2017/02/24 のログ
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
タマモ > 遺跡に入り、洞窟に落ち、抜けた先は砦の側だった。
洞窟の入り口を背後に、そう遠くも無く見えるタナール砦を少女は眺めていた。

「なるほど、それなりに感じた存在はこういった意味じゃったか…」

手にした実をぱくりと食べながら、ぽつりと呟く。
暇潰しに砦訪問も良さそうだが、一体今はどちら側が占領しているのだろうか?
まぁ、どちらであっても大して変わりはないのだが。

厄介なのは、駐在してる者達が好戦的な場合だ。
同族でなければ、相手構わず喧嘩を吹っかけてくる。
それはそれで、相手次第で楽しくなる場合もある訳で。

軽く考える。
眺めてはいたが、見張りも見えず、どちらなのか今だ分かっていない。
突っ込むべきか、さっさと帰るべきか…

………悩むまでもなかった。その足はタナール砦へと向かい歩み出す。

タマモ > 「ふむ…たまには、人間も魔族も占領をせぬ刻があっても良いかもしれんのぅ?」

何個目か、実を頬張りながら、ぽむっと手を叩く。
これは名案とばかりの様子を見せるが、その後どうするのかなんて考えてもいない。
とりあえず、今居る者達を全員追い出す、まずはそこからだ。
色々とパターンを考えながら、砦へと向かい続ける。
運が良ければ、それなりに楽しめるのかもしれない。

タマモ > 軽く夜空を見上げる、天気は悪くない、月も星も見える綺麗な夜空だ。
改めて砦を見る、ちらほらと灯りが見えるところから、誰かしらは居るのは分かる。
今居るのは人間か、魔族か、他の種族という事は…あるのだろうか?
占領している割に、灯りが妙に少ない気がしないでもないが、そこは気にしない。

「さて…ちょっとばかり悪戯でも…?」

とん、と最後の一歩で足を止める。
もう砦の入り口は目の前だ。
さすがに中にまで入らないと、はっきりと灯りの主は分からない。
が、まぁ、この際そんな事はどうでも良い。

タマモ > 「さてはて、何が出るのか楽しみじゃ」

懐から、数枚の札を取り出す。
その表面に指をぴたりと触れさせれば、札は薄く発光し…それを確かめれば、ふむ、と頷く。
手にした札を、今度はぽいっと上へと放れば、札は四方八方と散っていった。
それは砦を囲むように飛んでいき、一定距離を置いて、ぽんっと消える。
消えた場所から、また違う光が線となって伝っていき…それは巨大な印を形作った。

ご案内:「タナール砦」にカナムさんが現れました。
カナム > 何か来た
人間? 違う、こんなバカでかい人間いる訳ない
魔族? そうかもね、誰か逃げてたかな…
どうする? どうでもいいよ、それよりお腹空いた
まだ食べたいの? こんなんじゃ足りないよ…全然

薄暗い部屋、窓の外を見れば妙な光が見える
何かの儀式なのか…それともこの砦を吹き飛ばそうとしてるのか
どっちでもいいか、好きにすればいい
砦の主は光る線をただ眺める

タマモ > とん、と地面を蹴ると、ふわりとその身を舞わせる。
それなりに高い位置、砦が見渡せる辺りにぴたりと止まった。

「ふふ…ほれ、行くぞ?」

両手を前に翳し、印を組む。
いくつかの印を次々と組み、最後に前へと突き出す。

「悪戯にしては、ちと物々しいやもしれぬが…百鬼夜行じゃ!」

力ある言葉と共に、砦のところどころに妖怪が現われる。
間違いなく、普通では見た事もない化け物達。
それが一斉に砦中を駆け巡るように徘徊し始めた。

…別に害を与えたりする訳ではない。
本当に、ただ徘徊し続けているだけだ。
その姿に驚き、慌てふためく相手ならば、それに気付かず逃げ惑うだろう。
もし、そんな状況で見に集中出来る相手が居たならば、それに気付けるかもしれない。

カナム > なんか湧いて来た そうだね…見覚えはある
あれに似てない? 妖怪だっけ
沢山居るね お腹空いたね

気怠いけれど立ち上がる
こちらを見ても襲ってこずただウロチョロしてるだけの妖怪達
襲撃、に見せかけたこけおどしらしい
恐らくさっきの空に浮かんだ何かで呼び出されたのだろう

「中身スカスカだろうね…」

また椅子に座り徘徊し続ける妖怪達を眺める
見ている分には種類が多くて飽きない
砦からは叫び声や逃げてくる者は見えない
逃げようにも既に砦の中には自分一人、静かな妖怪鑑賞会状態に

タマモ > 上空から見下ろしているのだが、中に感じる気配に変化が見えない。
てっきり、驚き逃げ回る面白楽しい誰かの姿が見えると思ったのだが…かくん?と首を傾げる。
というか、まったく何も変化がない。
もしかして、寝ている…?…という感じでもない。

まぁ、そんな風になれば、嫌でも気になる訳で。
ゆらゆらと、砦の内部へと舞い降りていく。
呼び出したまま、ただ徘徊するようにさせている妖怪達の中へと着地した。

気配のあった近くだ。
とはいえ、正確な位置がはっきりと分からない。
相手が声を出すなり、物音を立ててくれれば、今なら分かるだろうが…

とりあえず、袖から取り出した実を、またぱくりと食べた。

カナム > 降りてきたよ? あれが親玉だろうね
凄く大きいね 大きいね、師匠よりも…かな?
殺されちゃう? さぁね

「半日しか休めてないなぁ」

立ち上がり妖怪の親玉の元へ向かう
向こうの位置は嫌でも分かるので迷う事はない
通り過ぎる妖怪達はやはり何もしてこない…こう見ると可愛げがある気がする

やっと妖怪の集まる場所へ辿り着き自分の目で相手を確認すればまぁびっくり
妖狐、それも九尾とは…想像以上の大物だった

タマモ > ぴくり、少女の耳が揺れる。
相手からすればただの呟きだが、こちらにはしっかりと聞き取れた。
なるほど、発する言葉の調子から、この妖怪達を見ても冷静でいるらしい…っぽい?
…まぁ、相手の状況まで理解していないから、反応でしか分からないが。
妖怪達とは別に聞き取れる足音を頼りに、相手がどう移動しているかを判断するも…

「………おやおや、てっきり逃げ去ると思うておったのじゃが…」

その足音は、自分が降り立った部屋の入り口まで来ていた。
怖い物見たさ?理由は分からないが、ともかく、その相手の方へと顔を向ける。
相手と同じだ、こちらも確認はしておきたかった。

カナム > 大きいね? 九尾だしね
綺麗だね? そうかもね
偉そうだね ムカつくけど…偉いんでしょ

「ビックリして逃げる程元気ないからさ…九尾がこんな所に何の用事?
魔族に肩入れして取り返しに来たとか?」

それが最悪のパターンだけど…可能性は低い
理由は妖怪達がただ徘徊していた事
問答無用で襲ってこないのだから敵意満々という訳でもない筈

「それともただの寄り道?」

後者の理由の方が可能性は高い
九尾や神獣クラスの化け物は気分で動く事が多い
只の散歩ついでに砦を落としたりしてもおかしくない

タマモ > 相手が見えた。いや、うん、確かに見えたは見えた…が。

「あー…確かに、そんな状態では逃げるも何も無いじゃろう。
で、何の用かと問われれば、暇潰しに遊びに来ただけじゃぞ?
何を取り返しにだか知らぬが、お主、何か盗みでも働いたのか?
…というか、そんなぼろぼろで大丈夫…ではなさそうじゃのぅ?」

相手の考えている事なんぞ、分かる訳もなし。
とりあえず、いくつか問われたので答えつつ、じーっと相手を見遣る。
言葉の通り、ぼろぼろだ、見てて痛々しい。

「むむむ…そんなままでは、気軽に話も出来ん。
それに見てられん、ちとその腕をこちらに出すが良い」

特に酷いのは、その血塗れの腕だろう。
ちょいちょいと、言葉と共に仕草でも、腕を出すようにと手招きをしてみた。

カナム > 話が通じたね? 言葉が通じるね
優しい感じだね? 感じはね
心配されてるね? 怪しんでると思うけど

「暇潰し、か…やっぱ九尾ともなるとスケールが大きいや」

やはり散歩がてらだった
九尾の散歩のスケールにショックを受けた

「腕?…あぁ、これなら大丈夫、殆ど返り血だから」

相手と自分で流した血が固まって確かに気持ち悪いかもしれない
隠そうにも真面な服がなぁ…一応目の毒なので右手は後ろに

「治そうと思えばすぐ治るから、気にしないでよ。優しい九尾のお姉さん」

笑顔でそう返す
手招きされても近づけないのでせめて愛想よく
笑顔は相手に悪印象は与えない筈
虚ろな目を隠すのにもちょうどいい

タマモ > 「うん?別に大層な事では無いと思うがのぅ…?
まぁ…普通に考えれば、これはそうなのやもしれんか?」

相手の言葉に、軽く首を捻る。
考えて、辺りを見て、考えて…ぽむ、手を打った。
よくよく考えてみれば、今この周りは自分が呼び寄せた妖怪達で一杯だった。

「む…そうか、ならば問題………いや、ほとんどって事はお主も怪我しておるんじゃろうが?ん?
そもそも、すぐに治せるならばとっくに治しておるじゃろう。
そんな状態まで放置しておるんじゃ、そうではなかろうに?」

うん、何とも見た感じは気の効いた良い少年だ。
…こういうタイプは、自分に何かあっても隠すのも含めて。
やれやれ、と肩を竦めつつ、ごそごそと袖を漁る。
取り出したのは、何枚かの風呂敷だ。

「そんな物で覆っておったら、良くなるものも良くならん。
見た目もあれじゃろう?
下手に心配されたり、世話を焼かれたくないならば、そこも気にするところじゃ。
ほれ、これでも使っておけ、少しはマシじゃ」

取り出した風呂敷、それに一瞬目を向ける。
…うん、大丈夫、汚れてない。
それを確認してから、ぐいっと押し付ける。
受け取る気が無かろうが関係ない、無理矢理にでも押し付ける。

カナム > ずれてるね? ずれてるね
九尾だから? 九尾の中でもふわふわした部類だと思う
どうするの? どうしようか?

「すぐに治しちゃだめだよ。痛いのは我慢しないと」

直せても直してはいけない
まだ動かないほど壊れてない
これぐらいで直すなんて…甘えられない

「っ、そう…ありがとう」

近付かれれば警戒してしまう
風呂敷を手渡せる距離…相手が九尾でなかったら手が出ていた
受け取った風呂敷で腕を覆う、見た目はこれで良い筈だ
残った分は綺麗な布として別に使える

「ハハ、ありがとうねお姉さん。優しい妖怪さんで良かったよ」

タマモ > 相手の考えは結構当たっている。
きっとそれが聞き取れたなら、全力で否定は確定である。
だが、結局は聞こえない、知らぬが仏とはこの事だ。

「………被虐の快楽に目覚m…いや、違うか。
まぁ、お主に何か考えあっての事ならば、それで良いのじゃが…」

最初の言葉は聞き流して貰いたい。
ともあれ、そうきっぱりと言われてしまっては、治せても治せない、仕方ないか。
せめで無理はしないように、といった感じだ。

「礼なんぞ要らん、そう…何じゃ、見てて痛いのは苦手なだけじゃ」

お礼の言葉ってのは苦手、ひらひら手を振って適当に誤魔化す。
受け取った素振りをみせ、放られたらどうしようとも考えていたが、そんな不安は不要だったらしい。
風呂敷を受け取り、覆ったのを見れば一安心。
…怪我が治ったりしている訳ではないのだから、安心とも言えないが。

「…礼は要らぬぞ?しかし、お姉さんというのもあれじゃな…妾はタマモじゃ、タマモで良い。
………うん?…おや?お主、妖怪を知っておったのか、珍しい」

二度目だ、そう言うように同じ言葉を繰り返す。
何度でも言おう、お礼の言葉は苦手だ。
と、ふと言葉の中に気になる単語。
初見で妖怪と言われたのは、この地に来て2度目、本当に珍しい。
とはいえ、1度目は同じ妖怪なのだから分かって当然ではある。

カナム > 勘違いされた? まぁ仕方ないでしょ
痛いの嫌いなんだって 子供思考なのかもね
珍しいって シェンヤンの人間でもないとそうだよね

「思ったより子供っぽいんだね。可愛くていいと思うよ?」

大人びた子供、そんな感想を口に出したら怒られるだろうか
清潔な布は重宝するし感謝している

「タマモか、僕はカナムって言うんだ
妖怪を知ってるのは妖狐の師匠に教えてもらったからだよ、お姉さんよりも綺麗なね」

そこは断言しておく
少し気になるのはお礼は良いと続けて言った事
…本当に要らないのか怪しくなってきた

「…借りは返す主義だけど、何か要望は有ったりする?」

タマモ > 「………待て、待つのじゃ。ほれ、妾は年上じゃろう?可愛いではないじゃろう、可愛いでは」

実際にも年上だろうが、見た目も年上…のはずだ。
単に、可愛いと言われるのも苦手なだけである。…苦手が多過ぎ?気にするな。
相手が今の状況でなければ、ツッコミの一つも入ったところである。

「ふむ、カナムか…呼び難い名前でなくて安心じゃ。
ほほぅ、妖狐とな?なるほど、ならば知っておって当然じゃのぅ」

それだけで、妖怪を知っているに十分な理由だ、納得。
自分よりも綺麗?その辺りは気にしない、自分はこの姿が気に入っているし、他と比べるつもりもない。
…あ、いや、かなり低いレベルと比べられるとさすがに怒るが。

「律儀じゃのぅ…何か求めるつもりならば、最初から言っておる。
借りを残したままは気持ち悪いやら、そういうのがあるなら、また次にでも考えておくぞ?」

理由を問うならば、先に言った通りに見ていて痛々しいから。
相手への施しに見えて、実に自分の為でもあったりする。
なので、借り云々は…後の相手の返答次第となるか。
言葉少なく返した為の勘違いもあってとは、気付いていない。

カナム > 慌ててる? 慌ててるね
礼は要らないって 本当に要らないんだね
次に考えるって 次があればね…

「うん、妖狐の師匠がね」

子供っぽい所も何となく似ている気がする
タマモより、の言葉には怒った様子はない
案外器が大きいのかも?

「タマモがいいって言うなら無理にとは言わないよ
まぁ…また生きて会えたら何かしてあげる」

そう笑って誤魔化す
生きて会えたら…なんて

生きる気なの? ……
ねぇねぇ?  ……
また生き残るの? ……

タマモ > 「ふむふむ…しかし、弟子を持つ者とも、また珍しいものじゃ。
妾にはとても真似が出来んのぅ…」

何の師匠なのかは置いておく。
妖狐とは言っても、得手不得手は他の種族のように様々なのだ。
ただ言えるのは、面倒臭がりの自分では、そんな立場にはなれないだろうという事である。
…むしろ教えられる立場?

「うむ、その辺りはカナムに任せるのじゃ。
そうかそうか、ならばまた会おうではないか、のぅ?
何かして貰えるならば、それを妾は楽しみに待っておるぞ?」

相手が何を考えているのか、今は分からない。
それでも、何と言うか…感覚的にどこか危なさそうなのは感じ取れる。
何かで繋いでおかないと、そうなってしまうだろうという、何か。
だから、また会おう、楽しみに待つ、その部分を軽く強調して伝える。
するりと伸びる手が、そっと頬に触れようとする。
それが出来たのならば、顔を覗き込むようにして笑顔を返すだろう。

カナム > ねぇ?  ……
ねぇねぇ? ……

「そっか、まぁあんまり期待しないでよ?」

自分に何ができるのか
そもそも再開するのか
どちらも期待しないで欲しい

パン、と弾く手
自分の頬に触れようとした手…
悪意がないせいで反応が遅れ体が反射で動いてしまった
風呂敷で隠した右手、その肌を焼く様に火が灯る

「……ごめんねタマモ、あんまり僕に近付かないで?」

頭を抑え何とか鎮めようとする
今は出てくるな…頼むから…

美味しそうだよね?
上物だよ?

こいつを食えば…

「あの女を殺せるかもね?」

小さな呟きはカナムの口から出た言葉
しかして声には圧縮された怨嗟が宿る

タマモ > 「おっと…」

弾かれた手を、ちらりと見る。
まぁ、相手によってはこうなるわな、と思いながら。
気を取り直して…そんな事を考え、視線を戻す。

「………?いやはや、ちと調子に乗り過ぎたじゃろうか?
あんまり深く、思い詰めんでも良いから…?
どうした?カナム?」

叩かれた手をぷらぷら振りながら、改めて声を掛ける。
実際に調子に乗り過ぎた感もあったから、なのだが…相手の様子がおかしい。
これは、かなり気にしてしまっているか?などと勘違い。
なにやら塞ぎ込むようにしている相手に、どうしたものかと考える。
背を擦ったりするべきだろうとは思うが、近付くなと釘を刺されてしまっていて。

「………あの女?」

言葉の意図する事は分からない。
少なくとも、それは自分では無いが…誰だろう、女とした相手に何かがあったのは想像が付く。
伸ばすに伸ばせぬ手を、こう、あらぬ方向に揺らしながら、視線は相手に向けている。
収まるのを待つべきか、何かしてやるべきか…悩むところ。

カナム > 「お腹一杯になって…あの女を殺す」

風呂敷を外し腕を露わにする
血濡れで赤黒く染まった腕
その腕が炎に包まれる

「食べきれるかなぁ…溢れるかなぁ?」

首を傾げタマモを…タマモの持つ力を見る
溢れ出る程の金色の力
この砦に居た魔族共とは比べ物にならない程の量と密度

手を伸ばせば届く距離にそれがある

「いただきまーす」

燃え盛る腕でタマモに触れようと手を伸ばす

タマモ > 「ちょっと待つのじゃ、カナム。
何があったかは知らぬが、これを食べて落ち着くのじゃ」

よっぽどの事が、その女とあったのだろう。
…なんか空腹っぽい発言が聞こえた気がするので、袖から木の実とパンの入った包みを取り出してみる。
まさか、その対象が自分とは思って…はいるが、確信を持っていない。

「待て、カナム。そんな腕ではこれは食えぬぞ?…っと」

求めているのは力だ、手にしたパンと木の実で満たされるものとは思えない。
それでも、それで何とかならないかと差し出してみはするが…
その燃える腕は、自分に触れようと伸ばされている。
包みを器用に突き出したまま、着物が熱に触れない間はあけて寸前で避けた。

カナム > 「要らないよ、生きる糧なら十分食べた」

砦に居た魔族全員分の生命力
普通の食物を摂取する必要はない
生きる糧はもういい、求めるのは殺す力

「まだ、足りない…」

躱された
何故か…まだ自分が弱いから
力の差を埋めるにはどうすればいい?

周りに居る者達に目が行く、圧倒的な差を埋める手段を見つけた

タマモ > 「力を得て何とする?その女に復讐でもするか?
そんな理由では、妾の力は分けられんぞ?」

まぁ、今言っている食べるは、自分の言う喰らうという事だろう。
そんな事は、ここまでこれば気付けるものだ。
あの腕は危険だ、触れるのは………元々熱いのが苦手な意味も含めて。
軽く地面を蹴り、数歩分の距離を置く。

今は危険か、そろそろこちらの遊びは不要、終えておこう。
そのまま地面に手を添える、そこはまだうっすらと残る印の表面。
次の瞬間、吸い込まれるように徘徊を続けていた妖怪達が消えていった。
驚かすためだけに呼んだのに、被害を被らせる訳にはいかない。

カナム > 「復讐?…うん、復讐かな」

力を得て復讐
それで間違いはない、あの女を殺す
そしてそれが叶えば…

「消えちゃった…」

差は歴然
埋め合わせ共も消えた
どうする?どうする?
食べたい食べたい
殺される殺される

「勝てない相手は、だめ」

勝てる様になるまで相手をしてはだめ
妖怪が消えれば後ろに飛び距離を取る
魅力的な食糧に重傷を負わせて死ぬ、そんなの合理的じゃない

タマモ > 「理由は聞かぬぞ?じゃが、復讐なんてものだけは認めぬ。
そんなものに、どうせ録な理由なんてものは無いのじゃ」

それに、それが叶ったとしても、復讐の後に残るものに良いものなんてありはしない。
ただこの場で見知っただけの相手だが、知ったからには、それを見逃せる性格でもない。
念の為に妖怪達を戻してみれば、やはり連中に被害を与えるつもりだったらしい呟きが聞こえる。
…念の為に、うん、大事。

「………お主に戦う意思が無ければ、妾とて戦うつもりはない。
戻って来るのじゃ、その考えさえ振り払えば、何も起こらん」

逆に今度は相手が距離を取る。
言葉から、喰らう対象が無くなり自分に勝てなくなったからだと分かる。
…どちらにせよ、あの程度の者達を喰らったところで、自分には勝てないのだが。
それに…

「そもそも妾はお主を手に掛けぬ、そんな事をしては、次がなくなるじゃろう?
こんな事ではない、もっと違う事をお主にして貰う為にのぅ?」

言葉を紡ぎながら、向ける視線はしっかりと相手を捉えている。
まぁ、これだけをただ聞いたら、結局何か欲しがってるじゃないか、と言われそうだ。
…否定はしない。

カナム > 「……そう」

理由は聞かない
けれど復讐は認めない
碌な理由なんかじゃない
…何も知らないくせに偉そうに

「食べようと思ってたけど、お前は殺す」

腕を焼く炎が身体を這い足に灯る
勝てないから退く、というのは一度忘れよう

「じゃぁ、そのまま余裕ぶっこいててよ」

地面を蹴る足元が爆ぜる
弾丸のような勢いでタマモに迫り腕を振るう
獲物を抉る鋭い炎の爪となって

タマモ > 「家族が殺されたから、親友が殺されたから、恋人が殺されたから、守るべき者が殺されたから…
復讐の理由なんぞ、挙げたら限が無い。その復讐の方法がただ殺す、じゃと?
それだけならば良い、そこに関係の無い者の命を奪う行為が加われば話は別じゃ」

そう、一番の理由はここだ。
復讐をしたいなら、自分の力だけでやれば良い。
なのに、この相手は周りの力を奪い、それを使おうとした。
それだけは許されない。

「………止めておくが良い。お主がどう思おうと…妾は手を出さぬ」

相手は本気か、面倒な事だ。
それでも自分の意思は、曲げるつもりはない。
地面を蹴り、襲い掛かってくるのが見える。
見詰める瞳がうっすらと鈍い輝きを放ち…
猛スピードで迫る、その相手の一撃を、またも寸でで回避する。
先の少し余裕を持ったものではない、紙一重といえる程のぎりぎりのもので。

カナム > 「ハハ…ハハハ…薄い、言葉で止められるならそれは復讐じゃない」

理屈なんてどうでもいい
日々食べて力を付ける
それの何が悪い?自然の摂理だ

「手を出さぬ、か…じゃぁ丁度いいさ」

また躱される、けれどそれでいい
相手が手を出してこないならむしろ好都合
タマモから溢れ出る力の欠片を拾い集めていればいい
本人でも気づかない様な塵を集める

勝てない相手に小細工を弄する

あの時みたいだね?

「っ!!?」

頭の奥で声がする
静かに優しく自分を抉る

タマモ > 「ふふ…そうか、言葉では止めれぬか。
少し、お主には気を落ち着かせる時間が必要なのじゃろう。
…また言葉を交わす、余裕が出来るくらいのな?」

色々と手はあるが、どれも時間が掛かり過ぎたり、強引過ぎる手ばかりだ。
ならば、争いを避ける為に身を引くのも手の一つ。
他に被害が及ぶかもしれない可能性もあるが、自分にはどうしようもない。
表層心理から、大雑把な目的は分かった。早々に動かねば。

「………カナム、約束を忘れるでないぞ?」

ゆらりと、不意に少女の動きが変化する。
紡ぐ言葉と共に、次の手を読んでいるかのように攻撃に合わせ、するりと身を寄せる。
生まれるだろうほんの一瞬の隙、それを突き、触れられなかった頬に唇が触れるだけの軽い口付け。
続けざまに、とん、と地面を蹴って瞬時に距離を離す。

「すまぬが、今日はここまでじゃ。
もう一度だけ言うておくぞ?約束、忘れずにのぅ?」

更に地面を蹴り、その身は一気に夜空へと舞う。
向けられた顔には、笑みを浮かべたまま。

カナム > 「うるさい…うるさい、黙れ…っ!」

中から外から声がする
痛い、苦しい、辛い…
精細を欠いた攻撃の隙を着くのは難しくない

「あ゛あぁっ!!だまれぇ!!」

腕を振るってもそこにタマモは居ない
既に離れた彼女を睨みつける
それしかできない自分に向ける殺意と共に

「なんて、なんて弱いんだ……」

1人残った砦に響く慟哭
獣の咆哮か、何かが泣き叫ぶ声か

火が昇る頃には砦は無人のまま放置されていたという

ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からカナムさんが去りました。