2017/01/19 のログ
ご案内:「タナール砦」にクルエルさんが現れました。
クルエル > ───さて、前回はさすがに他のことにかまけ過ぎた

砦に他の魔王達の仕事を見に来ただけにとどまらず、
人間に舐められがちな無名の魔王の恐ろしさも思い知らせておくべきである

「ふふん、さてどうしてやろうか」

赤く輝く魔力の翼を展開し見下ろすは魔王クルエル
屍魂の魔王の継承者にして不死身不滅の存在である

ここだけ説明すれば非常に強そうだ

クルエル >  
「集え、不浄の魂ども」

砦の上空へと、無数の紫の仄かな光を帯びた魂を集い始める

「征くのだ」

片手を振り下ろせば集まったそれらが砦へと降り注ぐ

剣、槍、鎧───

あらゆる命持たぬものが動き出し、兵士を襲いはじめる

クルエル >  
以前にけしかけた数のゆうに数倍以上

それらが憑依した武具は積極的に人を襲い始める
間もなくした砦内部は騒然

砦全体が戦闘状態に入ってゆく
中途半端に破壊されても尚動き続けるそれらに、やがて形勢を逆転されてゆく

「魔王の名も伊達ではないだろう」

そんな状況の砦の屋根へと降り立ち、下を眺めて笑う

しかし腑に落ちないことがあった

以前、人間の国方面に近いトコロから亡者の魂を集めようとした時には、
今回の1/4すらも集まらなかった気がする───

何か、からくりでもあるのだろうかと首をかしげる

クルエル >  
首をひねっていてもわからない、が

他の魔王達が人間の国を攻めあぐねているのはそういう何かがあるのかもしれない

「──ん、静かになったな」

騒々しかった砦はすっかりと静けさを取り戻していた
そら見たことか、魔王たるものこれぐらいはちょろいものなのだ

屋根から地上へ降り立ち、魔族の国側の見張りが惨たらしく死んでいるのを確認する

「ついでだ、中も見ておくか」

興味半分面白半分
砦の内部へと踏み入ってゆく

クルエル > やがて砦の中を徘徊し終えたクルエルは一人の生存者も見当たらないことに小さく笑う

こんなにも簡単に奪える砦をなぜ他の魔王達は放っておくのか

クルエルのリビングデッド達は不浄の魂、
よりしろがあっても長く現世にはとどまることができない

砦の内部は、既に動かない死体だけとなっていた

クルエル > 人はクルエルを弱い魔王だと言うが、それは違う

「自らは手を触れず触れさせずに勝利する。
 そうだなアレだ、いわゆる知将タイプ」

大分違っているのだけど本人は至って満足げ、そして砦を出たところでふと……
 
「ん、いやまて、奪う…?」

再び首をかしげる

そうだ砦は奪うものである
そして拠点として支配するものだ

「………」

もう一度言うがクルエルのリビングデッド達は不浄の魂、
よりしろがあっても長く現世にはとどまることができない

クルエル > クルエルに固定の従者は部下はいない
すべて屍魂の魔王としての力を用いて産み出す本来魂在らざるものの軍勢である

「砦を支配させるための駒がないな」

なるほど、と頷いて

「……とりあえず、帰るか」

そのままくるんと踵を返して気にしなかったことにして砦を後にする

クルエル >  
───この度は珍しく人も魔族も、砦を支配するものなし

無人の砦としてその場に残ることとなった

ご案内:「タナール砦」からクルエルさんが去りました。