2016/05/17 のログ
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 少女はタナール砦を目の前にして、呆然とそれを眺めていた。
確か、向かっている先は方向の違う自然地帯だったはずだ、なのに目の前には砦が見える。
また道を間違えたか…考えずとも辿り着くその答えに、がっくりと膝を落として項垂れた。
そんな少女の様子はどこ吹く風、現在、砦は人間側が攻め、魔族側が守っていた。
状況は…うん、見る気が無い。
とりあえず、少し離れた場所を行ったり来たりしている様子から、膠着状態らしいか?
■タマモ > 砦の門まではいけるのに、魔法に阻まれて戻される。
どうやら、今回突撃している者達は魔法戦には不慣れな感じだ。
逆に、守り手は近接戦となると一歩出遅れ、どうしても押し返しきれていない。
時折、近くで爆発音と衝撃が起こっているようだ。
下手をすれが巻き込まれるかもしれないか?
逆に少女はそんな様子を気にしていない。
慌しく行ったり来たりの者達を横目に、よいせ、と風呂敷包みを背負い直した。
確かここにはキッチンがあったはずだ、そこで山の幸を味わおう、そんな完全に場違いな事を考えだす。
ふらふらと、砦へと向かっていく。
■タマモ > 自分が一体どれだけの間、この摘んできた山の幸をまともに食べれずに歩いてきたと思っているのだ。
やっと調理の出来そうな場所を目の前にして、なぜまた別の場所を探さねばならないのだ。
…うん、完全に自分の我が侭だ、気にしないが。
それを見た一部の者が制止をかける。
ゆっくりと首を傾け、そちらへと顔を向ける少女は笑顔だった。
「………お主等がさっさと逃げ帰れば良いじゃろう?
妾はここでやるべき事があるのじゃ、止めるでない」
ぴくぴくとこめかみ辺りに浮き上がる血管、笑顔の中に、かなりの怒りが込められているようだ。
まぁ、そう言われて、はいそうします、なんて引き下がるくらいならば攻めていないだろう。
それを見ていた数人が更に集まり、力尽くで捕らえるなりしようと囲んでいく。
少女の笑顔は消えない、その瞳が鈍い輝きを放ち始める。
■タマモ > 「ふ…ふふ…そうか、邪魔立てをする気のようじゃな?
ならば、食前の楽しみをさせて貰おうかのぅ?
『さぁ、まずは邪魔な装備品でも脱いでしまおうか?
そして、拳で語り合え、ただ1人が残るまで』」
囲む者達だけでない、一旦攻めあぐねて戻ってきた者達にも、その声が届いた。
途端に、周りに居た者達は言葉の通りに鎧を脱ぎ始める。
それが終わったならば、一斉に殴り合いが始まる事だろう。
その異変に、砦に篭っていた魔族達にも気付く者達が現れる。
攻めの手を止めたどころか、仲間内で争い始めた様子なのだ、それは不思議に思えるものだ。
■タマモ > さて、次はあちらだ。
近くに魔法らしき爆発を起こしてくれた魔族達の方へと今度は顔を向ける。
人間側はまだ殴り合いが始まったばかり、1人になるまでは時間がかかるだろう。
ゆっくりとした足取りで、砦の門の側までやってくる。
後ろであんな騒ぎがある中、少女が1人でやってきている。
どう見たって、この少女が原因だという答えに辿り着く者も居るだろう。
強い警戒と共に、何人かがやはりこちらへと向かって降りてくる。
「お主等に言う言葉は一つじゃ、良いからさっさと逃げ帰れ。
でなければ、面白い事になるぞ?」
しっしっ、と動物でも追い払うように手を振る少女。
こんな事をすれば怒らすのは当然だが、怒っているのは少女も同じだった。
…こちらの怒りは自分勝手なものだが。
■タマモ > 「やれやれ、人が親切で帰れと言うておるのに…分からんかのぅ?
まぁ、妾はちゃんと言うたからな?後の事は保証せんのじゃ」
何をしてくるのか分からない、そう思えば、問答無用で魔法を使おうと魔族の者の何人かが詠唱を始めた。
魔力が集まり始め…と、そこで必要であるべき魔力が、ふっと消えてしまう。
何事か?そう思い少女を見遣れば、なにやら手を振り下ろした姿。
簡単な話だ、自分の周りにあった魔法の元となるマナの力を一時的に掻き消したから。
要するに、火を付ける為に必要な酸素を周りから奪ったような感じである。
戸惑い、そして恐怖、湧き上がる感情に、少女はただくすくすと笑い続けていた。
■タマモ > 「さぁ、ご自慢の魔法は妾の側では使えんぞ?
ほれ、どうするのじゃ?」
袖の中から扇子を取り出し、ぱさっと広げると、ゆらゆらと扇ぐ。
笑っている、笑ってはいるが、その目は笑ってない。
それが余計に感情を煽るか、じりしりと少女の側から後退り始める。
一部の者は武器を手に取るが、それでも、襲い掛かるまでには至っていない。
動けば今度は何をされるのか、それが動きを止めていた。
「………して、帰るのか、帰らんのか…どっちじゃ?」
ぴたり、と一度扇いでいたその手を止め、すっと目を細めて周りの魔族達を見遣る。
ご案内:「タナール砦」にヘクター さんが現れました。
■ヘクター > 少女を前に後ずさり始める魔族の集団。
その後方から、突然拍手が巻き起こる。
「いやあ、実に素晴らしい。 そのような魔法を使える者が居るとはな。」
ざわめく人ごみの中を掻き分け、少女の前に姿を現す魔族の男。
マナを封じられ緊張の色が見える者が多い中、一人涼しげな表情を浮かべている。
「だがお嬢さん、あまり火遊びはせぬことだ。 いくら魔法を封じたとは言え、たった一人でこの数に勝てると思うのか?」
男の声で冷静さを取り戻した者も出始め、武器を構えなおす。
数では圧倒的にこちらが有利。 魔法が駄目なら取り囲めば良いのだ。
とはいえ、いまだ半数以上がどちらにも決めかねずただ立ち尽くしている。
■タマモ > さて、何やら後ろの方から拍手の音が聞こえた。
そちらへと顔を向ければ、まぁ、また違った雰囲気な魔族が見えた。
余裕そうな表情だが、何か勝算があるのだろうか?確か、魔族は魔力が使えなければ大した事は無かった気がするが…
なるほど、続く言葉を聞けば、数で押し切る気らしいのが伺えた。
「あー…力の使えぬ魔族なんぞの数は、妾の前では無力じゃぞ?
それでも、一方的な虐待は好かんから道を作ってやっておる。
分かるか?妾は今でも…こんなものなのじゃ」
囲まれようと余裕そうな表情は変わらない。
一部の者はどうやら持ち直したようだが…それをまた挫くかのように、ぱちんっ、と指を鳴らす。
同時に、ずんっ…!と足元から鈍い衝撃が伝わった。
別にダメージを与えるような激しいものではない、せいぜい、バランスを崩して転ぶ程度のものだ。
「さて、改めて言おう。
さっさと帰れ、それか、キッチンを妾に明け渡すのじゃ」
こんな盛大な事をしておきながら、再び口を紡いだ言葉は、なんとも聞いて微妙なものだった。
こう、雰囲気的に、やはり場違いなような。
■ヘクター > 「ふむ、確かに素晴らしい。 だが、これだけでは魔族を前に相手取るにはとてもても…。」
脚に衝撃を感じるが、それを踏みとどまる男。
だが、廻りの同胞たちはそうもいかず。
元より減衰し始めていた戦意を完全に失い、逃げるように去っていくもの。
戦意こそ残っているが足を囚われ戦うことが出来ないもの。
恐怖と言うものは一度感染すると瞬く間に伝播していく。
それが底知れぬ相手からとなると尚更である。
「なぜこんなとこにまでキッチンを取りに来たのか皆目見当がつかんな。 街にでも行けばいくらでもあるだろう?」
何故キッチン欲しさでこんな所にまで来るのか。 男にはまるで理解が追い付かない。
なので、魔族としての本能に従うことにした。
「まあ、折角来たのだ。 キッチン位ならわしの方で掛け合ってみるとしよう。 ただし、こちらの要件を先に済ませてからな。」
ローブの裾から、左右一本ずつ触手を伸ばした男。 ヌルヌルの液体に塗れたソレの先を少女の方へと向けて。
「君と同じように、わしも腹が減っていてな。 君のような上質な魔力を分けてくれるならキッチンなどいくらでも使わせてやろうではないか。」
■タマモ > 「ふふ…そうか?後ろの者達は、そうは言ってはおらぬぞ?
まぁ…魔王が相手ならばそうはならんじゃろうが、魔王の連中ならばむしろ気兼ねなくキッチンへ案内してくれるものじゃ」
右手に持った扇子で、ぴしっ、と男の後ろ、逃げていったり動けない者達を指す。
そして、以前、この砦であった魔王や、出会った事のある魔王を思い出しながら伝える。
…うん、なんか知らないけど魔王の方が当たり障りが無いってどういう事だろう?とか、思いながら。
「………その街に行こうとしたら、ここに着いたのじゃ、仕方ないじゃろう?
もっとこう、分かり易くして欲しいものじゃ…のぅ?」
この発言で道に迷った事は、多分、理解出来るだろう。
困ったものじゃ、とか何とか、なぜか目の前の男に同意を求めてみた。
と、後の言葉に、ぴくりと少女の眉が動いた。
「何じゃ、てっきり条件として体でも差し出せとか何とか、定番のものかと思いきや…
魔力?妾にはそんなものはないぞ?妖力ならばともかくのぅ?
どちらにせよ、力を渡せというのを条件とするならば、悪いが断らせて貰おう」
そう、少女にとっては九尾としての力はこれ以上になく大事なものだ。
それを寄こせというならば、従う訳がない。
…体なら良いのか?とか言わない。
ともあれ、受け付けられぬ条件を出されたならば、ぱしんっ、と扇子を閉じた。
■ヘクター > 「くくく、君の判断は実に正しい。 わしも魔王の知り合いが一人居るが、わしなんぞよりよっぽど優しいぞ。
この間も、貴重な魔力をわしに提供してくれてな。」
魔力を頂いた時のことを思い出し、背を丸め笑っている。 口には涎が滴り落ちていた。
そして、少女の指摘通り他の魔族は既にほうぼうの体で逃げ出していた。
この状況では男が最初の言っていた数の有利などとっくに破たんしている。
「使えん、実に使えん。」
孤立無援と化した男は、両手を爪が食い込むほど強く握りしめ、怒りに震える。
「なんじゃ、それならわしが街まで魔法で送ってやろう。 わしの魔法を使えば大抵の所へ一瞬でたどり着く。」
声にいらついた物が残ってはいるが、少女の発言に気が抜けた。
街に送るだけでこの砦が残るのなら安いものである。
「ふむ、魔力を貰えるのが一番であったがそう嫌がるのなら仕方ない。 とはいえ、わしもただで君を送ってやるわけにはいかんからな。
君の言うように体を差し出してもらうとしようか。 無論、こいつも使わせてもらうが。」
男の両腕から伸びている触手がそろりそろりと動き出す。
少女の周りを距離を一定の距離を取りながら動いている。
その度に床にねばついた体液が落ち、染みを作っている。
■タマモ > 「ほほぅ?…はて、覚えの無い魔王じゃのぅ。
なるほど、そんな魔王も居ったならば覚えておかねばならんか。
しかし、そんなに魔力というものは良いものなのじゃな?
………美味というよりは、楽しんでおったようじゃのぅ」
実はまだ瞳は鈍い輝きを放ったまま、軽く思い出す程度の事ならば見る事が出来る。
そこに浮かぶ見た事の無い魔王の姿に首を捻り、魔力の提供に食事のようなものだろうか?と想像をしてみた。
…が、違うものが浮かべば、少しばかり残念そうだ。まぁ、そういうのも嫌いではないが。
あぁ、気が付けば1人たりとも残っていなかった。
眺めるように男の後ろを見遣り、肩を竦めてみせた。
「まぁ、力の差が歴然とすれば仕方が無いじゃろう?
むしろ、その差を判断し逃げるのは正しい行為じゃ。
無駄に散ったところで、何も残らんのじゃからのぅ?」
怒りに震える男と対象に、ある意味で感心したように頷く少女だった。
「………別に転移くらいは出来るのじゃが、それは最終手段なのじゃ。
という訳で、それでも送ってくれるというならば、仕方が無いから送られてやろう。
礼くらいはするが…体には体で扱って貰おうかのぅ?
それとも、お主自身の腕では自信がないじゃろうか?」
自分でも移動は出来る、それを主張しつつ、それでも送ってくれるなら助かるものだ。
まぁ、あの触手が力を吸い取る元になっている、それを見て理解した上で警戒したのもある訳だが。
さて、どうする?
挑発を交え、閉じた扇子を向け、ゆらりゆらりと揺らしながら、問う。
■ヘクター > 「ひひひ、君が言うように魔力と身体を貪るというのは非常に楽しい。 ましてや両方味わうとなればなおのことよ。」
冷めたような表情を見せられるが、男は気にせず笑い続ける。
「とはいえ、人のことをそう覗くのは感心せんな。」
ひとしきり笑い終えてから、光を放つ瞳を忌々しく睨んでいる。
「これは只の奇襲ではないか。 無論、簡単に不意を突かれる方が悪いと言えばそれまでだがな。」
肩を竦める少女を視界の中心に据えたまま、ギリギリと歯がみしている。
「なるほど、非効率を楽しんでいると言うわけか。 それならばそれでも良いがな。
まあ、今日ばかりは好きに言わせてやろうではないか。」
上から目線で言われ放題の少女に対し、男は不服そうな表情を浮かべたままではあるがこれを飲み込む。
それほどまでにして味わいたかった、目の前の少女の身体を。
焚き付けられた男は、これをあっさりと承諾する。
興奮状態になりつつあった触手は名残惜しそうに引っ込んでいき、男の腕の中へと消えていく。
代わりに男の脚が一歩二歩と少女の元へと近づいてゆく。
■タマモ > 「むむむ…なんとも、理解が出来るだけに言い様も無いのぅ」
そう、体を貪るという事に関しては、自分もよく分かっている。
だから、つい同意をしてしまう。
「………おっと、何も言わんから気にせんでおった。
ふふ…では、これはここまでにしておこうかのぅ。
いやいや、先に魔法を使おうとしていたのは連中じゃ。
妾は何度も帰れと言うたんじゃぞ?」
目を細め、そう呟けば、瞳の輝きがゆっくりと消えていった。
そして、思い出すように視線を上に向ける。
そう、確かに先攻しようとしたのは魔族達だったはずだ。
「そう、無駄を楽しむのも良いものじゃ。
ふむ、今日だけとなるとは限らんのじゃが…まぁ、良い」
少女をよく知れば、無駄が多過ぎるときっと言うだろう。
言われたとして、気にするような少女ではない、それもきっと分かるはずだ。
どうあろうと、少女のこの態度は変わらない。
なぜならば…これが少女にとっての普通だからだ。
さて、とりあえず、これで先の事は決まったようだ。
触手を引っ込め、近寄ってくる男を、特に警戒もせずに見詰めていた。
どんな方法で送ってくれるか、というのも気になっている。
余計な事をしようとしなければ、大人しく付いていくだろう。
ご案内:「タナール砦」にヘクターさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」にヘクターさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」からヘクター さんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。