2016/02/24 のログ
ご案内:「タナール砦」にシャルロットさんが現れました。
シャルロット > 今日もタナール砦で、一つの戦いが終わる。

太陽も高く上がった昼頃に、突如現れた魔族の軍勢は砦を瞬く間に包囲。
それから半日に及ぶ、激しい戦闘の末、王国の守備隊150名余の抵抗空しく砦には
魔族の旗が翻る事となった。

『……ニンゲンたちの生き残りはこれだけ?』

平時では練兵などが行われていたであろう、砦の中庭には
後ろ手に縛りあげられた王国陣営の兵士たちが並べられ顔を青くして指揮官級の女魔族の沙汰を待っている。
魔族とて一枚岩ではない。中には人間を憎み、捕虜から何から皆殺しにするような者もいるが、無駄な流血を好まない者や
武人気質で抵抗の意思をなくした兵を討つのは忍びないと考える者も当然いる。

兵士たちは運よく、後者の指揮官であることを祈るのみ。

『男ばかりでおもしろくないわねぇ……オンナノコの兵士とかこの砦の指揮官の妾とか、いないのかしら。』

魔族の女指揮官が退屈そうにつぶやいた時だった。

「きゃっ……!」

と、女性の短い悲鳴が中庭に響く。
砦の中を改めていた、下級魔族の小隊が人間の女たちを拘束して中庭へと連れ出して来たのだ。

『女どもが隠し部屋に隠れていたのを見つけました。どうやら、王国側がこの砦を占領している間に
 魔術を使って、隠し部屋をいくつか作っていたようですね。他にも、兵糧などもいくらか。』

『ふーん、楽しくなってきたわね。宝さがしなんて。』

その引き出された女性の中、ひときわ豪奢な装いの貴人が紛れているのに魔族たちはまだ気づいていない。
胸元がレースフリルで飾られたコルセットドレスに貴重なシルク地で作られた黒のタイツを纏った女――。

(どうして……どうしてこんなことに……。)

シャルロット・タールハイムは絶望に心を塗りつぶされながら、自問する。
人気取りのための、簡単な戦地視察のはずだった。対魔族戦線の前線基地は確かに危険だが、、
ほんの少し見回って将兵にいくらか言葉をかけて、王都に引き返すだけ。

そのはずだったのに。

ご案内:「タナール砦」にカレリアさんが現れました。
カレリア > 「ふむ…こうなりましたか…」

地面から10m程の空中、そこから砦を眺める
王国軍の守る砦に侵攻する魔族…籠城戦となれば魔族に分が悪いと思っていたが結果は魔族軍の勝利
人質まで残っているとなれば完勝と言っても良い結果に

「砦攻めのヒントにと思っていましたが…思ってもいないところで収穫でしたわね。」

今回の戦略を頭に叩き込む
こういった知識は後で役に立つ…眺めるだけなんて無駄な事はしない

「後は、どうするかですわね…」

残った人質を助けに向かうか…それとも正式にギルドで招集を待ってからにするか
兵士がその時まで無事かは知った事ではないが、一応兵士なのだから覚悟はできているのだろう

シャルロット > カレリアのいる場所からは、辛うじて中庭を見る事ができ、
声までは聞くことができないが、魔族の女指揮官が自身の部下たちに指示を飛ばす様が確認できる。

様子を伺う限りどうやら、兵士たちは解放されることが決定したようで、
明らかに顔をほころばせているが……女たちの表情は暗い。
それもそのはず、しばらく様子を見ていれば兵士たちだけが武器を取りあげられたうえで砦の外に解放されたものの、
女性たちはまだ、中庭に残されたままだ。

カレリア > 「女性ばかり残っていますわね……」

僅かに見える中庭、そこに居るのは魔族の指揮官とその部下…後は女性達
そして武器を剥ぎ取られ追い出されるのは男ばかり…

「あぁ、そういう趣味ですか……敗者を嬲るなら別ですわね」

ふわりと高く飛翔、そのまま中庭に集められた女性達の上空に舞い降りる
兵士共が血祭であれば捨て置いたが無抵抗の女ばかり残すのが気に入らない
ただそれだけの理由で介入を始めた

シャルロット > カレリアが砦上空に達したころ、おあつらえ向きに中庭に残っていたのは
魔族の女指揮官と、捕虜の女たちだけだった。

『ふふ……怯えなくてもいいのよ?ただ、私は楽しみたいだけ。
 私が満足したら、あなた達も解放してあげるわ。といっても、それまでに壊れちゃうかもしれないけれどね。』

「くっ……汚らわしい指で、私に触るな……!」

『あらあら、威勢がいいわね。そういうの凄く好みよ……。』

女指揮官が捕虜の一人、身なりの良い貴人の顎をくい、とあげさせる。
どうやら、口づけをしようとしているようだが、行為に夢中なのか、いまだカレリアの接近に彼女は気づかない。

カレリア > 「………」

気づいてないなら態々名乗る事もない、どうやら予想は当たっているようなのでそのまま無言で魔術を行使
お楽しみ目前で注意が散漫な指揮官の頭部に熱線を放つ
避ければ追撃当たれば即死、どちらに転んでも後二手であの指揮官は殺せると踏む

シャルロット > 『決めたわ、貴方は私が最期の最期までかわいがってあげる。
 可哀想だけど、全部吸い尽くして――。』

指揮官が、にやりと口をゆがめ牙のようにとがった犬歯をのぞかせた時だった。

『あッ――。』

上空から熱線が降り注ぎ、正確に指揮官の頭を貫く。
たった一撃。あっけないもので、一撃を受けた彼女は次の瞬間地面に崩れ落ち
さらさらと灰になって、風に吹かれていった。

「な、なんだ……!?」

覚悟を決めたかのように、顔を背けていた貴人が状況を掴めず言葉を漏らす。

カレリア > 「一撃で終わりとは油断が過ぎますわね…皆さん、私は人間ですのでどうか静粛にお願い致します」

灰となった女魔族のいた場所に舞い降りる
騒がれて魔族たちが押し寄せると面倒なので先に安全だと告げ…

「ギリギリ…ですわよね?大丈夫ですの?」

女魔族に気にいられていた女性を見上げ尋ねる
何もさせずに葬ったはずだが一応確認

シャルロット > 突然の救世主の出現に、にわかに女たちの顔が明るくなる。
そして、今にも唇を奪われるところであった貴人……。

「すまない、助けられたようだ……。」

シャルロットもその例にもれず、胸をなでおろした。
今だ敵中ではあるが、助けが来たのだ。しかも油断していたとはいえ指揮官級の魔族を
一撃で倒すほどの技量の持ち主、もしかすれば助かるかもしれない。

「……すまないが、縄を切ってくれないか?
 私も簡単な護身術ぐらいは心得ている。手さえ使えれば足手まといにはならないつもりだ。」

カレリア > 「人として当然の事をしたまでですわ♪」

ニコリと笑顔を向ける
嘘も方便…きっとこれで更に安心してもらえるだろう

「では、少々お待ちを…」

魔力を刃の代わりにし手刀で全員のロープを切断していく
それが済めば後は魔族の掃討だが

「あれがトップならそう手古摺りはしませんわね…あぁ、申し遅れましたが私はカレリア。冒険者をしています♪」

相手の戦力を軽く見積もりながらも自己紹介

シャルロット > 「冒険者カレリア、だな。
 私はシャルロットだ。シャルロット・タールハイム。」

衣服や態度からして、貴族である風をにおわせていた女であったが、
タールハイムと言えば、没落しかけていたものの王都では名家として知られていた家の一つ。
その名前くらいは、カレリアも聞いたことがあるかもしれない。

「手古摺りはしないか、頼もしい事だ。
 君のような優秀な戦士がいる限り、王国は安泰だな。」

――と、その時だった。

『捕虜を逃がそうとしている者がいるぞ!』

ついに、魔族に見つかった!
その声に応じて、十数人の魔族たちが中庭へと続々詰めかけてくる!

カレリア > 「タールハイム…名家の貴女がどうしてこんな場所に…」

決して小さくない貴族の名を聞き不思議に思う
だがそれについて聞いている暇はあまりない様だ

「流石に感付きますわね…ですが、さようならですわ」

交渉の余地などないのだろう、だからせめて早く終わらせよう
女魔族を仕留めた熱線、それを今度は撃つのではなく放射したまま横一文字に薙ぎ払う
地面に伏せていたりしない限り胴の辺りから上下に分かれるであろう一撃
これで態々出てきた者は大体始末ができたと思うが…

シャルロット > 『ギャッ!!!』

武器を振り上げ、奇声をあげながら中庭に躍り込んで来た魔族たちは、
そのほとんどが、カレリアの熱線の餌食となる。

『こ、この熱線……まさか……!!!』

運よく、仲間の影となり熱線の直撃を免れた魔族が顔を青ざめさせて叫んだ。

『……魔人兵器カレリア!?』

その声を聴き、ちょうど室内から湧き出るように現れた魔族兵の第二陣の動きが止まる。

『ばかな……なぜこんなところに?』
『ち、ちくしょう、ついてないぜ……!!!』

どうやら、魔族の間にもあなたの異名はそれなりに通っているようで
明らかに動揺し、おびえる者多数。そしてそのうち……。

『お、俺は逃げるぜ……!!!』

最初に運良く助かった魔族が、武器を打ち捨てて逃げ出すと
それに続くように、魔族たちは一目散に逃げ出していく。

カレリア > 「っ……」

忌み名を聞き少々顔を歪める
別の大陸からついにここまで伝わったか…
上手くいけば全員亡き者にできると思ったが逃げるのであれば仕方ない
今は人質の安全を第一に考えよう

「どうやらうまく撃退できたようですわね…おそらく明日の夜明けには王国軍がここを取り戻しに来る筈です。
なので皆さんはお休みになってくださいませ♪」

微笑みを浮かべそう告げる
魔王軍本体でも来ない限りはここを守るか時間稼ぎは一人でもできる
そう確信しているからこそハッキリと言葉にした

シャルロット > 元より、敵も長い間この砦を占領するつもりもなかったのか
魔族軍の増援がそれ以上やってくることもなく。

翌朝の夜明けに、王国軍の部隊が砦を取り戻しにやってくるまで
特段の問題なく、時間は過ぎていったのだった。敵の士気が低かったとはいえ、
一人でタナール砦を奪還したカレリアの武名は、ますます響く事だろう。

ご案内:「タナール砦」からカレリアさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からシャルロットさんが去りました。