2023/07/23 のログ
ご案内:「無名遺跡」にシアンさんが現れました。
シアン > 入り組み、枝分かれし、幾重にも地下深く重なり時には構造が一変するダンジョン。
魔物が蔓延り男を食らい女を犯しなんなら男も犯せば魔物だけでなく罠までもが命も何も狙う――
其処な一つの何処かの部屋で雷鳴が響き渡り雷光が幾つか連続して瞬いた。

「……あ……あっぶ……あっぶねぇぇぇぇぇ……!!!」

紫電が迸る、体躯、紫電で焼け焦げる、衣服。
余韻にばちばちと鳴り響く鉄杖を杖として体躯を支える男。
周りには触手であったものらしき黒焦げになったものが、
十本百本あるいは千本万本と幾つも無数に転がっている。

転送トラップに引っ掛かって触手トラップルームにご招待され、
命からがらならぬ貞操からがらに今しがた難を切り抜けた所だ。

「油断した……! 俺の馬鹿……っ!」

転送トラップには以前引っ掛かってえらい目に遭って従前に気をつけていたつもりがこれだ。
最近どうにも勘が鈍っていていけないと少し危険な場所に挑んだら、これだ。
己の迂闊さを呪う、前に、はたと気付く。

「あ゛ー! ヤバい! 誰か巻き込まれ……ては、ないよなぁ!?」

指向性を触手のみに向けてはある。鉄杖の特異性も使った為自分のど下手くそな指向性もかなりマシなはず、ではある。
が、万が一もある、あったとして、軽く痺れるぐらいだとは思うもののそれでもだ。
一人で居ると独り言を呟く癖がつく、とはいうが、
一人で大騒ぎしながら焦げた触手を鉄杖で殴って探索開始。

シアン >  
殴ったり蹴ったり手を突っ込んだり触手だった群れを掻き分けての探索は暫し続き――
此処に招待されて不幸にも穴という穴を犯された挙げ句感電までするという哀れな犠牲者は居なかった。そして、何がしかの要因で飛ばされてきた新たなる犠牲者も現れない。

心底ホッとした。

「まじであぶねぇ……鈍ってんな俺ぇ……」

お財布に余裕があるからと身体を軽く動かす程度の依頼ばかりやりすぎた。
危機察知も咄嗟の判断も自分採点で落第だ。

「ぁー……気ぃ付けな。出るか……どこだろ此処……」

溜息一つ。長く長く吐き出してはがりがりと頭を掻きつつ踵を返す。
帰り道も分からないが帰る頃にはマシになっている、のを、期待して、
鉄杖を肩に担ぐよう支えながら歩き出した。

ご案内:「無名遺跡」からシアンさんが去りました。