩きつけられた、それだけだ。
不可視の力、それは何であれ、より強い恐怖心を相手に与えるものである。
「ほれ、この扉を開くが良い。
出来ぬなら、打ち破ってでも入って良いのじゃぞ?」
閉められたままの扉を、こんこん、とノックするように叩く。
その奥に居る者達には、その声は届いているはずだ。
そして、この言葉通りに、開けなければ本当に行動に移すのも、何と無く分かるのかもしれない。
■タマモ > 「ふむ…」
扉の先には気配があるのに、自分の言葉に対しての無反応さに軽く考え込む。
行動に移そうと、この分厚い扉は自分では打ち砕けない。
または、それが出来たとして、扉の前の気配はそんな自分を待ち受けている。
…そんな感じだろうか?
「まったく、前にしている相手がどんな相手なのか、しっかりと判別くらいはして欲しいが…
力を見せても、まだこうして無駄な抵抗をするのか?
いい加減、妾に対しての自分達の無力さを知るべきじゃろう」
そっと扉に触れ、目を閉じる。
と、城門を裏から留めている閂が、がごんっ、と同じように不可視の力で外されてしまう。
続けて、ばぁんっ!と盛大な音を立て、大きな扉が一気に開け放たれてしまった。
ぽんぽんっ、と手を叩き、ちらりと開いた扉の奥を見遣る。
そこに見えるのは、待ち受ける連中か、はたまた、油断して誰もいないのか…
■タマモ > 「………まぁ、こうなるじゃろうな?」
扉の奥に見えたのは、集まった魔族の者達だった。
あれだけ表でやっていた相手が、ここを抜けれない訳がないだろう、うん、分かってた。
面倒そうに呟くも、ぽんっ、とその手元には扇子と唐傘を出している。
…まぁ、たまには軽い運動でも、と言ったものだろう。
こちらへと突っ込んでくる、武器を手にした戦士達。
それを援護するように、後ろから魔法を放とうとする魔術士達。
そんな様子を目の前にしても、少女は余裕の表情を浮かべ、それを眺めているだけだった。
何もせずとも、攻撃は当然放たれる。
幾重もの魔法が、少女へと一斉に襲い掛かる…が、しかし。
「ふふ…では、軽く行こうか?」
手にした広げている唐傘を、すっと少女は前に突き出した。
それは、満足な魔法の効果を現わす事の無いまま、消え去ったように見えてしまう。
魔法をすべて処理し終えれば、唐傘を肩に掛け、ばさりと扇子を広げてみせる…同時に、その瞳がうっすらとした輝きを放つ。
突っ込んできた戦士達がこちらへと向ける攻撃、それは、揺らぐ扇子がまるで流れるような動きをみせ、すべてを受け流す。
いくら大勢の敵とはいえ、全員が全員同時に攻撃なんて出来やしない。
魔法がこちらに放たれていれば、その間は戦士達は来れない。
魔法が対処され、戦士達が攻撃をしようとも、精々自分を囲うようにして7・8人が限度だろう。
そして近接戦となれば、今度は魔法が飛んでこない。
そういった流れが分かっていれば、対処は大して難しくはないものである。
さらりと言っているが、多分、簡単なものではないかもしれない。
■タマモ > 「おっと、これは忘れ物じゃ、受け取っておくが良い。
そのままでは芸もない、妾の力のおまけ付きじゃ」
扇子で武器を受け流しながら、その合間に、肩に掛けたままだった唐傘が前に再び突き出された。
そこから感じるのは、魔力。
突き出された唐傘の前で消えたと思われた魔法が、次々と前に現われ、逆にこちらへと放った魔術士達へと襲い掛かる。
近接戦をしている最中だ、油断していたのか、おまけ付きの己の魔法によって、魔術師のほとんどが吹き飛ばされてしまった。
「今日の連中は、大層な者は居らんようじゃのぅ?
まったく、やれやれ、ハズレ日とは運が無い」
それを見た戦士達の動揺、それを見逃すつもりは無い。
一瞬の隙を突き、ばさりと唐傘を閉じれば、その先を突き出すようにして相手に叩き込んでいく。
素早い動きの突きに数人が吹っ飛び、意識を集中した者達にも、もう遅いと今度は少女が襲い掛かる。
振るわれた武器は扇子で流し、唐傘を打ち込む流れ。
次々と衝撃に耐え切れぬ戦士は吹き飛ばされ、そう長い時間も掛けず、そこに立つ者はもう居なくなっていた。
■タマモ > 結局のところは、軽症重症の差はあるものの、誰一人命を落とす事は無かった。
少女の攻撃は、どれも、意識を失うまでに留めた攻撃だったからだ。
魔族の者達が倒れ伏せたタナール砦、後は悠々と歩み、魔族の国へと向かい進んで行く少女であった。
ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。