2022/12/16 のログ
ご案内:「無名遺跡」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > 昼夜というものなど、完全に外界から遮断された場所では一切も関係無い。寂れ切った古代遺跡の深部は時間という概念すらも切り取ったかのように、古代のままの形をそこに残している。
風の行き来すらも欠落したその場所に浸食して来るのは永い永い時間の流動だけ、牛歩よりも鈍重緩慢な劣化を辿る遺跡内の建造物は薄ら寂れてこそいるものの、まだ倒壊の危険を示す兆候らしきものはなく、ならばそこを利用する者達が後を絶たぬというのも至極当然の道理というものだった。
世捨ての陰者や社会を追われた悪党達、野生の獣よりも遥かに危険な魔物の類…しかしそれらの存在も、今この場所にはきっと近づきたがらないだろう。
「………」
巨大な怪物が明かりすらも録に無い遺跡内の路を、這い蹲った蛞蝓のような速度でぬめり回っている。この遺跡由来の生命ではなく完全なる余所者だ。その全身は、まるで大量のミルクを注ぎ込んだかのような純白の色味に混濁しきっていた。
辛うじて竜らしき五体を成しているが、肥大化しきっている我が身を持て余すかのように四肢はその胴体部分に埋もれかけて殆ど形成を保てず、ぼたぼたと輪郭から融解して蕩け落ちる液体は点々とその歩みの後に白い水溜まりを幾つも作り上げていた。通気という逃げ場のない閉所に濃密な臭気が立ち込める。何故ならばその構成物の大半は精液であったからだ。
■ドラゴン・ジーン > というのも昨晩において採取した遺伝子の持ち主が、余りにも強力な生物としての能力を保管していたからという事に他ならない。無尽蔵の遺伝子貯蔵から驚く程膨大に費やされる生命の多様性の数々を内包し、未曾有の量の出産を行った結果として。
その対象譲りの旺盛な性欲に基づいて絶えず近縁における交配に次ぐ交配を繰り返した末に孕み孕まされ続けて延々と我が身に新たなる子を身籠るだけにのみならずに、吸収させられた馬鹿馬鹿しい量の精液が本来の構成物を勝る程に全身に循環するという自体を招いてしまっている。
その生殖機能の暴走によって、到底に人里やその近くに身を置く事が最早できずに落ち着くまでの暫しの避難場所として滅多に人が来ないようなこの場所を選択して宿りにという次第となっている。しかしながらに殆ど落ち着くような様子も無い、今ものそのそと進行経路にあてども無く歩き回っているその後にはぷちゅん、ぷちゅん、と、ごった煮ミックスに混ぜ込まれた精液で出来た表面膜が泡立っては膨れ上がり、そこからまた新しい遺伝子を継ぐ淫魔や他動物種族の子供達の幼体が産まれ落ちている。
生産量は殆ど衰える事を知らず、あたかも赤ん坊工場のような有様になりつつあった。産まれた子供等はあっという間に発育する。今迄に比較して手が掛からないという意味では良いかも知れないが、現状の生態系にへと即座に介入しようと奔走していくその姿は生物というよりも淫魔の本能に近しいかも知れない。中には産んだ端から母体であるゼリードラゴンをオナホール代わりに使う者まで現れ新たなる交配種の遺伝子の子を身籠るのみならずにまたも加えられた子種を建材にしてその竜体は膨れ上がり、完全に持て余すような質量の粘塊になりつつある。
「……」
ぽたぽたと生殖器官ですらない筈の頭部触角からも混在する子種の白濁汁がたえず零れ続けている。七色の輝きを湛え、まるで質の悪い他の怪物に寄生されたかのような色味の光を放つそれは辺りを何度も見回している。
ご案内:「無名遺跡」からドラゴン・ジーンさんが去りました。