2023/07/08 のログ
ご案内:「無名遺跡」にルプランさんが現れました。
■ルプラン >
「信じらんない、信じらんない、ふっざけんな、ば―――――か!!」
ほぼ絶叫同然の罵声をこれでもかと浴びせ、ここまで案内してきた冒険者の一団を置き去りに、
鼻息も荒くざかざかと、単身、通路を歩き始めたのは、今から十数分前のこと。
新米に毛の生えたような連中ばかり三人連れで、身の程知らずにも遺跡の奥を目指そうという、
そもそも無謀なプランに乗ったのは、ひとえに払いが良かったからだが。
貴族の坊ちゃんだとかいう彼らが、遺跡の探索よりも、案内人たる女の尻だの足だのに興味津々で、
ジロジロ見てはにやにや笑う、その程度ならばスルーしてもやっただろうが、
べたべた触り始めるとなれば、話は別である。
それでも、何度か『やめろ』と注意してやったのに―――――。
「ったくもう、あいつら、遺跡舐めてんじゃない?!
チャラチャラふらふら、あんなんじゃいつトラップに引っ掛かって、
命落とさないとも限んないってのに、ほんとにもう……、」
怒ってはいけない、気持ちを高ぶらせてはいけない。
そうは思っても呼吸が弾む、心臓がどきどきと高鳴っている。
良くない兆候だ、一刻も早く、平常心に戻らなくては、と焦るほど、
じわじわと身体の芯が熱を帯びてゆくようで。
ぶるん、と勢い良く首を振り、カンテラを下げていない方の手で、
バン、とすぐそばの壁を思い切り叩いて―――――
「だぁから、落ち着けってば、あたし!」
―――――――――― がこ、ん。
どこかで鈍い音が聞こえ、足許が大きく揺れて。
気づいたときには床が掻き消え、深い闇の底へ放り出されていた。
咄嗟に身体を丸め、頭を庇って衝撃に備えようとはしたが、
カンテラは取り落としてしまい、ごろり、転がった先は真の暗闇。
あちこちに打ち身やら擦り傷やらが出来ただろう、それより、何より。
まずは闇に目を馴らして、それから、放り出してしまった荷物を探しつつ、
ここがどんな場所なのか、探らなければならない。
なんとも無様で、面倒な事態に叩き落とされてしまったのだった。
ご案内:「無名遺跡」にスミデーさんが現れました。
■スミデー > (遺跡の中にだけ現れる、遺跡特有の魔物を捕獲する為に訪れていた遺跡。
かなり奥の方まで入り込んで魔物達を捕獲しながら移動をしていて、少し離れた方向からそれなりに大きな物音が聞こえてきたため、一度足を止める)
「何の音だ?確か、あっちの方向は……落とし穴か何かの罠の出口があったはず。
ということは、誰かが罠に嵌って落ちてきたってことか?
普通に考えると冒険者だが、意外と魔物が引っ掛かることもあるからな、様子を見に行ってみるか」
(目に魔物の力を宿して暗い中でも問題なく視界を確保した状態で、魔物にせよ冒険者にせよ、こちらに危害を加えてくる可能性を考慮して、ダンジョン探索時に良く召喚する無数の触手を持つローパーと、影の中に潜んで護衛をするシャドウモンスターを呼び出して音がした方に近づいていく)
「……冒険者、にしては随分と格好が軽装だな。
まぁ、そちらの方が都合がいいか……取り敢えず、ローパーを隠して置いて、と。
怪しまれないように灯りをつけて、と。
おーい、そこのあんた、凄い音がしたけど大丈夫かー?」
(夜目は利くものの、怪しまれないようにとランタンに灯りをつけてから近付いていき、声と灯りが届く範囲まで近づきながら心配するような声を出してそちらへと呼びかけていく)
■ルプラン >
ぼう――――――と、遠くに光るものが見えた。
ゆらゆら揺れる灯火と思しきものが少しずつ近づき、
ひと、一人分の足音、それから男の声。
地べたに転がっていた身体を、のろのろと起こしてその場へ座り込みながら、
半ば無意識に、左手はブーツの脹脛へ伸びる。
そこへ仕込んでいる、ほぼ唯一の武器である短剣を探り当てて、
いつでも扱えるように握り直し。
声の聞こえる方、人影がぼんやり見え始めた方へ、開いた右手を差し伸ばし、
「だ、い、じょうぶじゃ、ないかも、知れない、から!
それ以上、コッチ、近づかないで――――――!」
本音を言うなら、近づいて欲しくないのだ。
だって罠にかかって落っこちた先で、平然と声を掛けてくる男なんてもの、
すぐに信用するのはどうしたって、難しい。
■スミデー > (聞こえてくる声に女であることを確認する。
そしてどうやらこちらを警戒している様子に、軽装ではあるものの割とまっとうな冒険者らしいと分かる。
こういうところに出没する存在でも素直に信じてくれるのはありがたいものの、冒険者として警戒心がなさすぎではないだろうかと想うこともあったのだ)
「大丈夫じゃないなら、ますますそっちに行って手当をしないといけないんじゃないか?
取り敢えず、怪我はしてないのか、大丈夫かー?」
(心配をしているような声を出しながら、こちらから近付くことはしないでいる。
その代わり、隠しておいたローパーに念話で指示を出して女の後ろへと静かに回り込ませていく。
元々、物音を立てずに移動する存在のローパーではあるものの、気配を感じとられないようにこちらから話しかけ続ける)
「一人なのか?仲間はどうした?はぐれたんだったら、そういうときにあつまる場所は決めてあるのか?よかったら、そこまで送っていってやるぞ?」
(そしてローパーが女の後方へと回り込むことが出来たなら、そこから触手を伸ばさせていき、最初に足首に絡み付かせて、そこから手首、腰、と触手を使って拘束をしていこうとする)
■ルプラン >
第一線から退いてはいても、これでも冒険者として生計を立てていた身。
女と見れば襲いかかってくる魔物と同じくらい、そういう人間の男も多い、ということぐらい、
充分すぎるほどにわかっている。
そして、相手が知能のある、言葉の通じる者の場合、強引に迫ってくるばかりではないことも。
「け、っこう、ですー……薬とか、ちゃんと、持ってきてるから……、」
更に掛けられる声を正直、煩わしいななどと思いつつ、
右手で辺りの地面を探って、合切袋と思しきものに触れた。
ずず、とそれを引き寄せながら、掛けられる言葉に取り敢えず返事をしようとして――――――ふと、違和感。
この男、やたらめったら口数が多い、ような気がする。
近づいてこないのは本当に、紳士的であるからか、それとも。
何か、他の意図があるからか――――――
「―――――――――― っ、っ!」
間一髪。
足許を狙って伸びてきた触手へ、短剣の一撃を食らわせる。
不意打ちの反撃に魔物がわずかでも怯んだなら、その隙に女は飛び退る。
そろそろ女の眼も、暗がりに慣れつつあったから――――――そこからは、一目散だった。
手負いの身とは言え、追いかけっこなら勝算もある。
暗がりで繰り広げられる逃走劇の顛末は、女と、男と、男の操る魔物たちだけが知ることで――――――。
ご案内:「無名遺跡」からルプランさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からスミデーさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にスミデーさんが現れました。
■スミデー > (脱兎のごとく逃げ去る後姿を見送り、こけないといいが、と場違いな心配をしながら自分もまた魔物を捕獲する為に遺跡の奥へと向かい歩いて行った)
ご案内:「無名遺跡」からスミデーさんが去りました。