2023/03/11 のログ
ご案内:「無名遺跡」にスルーシャさんが現れました。
■スルーシャ > 「~♪」
得物である【四重螺旋の悲恋歌】の切っ先を向けた先、向かって来るオークの眉間目掛けて閃光が放たれる。
四つの切っ先それぞれから走る光条は圧縮された高密度のライトニングボルト。
たやすく眉間を、頭部を貫通し、背後の壁が焼け付く。
「はぁー……、飼い主かどうかも分からないなんて……。
勝手に増えるししょうがないのは、しょうがないか」
倒れ込むオークの頭を踏みつけ、くるり、くるりとレイピアを回す。
「さってっと……。」
魔物をせっかく倒したのだし、人間は騙されてくれるだろうか。
自分はパーティからはぐれた冒険者。
今日は周囲の罠では比較的多く転移系、落とし穴が起動している。
上手い事、上物の”尖兵”になる人間と出会えればいいが。
「……そういえば……。」
最近、人間の国にも魔族が多いという。移民、亡命の類だろうか。
貴族階級からすれば分からないこと。
ただ同じ形をしているだけで分かり合える、などと。
所詮は下層階級、粗悪な血が混ざった雑種達の考え方は分からない。
「……たまには”同族狩りごっこ”も悪くないかな」
■スルーシャ > 「っと、いけないいけないー」
鼻歌交じりにレイピアの柄をひねり、透明な結晶を四つ引き抜くと、
胸元から四つの青い結晶を取り出して差し込んでいく。
一つ一つに術式を圧縮して内包した結晶。
人間達でたまに使う銃、とかいう武器。
もしくは無銘遺跡で古代に作られていたその類。
その『誰でも使えて誰でも等しく同じ威力を発揮する』
要素を真似て組み込んだ術式回路。
念じるだけで内包した圧縮術式が起動し、即座に切っ先から発射される。
タリスマンのように何度も使えるわけではないが、スクロールのように消費するのとも違う。
帰還して再度コストを支払って装填すればよいし、自分の構想ではタリスマンやスクロールより高威力となる。
何よりコストが”とても安上がり”なのが魅力的だ。
なにせ、
自分の尖兵にもならない、売り物にもならない消耗品の命一つを圧縮して捧げればいいのだ。
「ほんと私ってば天才……♥ 愛玩用にもならないゴミにこんな利用価値を思いつくなんて♥」
中級冒険者、だったか。顔立ちの悪いのに適当に命令してコストを支払わせたが、
思った以上に効果が高い。
幸い中級で顔の悪いのはこの国には沢山いる。球数には困らない。
そう考えるとこの先”ハズレ”が罠にかかっても不機嫌にならなくて済む。
ストレスは肌に悪いのだ。その要因の一つがなくなるのは、とても嬉しい話で。
■スルーシャ > 「……飽きられてるのかしらね」
所詮は在野の魔族共、引きこもりがいじくりまわしている遺跡だ。
人間共は、あれはあれで適応力においては魔族を大幅に上回る。
……ありていに言えばこの遺跡は人間共に『飽きられている』のだろうか。
などと考えながら、撤退の準備を始めて。
ご案内:「無名遺跡」からスルーシャさんが去りました。