2016/05/05 のログ
ご案内:「タナール砦」にエリセルさんが現れました。
エリセル > 久々に魔族の国からタナール砦を越え、人間の土地へと向かおうと思った。
その理由なんてものは、別に語るまでも無い。
酒に満たされた杯を傾け、飲み下していき乍、砦にある大きな扉の前に立つ。

抜けたいのに抜けれなくしてあるが、如何したものか?
ユラッと体を傾けて、上の方へと目を向けてみる。
近付いていた時からずっとこっちを見ていたかもしれない、人間と目が合った。

「おーいっ、私はあっちに行きたいんだ、この扉を開けてくれないかーい?」

その人間に声を掛けてみた。
返事の代わりに、その人間の頭上に何かが浮かび上がって此方に向かって放たれた。
魔族は通すな、とか指示があるのだろうけれども、問答無用とは困ったものだ。
それが魔法であるのだと直ぐに分かったが、避けるつもりは更々無い。

扉の前で起こる爆発、舞い上がる煙。
直撃だ、あっさりし過ぎているものだと、きっとその人間は思っていただろう。
その余裕も、その煙が晴れる迄だ。
ゆっくりと晴れていく煙、そこに立っていた魔族は、爆発前と同じ状態で人間を見上げていた。

エリセル > 「おいおい、問答無用とは酷いじゃないか。
ほら、話し合おうと気を利かせてやってるんだ、降りてきたらどうだい?」

グイッと杯を再び傾けて残っている酒を飲み干し、腰の瓢箪を右手で持てば傾けて杯に酒を足す。
腰に引っ掛けて瓢箪を戻せば、手招きをして呼んでみる。
その人間は、見えていた場所から消えた。
話し合いに応じる気になったのか、それは良い事だ。
そんな事を考え乍、扉が開くのを、又のんびりと待っていた。
果たして思った通りに来てくれるのか。
それとも、援軍でも呼んで突っ込んできてくれるのか。
どちらにしたって問題では無い。

エリセル > 「まーったく、人間って奴は本当にせっかちでいけないねぇ。
もうちょっと心を広く持ったらどうだって思うよ。
そんじゃ、仕方ないね…っと」

何が起こるのかと待っていたのだが、返って来るのは沈黙だった。
成る程、攻撃が効かないなら待ち受けて集中砲火って処だろうか?
困った様にポリポリと指で頬を掻き乍、ゆっくりと後ろへと下がっていく。
見上げる視線の先は、何かを確かめる様に屋上らしき場所や、その先の空へと向けられる。
暫く下がれば、ピタリと足をそこで止めた。
左手には杯を持った侭、いっちにっ、と軽く体を解す感じに捻ったり伸ばしたりとしている。

エリセル > 通してくれないんじゃ、跳び越えるしか無いだろう?
物凄くシンプルな考えだった。
体を屈めて力を足に込める、其の侭、ドンッ!と力強く地面を蹴った。
まるで地震の様な大きな振動が地面を襲う。
小さなその体は一気に宙を舞い、砦を難無く飛び越えてしまうだろう。
魔族の国の側、その魔族が跳んだ距離と同じ位の位置で、人間の国の側の土地に着地をした。

エリセル > きっと砦の中の人間達は、あちら側の扉の前に集まって身構えているんだろう。
そんな姿を想像すると、ちょっと面白いのかもしれない。
左手の杯に目を向ける、今の衝撃やらで零れてないのを確かめた…どうやら大丈夫だったみたいだ。

「お前達の相手をしてやっても良いんだけど、差が在り過ぎるってのも面白味に欠けるだろう?
もっと腕利きの人間を連れて来たら相手をしてやるよ」

杯を唇に寄せ、飲んでいく。
ぷはーっと大きく息を吐けば、何事も無かったかの様に、砦を後にして人間の土地へと歩いていった。

ご案内:「タナール砦」からエリセルさんが去りました。