2023/03/29 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアルシェさんが現れました。
■アルシェ > 九頭竜山脈の麓に数ある遺跡。
中でもギルドでは初心者向けと言われる遺跡のひとつ。
その入り口付近で、ひとりの駆け出し冒険者が立ち往生していた。
「……えっと、ここがこうなってて、さっきの分かれ道を右に来たから……」
カンテラの明かりを頼りに、手元の紙を凝視する。
そこには縦横に等間隔に線が引かれており、その一部がペンでなぞってある。
途中、いくつか枝分かれしたそれは、無秩序に伸びた芋蔓のような状態になっていた。
もちろん、初心者用と謳われるような遺跡が、そんなに複雑なはずはなく。
けれど、どうあっても地図と現在地が合致しない。
自分で描いたそれを、ひっくり返してみたり、はたまた裏から透かしてみたりと、謎の行動を起こしてみても、やっぱりそれは変わらず。
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 何か目的があり、探索に正しい手順を踏み、しかし、迷っている者。
そんな相手の前に、ふらりと現れたのは、一人の少女。
必死に地図と向き合い、謎行動をしているのとは対象的に。
迷い無く、ずんずんと歩み進んでいるのが、少し先に見えるだろう。
頭上に浮かべる狐火、それを灯りに。
何かしら感じた気配に、好奇心で現れた、それがこちらの状況。
お互いに、姿が確かめられる、そんな距離となれば。
「おや…誰かと思えば…」
己としては、確かめてみれば、覚えのある顔。
とりあえず、ひらりと挨拶代わりに、手を振ってみせるのだった。
■アルシェ > 「うーん……?」
やっぱりどう見ても、地図と合わない。
引き返すにしても、すでに道が分からなくなってしまっている。
どうしたものかと頭を抱えていると、こちらへと近づいてくる人影に気づく。
「―――ちょうど良かった。ちょっと訊きたいことが……って、タマモさん?」
渡りに船とはことのこと。
同じ冒険者ならば道を訊こうと顔を上げた。
けれど、そこに見えたのは冒険者ではなかったもの、見知った顔で。
■タマモ > どうやら、ぱっと見た感じ、何やら困っているご様子。
地図を手に、何かやっているところを見ると…探索中?迷子中?まぁ、そんな感じだろう。
挨拶代わりに手を振って、しかし、返ってくる言葉に、ぴたり、と手が止まる。
まずい、この女子の名前、出てこない。
それが、声に出さぬ、心の声だ。
「あー………あぁ、うむ、タマモじゃ。
して、聞きたい事とか…何かあったのか?ん?」
とりあえず、それは置いといて。
話していれば、その内に思い出すだろう、とか考えながら。
振っていた手を戻せば、少女へと、そう問うのだった。
■アルシェ > 「………?
あぁ、うん。道に迷っちゃって。出口が分かったら教えてほしいなって。」
これが見ず知らずの冒険者だったならば、もう少し警戒もしないといけないだろう。
けれども、顔見知りともなると、その辺りの警戒は緩く。
返事が返ってくるまでの僅かな間が気にはなったものの、そんなのは些細なもの。
出口を教えて貰えるのならば、気にしない。
ひらひらと役に立たない地図を揺らして見せ。
あっち? こっち? と続く道の向こうを指さして。
■タマモ > 「ふむ…ふむ?こんな場所で、道に迷うとはのぅ。
…出口か、何か一仕事、終えた後じゃろうか?」
見知った顔だから、なのだろう、何とも無警戒な様子。
気紛れに、何かないのか、そう思いやって来た己としては…さっさと教え、はいさよなら、は物足りない。
せっかくの出会い、少しは…とも、考えてしまうもの。
と考えてしまえば、即行動が、己である。
とりあえず、まずは、少々話ながらでもと。
揺らす地図、それを確かめるかのように、少女へと近付き。
横に位置付けると、その地図を覗き込んでみるのだ。
■アルシェ > 「ううん、ほんとはもうちょっと奥に行きたかったんだけどね。」
相手の問いかけに軽く首を振る。
元々ここへと来た目的は果たせてはない、と。
ただ、探索が目的だったから、果たせていると言えばいるとも言える。
軽く悩むようにしてから、頷いて。
「でも、ちょっと体力的にも限界だし。そろそろ帰って寝ようかなって。」
野営も悪くはないのだけれど、手持ちの道具で一晩明かすのは避けたいところで。
地図を覗き込まれると、それをよく見える角度にあわす。
書き込まれたそれらは、今は変わってしまっているような箇所があり。
■タマモ > 「ほほぅ…この奥に、何かあるのか?」
なるほど、少女の答えを聞けば、まだ仕事後、とは言えないらしい。
まぁ、実は完全に、ではないが果たせている、まではさすがに予想は出来ずなので。
それならば、と更に考えを巡らせてしまう。
続き、現状と、その後の話を聞けば。
「………とは言え、時間的に、今戻ろうとも、状況は変わらんぞ?
この地図は…いまいち分からんが、妾がここまで来るのに、結構掛かっておるからのぅ。
だったら、むしろ、安全の確保をした、この遺跡内の方が、良さそう…と言うのが、妾の意見じゃが」
地図を見た感じ、明らかに、正しいとは言い難い。
己自身が、ここまで来るのに、そんな複雑だった記憶が無いからだ。
少女自身も、その地図に自信がないならば、ではあるのだが。
逆に、留まる意見を出してみた。
それに乗るか反るかは、少女次第だが。
反られたら、また何か考えよう、と。
■アルシェ > 「何かあるって訳じゃないけど。
強いて言えば、まだ開けられていない宝箱とかあったらいいなーって。」
そんなことを言ってみるも、それは冗談にすぎない。
実際にそんなものが見つかる可能性は、まず有り得ず。
「そっかぁ……
そろそろ限界っぽいから。この調子だと野営かなぁ……
タマモさんはどうするの?」
相手からの指摘に、思わずその通りだと頷いてしまう。
小さく欠伸を噛み殺し。
眠たげな瞳を擦ると、もうちょっと頑張ろうと大きく深呼吸。
このまま留まるにしても、野営の準備は必要だろう。
■タマモ > 「お宝か、ふむ…それは、妾としても興味がある」
と、少女の言葉に、そう返した己の言葉。
その言葉は、ほぼ本音だ。
何かあれば良し、で来ていて、少女が見付かり、更にお宝なんて見付かったら。
本当にそうなれば、今回は珍しく大漁、と言えるのだが…
世の中は、きっと、そう甘くはないだろう。
「せっかくの出会い、お主が良ければ、一緒したいところだが…どうじゃろう?
二人ならば、もう少し、頑張れそうじゃろうしな?」
己もまた、野営の予定だったから、そうなろうと無問題。
むしろ、少女と共であれば…色々と、期待出来る。
まぁ…そうする為に、少しばかり、小細工をする訳だが。
そう話を進め、少女の了承を待ちながらも。
その言葉に、ほんの少しの力を混ぜて、少女の認識力を鈍らせに掛かる。
それは別に、好き放題に操ろう、なんてものではなく。
少女自身には、ちゃんと意識を持たせたまま、己の言葉に引き込まれ易くするだけ。
成功すれば、めっけもの。
効果が微妙でも、普通に冒険を楽しめば良いのだ。
己としては、どちらの結果となっても、損はない。
■アルシェ > 「だよね。
まぁ、なかなか見つからないから価値があるんだろうけど。」
お宝に興味のない人は、そうそう居ないだろう。
笑いながら頷いて、そう答え。
「どうかなぁ……
一緒はいいよ? 野営もそっちの方が楽だし。」
頑張れそうとは言われたものの、そこは体力の問題が立ちはだかる。
けれども、一緒にということには否やはなく。
野営して次の日に道案内も頼もうという腹積もりで。
ちょっと開けた場所まで出れば、野営の準備に取り掛かるだろう。
その夜はしっかりと休めたかどうかは、二人だけが知ることで―――
ご案内:「無名遺跡」からアルシェさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。