2023/06/26 のログ
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
E・T・D・M > 例えば海面に巨大な氷山が浮上していたとする、天をも衝かんばかりの
しかしそれもまた海表において臨む者の視野からすれば全貌であるかも知れない
だがそれは『氷山の一角』にしか過ぎず見えざる水面下には更なる輪郭が沈み込んでいるのだ
何を言いたいかと言えば、数多ある存在をしかと認識出来たと思えても、それはそのほんの一部、一面にしか過ぎないという事
普段において冒険者諸君が踏み込む迷宮もまた同様の事
その隠されたる舞台裏にはひっそりと静寂に包まれた一室が拡がっていた
面白みも変哲もない石造の回廊の袋小路
室内は立方体を表しており、丁寧に角が取られた形状を織り成している
そしてその部屋の中には夥しい量のパピルス紙が貼り付けられ
尚も足りぬ壁面そのものに尚もびっしりと文字の列が走っていた

E・T・D・M > 是即ちは迷宮構造に関する設計書だ、何かモノを作る前には必ず設計図が無ければならない
積み上げ続けて来た迷宮建築知識と技術の粋が此処に集積している
徘徊する魔物達、仕掛けられたトラップ、設置する財宝の数々
部屋や通路の広さ建材耐久性攻略難度その他諸々
迷宮の設計というのも其々に目的があるだろう
自らの権威や能力の誇示、堅牢なる引き籠りの城塞として、あるいは財宝の隠し場所
だが此処の迷宮に限ってはそれらに当て嵌らない

「………」

精製したインクで書きかけていた図面と仕様書を眼前に懊悩と蠢く触手
駄目だ、面白くない。出来かけた案に『没』の生体印鑑を捺し付ける
引き剝がした紙切れをくしゃくしゃに丸めて放り投げた行方には
既に火をつければ芋の一つでも焼き上がりそうなペーパーの山脈が築き上げられつつある

ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。