2023/06/16 のログ
ご案内:「無名遺跡」にロージィさんが現れました。
ロージィ > その日、女は運悪く、とある貴族の手の内に囚われていた。
既に数度、女を捉えては玩び、逃げられてはまた捕らえ、を繰り返していた貴族にとって、
女はもう、目新しい玩具ではなく。
ならば、と思いついた、新しい玩弄の形。
子飼いの冒険者たちが遺跡の中で偶然見つけた、怪しげな空間を使ったお遊びだった。

部屋の中央に聳える石柱には、頑丈な鎖で雁字搦めに縛りつけられた女。
その足許から広がる召喚陣が、時に紅く、時に蒼く、煌めき、明滅し、
ゆらゆらと幻のように焔が立ち昇っては薄れる、その繰り返し。
やや離れたところに設えられた壇上で、召喚士たちが詠唱を続けている。
一体、どんなものを召喚するつもりなのか、女には知る由も無かった。

解いて、離して、不気味な詠唱を止めて。

言いたいことは山ほどあったが、聞き届けられる筈が無いと知っている。
先刻から時折視界を横切る、浮遊する記録用の魔導水晶。
その向こうでじっくりと観察しているのだろう貴族を、喜ばす気は無かった。
悲鳴を上げたくなる唇を、必死に閉ざして、震える躰を強張らせ。
涙ぐむ双眸を必死に見開き、召喚士たちを睨みつけていた。

ロージィ > ―――――――――そうして、閃光が弾ける。

なにもかもがその中に呑まれ、誰かの歓声が、あるいは、悲鳴が。

その先の顛末は、水晶すら映し出さず―――――。

ご案内:「無名遺跡」からロージィさんが去りました。