2016/01/06 のログ
ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
タマモ > 長い長い九頭龍山脈をやっと越え、今、遠くにタナール砦が見える場所に少女は佇んでいた。
思えば本当に長い道のりだった気がする。
…本来はもっと早く着いたような気がしないでもないが、それは気にしない事にしよう。

「やれやれ、これからの事を聞くだけで本当に苦労をしたものじゃのぅ…」

湾港都市から九頭龍山脈を抜けてタナール砦へと向かったはずだった。
それが道に迷って色々と寄り道とした上に危うく食糧危機に陥る寸前という結果だ。
後少しだと思えば、自然と足も軽くなる。

少女はゆっくりと、しかし、しっかりとした足取りでタナール砦へと向かう。

…ただ、予想外なのは現在タナール砦を占領しているのが魔族側である事だろうか?

ご案内:「タナール砦」に魔王アスタルテさんが現れました。
魔王アスタルテ > (先日、我が《魔王軍》のとある部隊により占拠したタナール砦。
 本日はアスタルテが別荘として、ちょっと拝借している。
 人間達が魔族の国に攻め入らないとも限らないこの世の中、この砦は我が国の防衛としても機能する。
 まあ、占拠したり占拠されたりで慌ただしい砦なんだけどね……。

 現在のタナール砦は勝手に改装されており、どこか禍々しい雰囲気を漂わせていた。
 まさしく魔城と化している今日のタナール砦であった。
 程良くここの防衛を占拠した部隊にやらせた後に、他魔族勢力にこの砦を譲る形で撤退させるつもりだけどね。
 現在アスタルテは、指令室で四天王ロータスとチェスを嗜んでいる)
「チェックメイトだよ~♪」
『な、なぬ……!』
(いや……今、終わった)

タマモ > タナール砦付近まできたところで、ふと歩みが緩やかになる。
何かに反応しているかのように、ぴくん、と耳が揺れた。

「はて…確か、この砦は第七師団とやらが居るはずなんじゃがのぅ…?」

かくん?と首を傾げた、話を聞いた限りでは人間が居るはずだ。
なのに、今この砦から感じるものはそれとは別物な気がする。
まぁ、別の種族やら何やらがきっと居るんだろう。
そう結論付け、砦の門の前まで到着した。

「とりあえず、入らねば話にならぬじゃろう」

右を見て、左を見て、扉を見る。
これ、勝手に開けてしまって良いのだろうか?そんな事を考えていた。

魔王アスタルテ > (城門警備を行っていた魔族数名の内一名が、城壁の上からタマモに叫ぶ。
 見るからに下っ端であり、そして吸血鬼のような外見から見るからに魔族である)
『何者だ? 怪しい奴だな……。
 ミレー族か? いや、違うか。
 何しにここへ来た?』

(タマモに声をかけた者が城門警備小隊の隊長なのだろう。
 彼の指示により、他数名の魔族は城壁の上部よりタマモに弓矢を向けている。
 突然現れた訪問者に警戒しての行動のようで、敵意や悪意はあまりない様子)

タマモ > なにか上から声がかかった、どこだろう?という感じにぐいっと顔を上に向けた…うん、居た。
居たけど…どう見ても魔族のような気がしてならない。
というか魔族だ。

「怪しいとは失礼じゃのぅ…妾はここに居る第七師団とやらに用事があるのじゃ。
しかし、よもや魔族さえも団員だったとは恐れ入ったのぅ。
ともあれ、そういう訳でさっさと門を開けるのじゃ」

人間と魔族は争っていたような話を聞いたが、中には魔族にも人間と共に居る者もいた。
きっと今上に居る者はそういった者なのだろう、と勝手に認識。
そういう事でどういう事態になるのかまったく予想もしておらぬまま、こんこんと扉を小突いてみせる。

向けられた弓に関しては、まぁ…砦だし、警戒もするものだろう?と思って放置。
敵意も何もないので、すぐに引っ込むだろうと思い込んでいる。

「おっと、忘れておった…妾はタマモじゃ、伝えれば分かるじゃろう」

と、伝え忘れた事を付け足しておいた。

魔王アスタルテ > (タマモの発言に、魔族は首を傾げる)
『はいぃ?
 あの憎たらしい王国軍第七師団がなんだって?』
(第七師団は対魔族特化部隊。
 当然であるが、魔族側は第七師団を毛嫌いする者が多い)
『ここは今、我々魔族が占領してんだ。
 第七師団なんていねぇよ!
 タマモな? 一応、部隊長殿には伝えてやるよ』
(城門警備小隊の隊長が掌サイズの石板のようなものを取り出そうとする。

 そんな時、一柱の魔族が城壁の上部に現れる。
 こちらは見るからに上官であり、高位魔族である。その風貌は巨体を誇るミノタウロスといったところ)
『何事だ? ん? あれは確か……オリアーブ島のング=ラネク山にいたタマモとかいう奴か?』
(彼は、あの時ング=ラネク山でアスタルテが引き連れていた高位魔族数十柱のうちの一柱であり、密かにタマモと面識がある人物である。
 ミノタウロスは、小隊長が取り出そうとしたものと同じ小型の石板を取り出し、それを自身の耳元にもっていく)
『もしもし、ロータス様。
 妖狐のタマモとやらが城門前に来てますぜ。いかがしましょうか?
 はい……。はい……。
 了解いたしました!』
(やがてミノタウロスは、石板を仕舞う。

 しばらくして城門が開く)
『入れ、タマモとやら!
 お前を指令室まで案内してやる』
(ミノタウロスは城壁から飛び降りると、タマモを砦内に招き入れようとする)

タマモ > 「………おや?」

うん、なんか思いっきり自分の思っていた魔族でなく、話しに聞いた通りの魔族だった。
そして、その魔族から次いで聞かされる真実。
ぴしっ、何かが崩れたような音が聞こえた。
せっかく遠路遥々わざわざ徒歩でやってきたというのに、その苦労の末の結果がこれか?
もう、きっと後一押し何かがあれば場所なんて弁えず怒り狂ったのかもしれない。

が、なにやら空気が変わった感じを受けた。
というか、上の会話が地味に聞こえていたというのは秘密だ。
聞き覚えのある山の名前、そういえば、あそこで魔族の大群に会った気がする。
…確か、あそこにいた大群は…
あ、なんかやばい気がしてきた。

そうしていれば、扉が開かれた。
どうやら、指令室とやらに案内されるらしい?
第七師団が居ない時点で本来目的はなくなったのだが…

「ふむ…無碍に誘いを断るのは悪いか…仕方ない、案内されるかのぅ」

少々複雑そうな表情を浮かべる少女だが、ミノタウロスの案内を受け指令室へと向かうのだろう。

魔王アスタルテ > (タマモは、もはや魔城と化している禍々しいタナール砦の光景を見ながら指令室に案内されるだろう。
 その内部は、西洋の城をそのまま魔界化したかのようなものであるが、とある場所には闇が広がっていたり、所々悪魔像が置かれていたりする。

 やがて司令部にやってくる。現在の司令部は、もはや簡易魔王の玉座の間化していた。
 本物の玉座の変わりにあるのは、黒い羽が生えた全長1.5メートル程のドクロ《魔の玉座“プート・サタナキア”》。
 そのドクロの上に、アスタルテが足を組んでちょこんと座っている。
 そんなアスタルテの両脇にいるのは、四天王の皆さん。
 そしてタマモの隣で魔王に跪いているのが、先程のミノタウロス)

(アスタルテは、タマモを見ると嬉しそうに、無邪気に笑みを浮かべる)
「やっほ~、タマモちゃん♪
 ちょっとあたしの趣味風にアレンジしてしまったタナール砦にいらっしゃい♪ 歓迎するよ~」

タマモ > タナール砦に入るのはこれが初めてである。
その状態でこの光景を見せられれば、きっとこれがタナール砦の構造なんだろうと認識する。
なんというか…うん、なかなかに悪趣味な内装だ。
とはいえ、別に自分の価値観を押し付けるつもりもないし、これはこれだろうと何も言わない。

と、しばらく歩いていれば、目的の場所である指令室に辿り着く。
足を踏み入れれば…予想通りだ、見覚えのある少女がそこに佇んでいた。

あんな事がなければ、この少女に会うのはとても嬉しい事だ。
だが、今はまだ少女を前にすれば…ティルヒアの事を思い出し、苦笑を浮かべた。

「やはりアスタルテじゃったか、久し振りじゃのぅ。
しかし、何じゃ…タナール砦というのはどういった場所なのじゃ?
妾はここに第七師団があると聞いてやってきたはずなのじゃが…占領がどうとか、ちと複雑そうな場所なんじゃろうか?」

と、首を傾げながら問う。

魔王アスタルテ > 「あー、そっかぁ。
 タマモちゃんは、この砦の事情を知らなくても無理ないよね」
(何せタマモは、ティルヒア動乱最中にこの世界に召喚された妖狐。
 ティルヒアと王国が戦争していた時に呼ばれていたなら、人間と魔族の戦争とか、そういったものはまだ疎くても仕方がないよね)
『ほう……。第七師団とな?』
(玉座の隣で腕を組む触手のロータスは、意味ありげにそんな事を呟いていた)

「掻い摘んで説明すると、魔族と人間が仲良くしている光景をよく見かけるけど、基本的にマグメール王国とこの先にある我が魔族の国は交戦状態にあるんだよ。
 それで、国境付近のこの砦が主戦場になっているんだよ。
 だからこの砦では、魔族側或いは人間側が占拠したり、はたまた占拠されたりを繰り返しているの。
 現在、このタナール砦を占拠しているのが我々魔族側なんだよ。まあ、またいつか人間に占拠し返されるけどね」

(そして、第七師団があるという話を聞いた理由を察して、続きを説明する)
「王国軍第七師団は、対魔族特化部隊。
 つまり、マグメール王国の部隊の中でも特にこのタナール砦を占拠する事が多いね。
 だけど、常に第七師団がこのタナール砦を占拠しているわけでもないよ。
 なにせ、この砦の戦況は短期間の内に大きく変わるからね」

タマモ > なるほど、そういう事か。
一通りの説明を聞けばやっと理解が出来た。
あれ?ではそうなると…といった感じに、考え込む様な仕草。

「あー…ではあれじゃったか、妾が今ここに来るのはちとマズかったか…?
いや、そうか…とりあえず、今はアスタルテの客人として居れば問題ないんじゃのぅ?
いやはや、あやふやな立場と言うのは時に便利なものじゃ」

本来は第七師団の客人的な立場だ。
だが、それはあくまでも第七師団だけとで交わされた事であり、周りはほぼ知らぬ事である。
ならば、といった感じに呟けば、ふむふむと頷いた。

「しかし、まさか第七師団がそういったものだとはのぅ…
まぁ、上手くやればなんとかなるのじゃろう」

第七師団の世話にならねばならぬが、少なくともアスタルテとは対峙をするつもりもない。
その辺りは臨機応変にやれば良いか、そう考えた。

「それにしても…まさか、今ここを占領しておるのがアスタルテとはのぅ?
途中からは予想出来たが…やはり、少々驚くものがあるのじゃ」