2022/12/15 のログ
ご案内:「無名遺跡」にサイエーガ・テンタクルさんが現れました。
■サイエーガ・テンタクル > 魔術的なもので言えば転送罠、物理的なもので言えば落とし穴――詰まるところそういった卑劣で悪辣なトラップの先にそれはいた。
遺跡に潜る冒険者も、遺跡に潜む魔物も、”既に部屋いっぱい”へと広がりを見せた我が身へと飛び込んでくるのだからこれほど楽なことはない。もしこの魔物に顔なりがあればご満悦といったと気配を漂わせていただろう。
尤も、今のところ”養分”となりえるモノばかりであるため――かの魔物の根源である”性殖”が満たされておらず、尽きることのない飢餓感がじくじくと魔物を苛んでいく。
蠢く度に触手から滲む粘液が耳障りな水音を響かせ、今か今かと”獲物”の到来を待ちわびていた。
■サイエーガ・テンタクル > ――どこかで何かが我が身に落ちてくる音が聞こえた。
それが"養分"としてか、はたまた"苗床"としてその身を貪られることにあるかは…昏い、昏い穴の中では誰にも知られることがなくて。
ご案内:「無名遺跡」からサイエーガ・テンタクルさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にイリーナさんが現れました。
■イリーナ > 九頭竜山脈の麓に位置する無名の遺跡。
冒険者ともなれば通いなれた名もなき遺跡は、訪れるたびにその姿を変えている。
とはいえ、ある程度の法則性はあるのだから、それに乗っ取ればよほどのことがない限り、こんな浅い階では異常など――。
「――……あら?」
一歩、踏みしめたブーツの靴底の感触に違和感を感じる。
念のためにと壁から手を離し、コートに巻いたベルト。
そこに装着している魔導銃を引き抜いた。
「……んん?」
眉を寄せ、周囲を警戒しながら、入り口から痕跡を残しておいたマークを確認する。
警戒を怠らないように、周囲に目を配らせながら……。
そんな、一人の冒険者を狙うのはなんだろうか。
足を踏み入れてしまったのはなんだろうか。
獣やモンスターの巣か、ダンジョンのトラップか……。
警戒心を増した女の緊張感が伝わるように、つ、と嫌な汗が頬を伝いツバを飲み込む音が小さく響く。
ご案内:「無名遺跡」にサイエーガ・テンタクルさんが現れました。
■サイエーガ・テンタクル > 靴底に違和感を覚えてからどの程度の時間が経過したか――緊張に包まれた女冒険者の警戒心を刺激するような兆候は見られなかった。それらしい何かは気のせいだろう…そう女冒険者が思った瞬間に、時間差で罠が作動した。
不意に訪れる浮遊感。女冒険者の足下に突如として大穴が空いた――――。
ご案内:「無名遺跡」からサイエーガ・テンタクルさんが去りました。
■イリーナ > 「……探知系は、引っかかって……」
嫌な予感はする。
そういう時は引くのが鉄則。
「――よし。」
まだいけるが一番危ない。
そんな格言通りに撤退を決めた瞬間。
謎の、浮遊感。
「うっ、――そっ!?」
コートとスカートがめくれ上がり、なんとかともがくように頭上に手が伸ばされる。
指先が穴の淵に掠るが、ひっかかりはしない。
女の悲鳴も、跡も、何も残らず。
無名遺跡には沈黙だけが訪れた。
ご案内:「無名遺跡」からイリーナさんが去りました。