2023/01/25 のログ
ご案内:「無名遺跡」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > 無名遺跡。昼夜の概念の欠落した普遍的な景観だけが地下の底には広がっている。遺伝子を回収し続け少しずつ強靭となりつつある身体的な能力に応じて、より強力な生物の遺伝子を求めてしばしばとこの場所にへと足を運び始めていた。
広大に広がる遺跡内は人工的な手の着手が及んでいない場所も在り、今闊歩している場に関しては殆どが剥き出しの洞窟の岩肌が晒されている天然の地下空洞殆どそのままの有様だ。天井は見上げれば引っ繰りかえりそうな程に高く、凹凸の著しい不安定な足場がひた続き、灯された明かりも此処には存在せず、手持ちの照明が無ければ一寸の光も兆さぬ暗黒の無辺が拡がるばかり。
「………」
その中を、黒い粘液で構成されている怪物が一体ばかり徘徊している。現状においては遺跡由来の他の怪物でも、もしくは遺跡に挑戦しようとしている冒険者達にも然程遭遇はしておらず。貴重な遺伝子というよりも、小型の野生動物を食肉として狩り取っているという程度に留まっていた。
伏せ込んで目立たぬ様相で動き回る姿は、今は黒い竜、蜥蜴のような形態から若干崩れて不定形に近しく黒い水溜まりにカモフラージュしているような様相だ。それもまた、ただの小さな池程度に擬態して周囲の油断を誘う為となる。
ご案内:「無名遺跡」にアルシェさんが現れました。
■アルシェ > 冒険者ギルドで定期的に出される採取依頼
採取対象は、遺跡の奥にひっそりと咲く花で。
何でも過去の錬金術師が品種改良の末に作り出したもので、魔法薬の材料になるという。
ただ環境条件が厳しく、その遺跡の一角でしか育たないということ。
棲みついている魔物も危険性が低く、駆け出しの冒険者には良い小遣い稼ぎになっていて。
ご丁寧に地図も用意されているとなれば、危険性は限りなく低い。
最低限の装備だけで遺跡へとやって来た少女は、
カンテラの灯りで地図を確認しながらほぼ一本道の道のりを進んでいた。
「えっと……この広間を抜ければいいみたい。」
やがて、まるで巨大な竜が住処に出来そうな大広間に出る。
高い天井にまでは、カンテラの灯りも届かず。
まるで何もない暗闇の中に放り出されたかのような錯覚を覚える。
注意深く見れば、少し先に黒い何かが広がっているのが見えたかもしれない。
けれど開けた場所ゆえに、注意が足元ではなく頭上の方に傾いてしまっていて。
■ドラゴン・ジーン > 「………」
ぴくん、と、直ぐにその気配を察知した。相手の強さの程は把握出来ないが所謂冒険者であるようだ。魔物や怪物の類とは異なる人型の輪郭を遠くに認めて直ぐにその場より行動を始める。相手が足元を疎かにしているその油断につけこみ、その不定形の肉体を生かして地面を這うようにして移動、極限まで平たくなった水溜まりと化した粘体は、次第次第に闊歩するその背後にへと回り込みながら。
「……!」
そしてその様子を窺いながらまず手を出した。しゅっ、という風切りの音を響かせ、盛り上がった水溜まりから走る鞭のような黒いしなり。粘りを孕んだそれは長く伸張しながら二手にへと分化する。片方はその凹凸の多い床面を闊歩する足、その足首や腿回りを狙い。もう片方は胴体周り。吸い付き、絡む拘束の腕を伸ばして絡みつき、まずは行動に対する制限を課そうという魂胆だ!
■アルシェ > 暗闇の中、地面を這うようにして進む黒い身体のソレの姿には気づけなかった。
背後に回り込まれ、突如、地面から湧き上がるかのように盛り上がったソレから伸びる二本の触腕。
その風切り音を辛うじて拾うことができたのは、駆け出しの冒険者とはいえ周囲を警戒していたおかげだろう。
「なっ……こんなの出るなんて、聞いて……きゃっ!?」
胴を目がけて伸びてきた手腕はどうにか避けることができた。
けれどもう一方は暗がりの中で視認できず。
腿へと巻き付く何か。そのまま力づくで引っ張られてしまえば、転倒してしまうかもしれない。
慌てたように腰に提げたナイフを抜き放ち、その触腕へと目がけた振り下ろし。
■ドラゴン・ジーン > 「………!」
片方は外れ、片方は着弾!命中!しかしながら。
ぶつん!と振り下ろされるナイフによって触腕の一部が断ち切られた。まるでゴム製の物質に刃を通すような鈍い感覚を得るだろう。
しかしながらに拘束が解けきるその前に潜伏していたものは既に動き出している。伏していた暗がりより走り出すようにして地面を蹴り立て、そして跳躍。
ぶお、という先程よりも太く響き渡る風鳴りと共に跳び上がった1m近くの粘塊は放物線を描くようにしてそのまま飛来する!
「ウウ゛!!!」
唸り声染みた声が尾を引いて、そのまま佇んでいる相手の背面回りにへと体当たりを敢行する。その大半が液体物質で構成されている自らをそのまま利用した水の弾丸だ。もしも衝突すればその衝撃で突き飛ばすだけではなく、その粘着力によって身体にへと張り付く結果となるだろう!
■アルシェ > 断ち切った手応えはあったものの、弾力のあるそれはダメージに繋がったとはあまり思えない。
つまりは、襲撃はまだ終わらないということ。
それが伸びてきた方向へとカンテラの灯りを向けて、次の攻撃に備える。
「―――きゃっ!?」
けれど、またも背後から少女の不意を突く形で衝撃が襲ってきた。
先程気づけた奇襲も、今回は前方へと注意を向けすぎたためか察知できず。
背中に大きな何かがぶつかってきて、吹き飛ばされてしまう。
硬い岩の地面を転がる小柄な身体
それでもどうにか受け身を取って頭だけは庇うことができた。
ただすぐに起き上がろうとして、ぬちゃり、と糸を引くような粘液が纏わりついているのに気づき。
「うわ……何これ、もしかしてスライム、なの……?」
手で拭おうにもべとべとと絡まるばかり。
立ち上がることはできたけれど、身体が重く感じられ。
そればかりか吹き飛ばされた衝撃で、カンテラの明かりが消えてしまって何も見えず。
火種を取り出そうにも、粘つくそれが邪魔をしてしまい。
■ドラゴン・ジーン > 『移動します』
ご案内:「無名遺跡」からドラゴン・ジーンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からアルシェさんが去りました。