2023/01/22 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアルシェさんが現れました。
アルシェ > 数多く点在する地図にも載らない遺跡のひとつ。
何かお宝があれば儲けものだし、そうでなかったとしても地図を作ってギルドに売ればお小遣い稼ぎにはなる。
そうした打算がなかったとしても、未知の場所というのはワクワクするもので。
カンテラ片手に丁寧にマッピングしながら進んでいたのだけれど。

「――――あっ。」

足元でカチリと場にそぐわない機械音が響く。
どう考えても良くない予感しかしない。
すぐさま矢が飛んでくるだとか、落とし穴が開くだとか、毒ガスが噴き出すとかはなかったのだけれど。
逆に言うなら、足をどけた瞬間にそのどれか、もしくは全く別の罠が作動してもおかしくないわけで。
どうしたものかとその場から動くこともできずに、立ち往生する羽目になってしまい。

ご案内:「無名遺跡」にクレイさんが現れました。
クレイ >  
 その男はこの遺跡に訪れていた。依頼の内容は単純だが難易度も高い仕事。ある意味で傭兵を効率良く扱う仕事。マッピングの仕事。
 遺跡を見つけたが安全度が図れない。だから鉄砲玉のように傭兵を送り込んで事前にマッピングをさせるという魂胆。遺跡屋複数で依頼を出せば1人頭の支払う額も少なくなる実に効率的だ。
 そうして調査をしていたのだが。
 調査中急に視界がグニャグニャしだしたと思ったら少女の後ろに転送されていた。

「……俺罠踏んでねぇぞ。おい、お前何かやらかしたか」

 少女からすればさっきまで誰もいなかったはずの。通った道から急に男の声がする構図になる。
 しかもその声はとんでもなく不機嫌そうなそれで。
 男からしてみればマッピングの仕事なのに急にどこかに転送されたせいでわけがわからなくなったのだから当然といえるが。

アルシェ > 「きゃっ!?」

不意に後ろから声を掛けられると、驚いた悲鳴を上げる。
さっきまで誰もいなかったはずの空間に、声がしたのだから幽霊かと思っても致し方がない。
けれど振り返ると、そこには不機嫌そうな男の姿。
幸か不幸か幽霊には見えず。

「え? 急に出てきて、言いがかりは止めて欲しいな。
 っていうか、さっさとどっかいかないと、ドカンかもしれないよ? いいの?」

これ、これ。と自らの足の下を指さして見せる。
相手も見たところ冒険者か傭兵だろう。ダンジョンにいることを思えば、それだけで罠だと通じるはず。
誰かにどうにかしてもらえたらと淡い期待はあったのだけど、
現れたのはとても友好そうな相手ではないだけに、その期待は淡雪のごとく。
むしろ虫を払うような手つきで、どっか行けと告げて。

クレイ >  
「……やっぱり何か踏んだんじゃねぇか」

 ジトッとした目を向ける。
 そして足元を指さすならフムフムとうなずく。

「で、どっかに行けって言われても。俺自身今どこにいるかわからねぇ。お前は逆にどこにいるかわかってる……しゃあねぇな。おい、見られたくねぇならスカート抑えとけ、足元見るから」

 頭をガリガリと引っかく。
 そして足元の辺りにしゃがみこむ。

「……魔族の魔法だな。記号……ああ、そういう」

 何度かふむふむと頷いた後に。

「足退かして良いぞ。別に離れても問題ねぇ魔法だ……いや、まぁ正直わざわざここにこんなの置いてた時点で嫌な予感しかしねぇけど」

 と少し言うか悩んで。

「召喚魔法、踏んだ奴の周辺に異性がいたら近くに強制召喚。いないなら契約した魔族が引っ張られてくるって仕組みだったらしい。つまり運よく俺がいた訳だ。よかったな冒険者」

アルシェ > 「…………。」

ジト目で的確なツッコミを受けると、言い返す言葉がない。
愛想は悪いものの、罠の具合を見てくれるというなら断る理由もなく。
言われるままにスカートを押さえ。

「魔族の? この遺跡って、魔族の手が入ってるってこと?」

ほっと肩の力を抜いて、足をどかす。
よかったぁー!と今まで身動きできなかった分、大きく伸びをして見せ。

「召喚かぁ……うん、さすがに魔族とタイマンとかは無理。
 私は幸運の星に祝福されてるみたい。そっちは災難だったみたいだけど。」

ドヤ顔で、ふふんと笑った後で。

「でも、罠を見てもらって助かっちゃった。ありがとう。
 あのままだと身動きできなかったし。お礼は、出口までの案内で良い?」

と、まじめな顔できちんと頭を下げて。

クレイ >  
「魔族の手が入ってるのも多いからな。その一つだったんだろうさ」

 ドヤ顔を決めてる相手にジトっとした目を向け返して。

「無事に帰れるならな……こういう遺跡。特に魔族の手が入ってるとなると帰れる気がしねぇ。特に俺が呼ばれた時点でたぶん俺らは術中にはまってる。さっきも言ったが、わざわざここにこれを置く辺り嫌な予感しかしねぇ」

 後ろを見る。果たしてそこが正解なのか。
 少しだけ手を腰の剣にかける。

「攫うにせよ食うにせよ。魔族だけを呼べばいい。なのにわざわざ男を強制召喚させる意味はなんだ? ……俺が魔族だとして、こういう罠を置く理由はひとつだ。男女じゃねぇと解けないような罠を置いてあるから。向こうからしてみればそっちが本命。男なり女なりが近くにいなければ奴らのお楽しみの相手ってな」

 個人的な予想を述べる。
 実際そういう罠はたまにある。男女での殺し合いを見たい、ヤッてるのを見たい。人間同士の絡みを見世物として楽しむただの趣味。
 自分1人の時は出てきた魔族を叩き斬っておしまいだが。今回は魔族ではなく自分が呼ばれた。軽く溜息。

「幸運の星? むしろ不幸の星かもしれねぇぞ。とりあえず出口までの案内で手を打つ。そこまでいったら俺はまた仕事の続きだ」