2022/12/13 のログ
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
E・T・D・M > 迷宮が在る
迷宮が居る

E・T・D・M > さて、博識な冒険者諸君は食虫植物というものはご存知だろうか
ウツボカヅラやハエトリソウ、文字通りに自然界において蟲を捕食して消化する事により、栄養を確保する
その手段手法については食虫植物といっても多種多様であるが…
此処では前述でも出ているウツボカヅラを例としよう
ウツボカヅラは甘い蜜をその袋状の葉の入り口や内部部分に分泌し
発露する芳香によって蟲をおびきよせる、まんまとやってきた蟲はそれにありつこうとするが
あえなくもツルリ!ドボン!非常に摩擦が少なく滑りやすい袋の内面から、蓄積された消化液の池の中に落ちてしまうという訳なのだ
袋の内面側は繰り返すが滑りやすい為に這い上がる事も出来ず
そのまま内部に没したままゆっくりと溶かされ、養分となるのを待つ他にない…

E・T・D・M > つまりは、今、道の真ん中においてにょっきりと飛び出している台座と宝石こそがその『蜜』という訳だ
きらきらと光り輝く研磨された赤いルビー、鳩の血の如き鮮やかな深い卵型が鎮座している
しかしてご用心、その周辺は一見すれば岩地にしか見えないかも知れないが
迂闊にも近づいてしまえばたちまちにその正体を表す
全ては擬態化した触手群であり、実際においては平らな床面もうわべばかりであり
そこには深くツボのような形に穿たれた空間が広がっている

内面にはそれはもう何十何百にも及ぶ軟体の触手群が犇めくように蠢きまわり
憐れな餌食はそこに落ちてしまえば四方八方という襲い掛かる触手に絡めとられ
末にその有機的な落とし穴の蓋も閉じられる、いわば『丸呑み』となってしまう寸法なのである

ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にマグゴブリンさんが現れました。
マグゴブリン > 九頭龍山脈の麓に点在する名もなき遺跡群。
遥か昔に栄えた古代文明が築き上げた遺跡は、既にその名前も忘れ去られて久しく。
あちらこちらに植物の蔦や苔が生え茂り、見る影もなく朽ち果てていた。

古代文明人が何らかの原因で滅亡したのか、或いは、何処か遠くに立ち去ったのかは分からぬが、
彼等が居なくなり、数百年の時を経て、この遺跡も役に立たなくなったかと問われれば、そうではない。
遺跡から発掘される現代よりも発達した過去の遺物は、好事家の間で持て囃されて、
一獲千金を狙う冒険者達が、我先にと競い合いながら遺跡の深奥を目指す。
そして、彼ら以外に、否、彼ら以上に此の場所を活用している者達もいて――――。

「キシッ、キキッ!」

遺跡の奥、スラムの如く掘っ立て壁や布の暖簾が垂れる小部屋に息衝くのはゴブリン達。
冒険者が遺跡荒らしに訪れるよりも早くからこの地に目を付けて住まう先住民の姿があった。
そして、部屋の中には彼等の他に、鎖や枷で手足を繋がれた女達の姿がある。
近隣の村落から誘拐された娘や、そんな彼女達を救おうと遺跡に入り込んで罠に掛かった冒険者。
彼女達は寒波が吹き荒ぶ冬の間、巣穴に閉じ籠るゴブリン達に日夜犯され、繁殖の道具とされているのであった。

ご案内:「無名遺跡」にミューラさんが現れました。
ミューラ > 「はぁ、まったく面倒くさい…、なんっで私がこんなくっさいところに…」

ゴブリンたちが闊歩する遺跡、その入り口が…
けたたましい爆発音と共に破壊される
瓦礫を押しのけて姿を見せるのは神々しい光を纏う天使

攫われた村娘の中に、敬虔にも祈りを毎日捧げる純粋な乙女が居たため
既に汚されていても救出し、清めよ、と天啓…神からの命令を受けたのだ
そのため、嫌だ嫌だとは言っても従うしかなく

さっさと終わらせるため切れ味が常識外れの光の短刀を生み出し、遺跡内を進んでいく

「……気配で探そうにも、下賤なモノと混じり合ってるわね。
…詳しいことがわかれば一発なんだけど…」

む、と顔をしかめる
万能の力を持っている天使とはいえ、今はその出力…つまりはできることを自主的に縛っている
目的の人物を探そうとするが、情報が足りない状況では天使の力でもすぐに探すことはできず
仕方ないか、と呟いて…ずんずん、と何の警戒もなく遺跡を進んでいく。

冒険者ならするはずの警戒をしていないのは、出力を縛っていても下界の塵芥が自分に敵うとは思っていないから
星のように眩く清浄な光を放っているものの…見るものから見れば正面から相対しない限り、隙だらけではあるだろう

マグゴブリン > 遺跡の入口から突如、響き渡る爆発音。
世界の秩序を司る筈の天界の使徒による理不尽な暴力に対して、
巣穴のゴブリン達は顔を見合わせて、蜂の巣をつついたような大騒ぎになる。
小柄な体格には大き過ぎる革の鎧や、粗末な槍や剣、弓を掴めば、
敵対意思を隠そうともしない侵入者の元へと駆け付けていき。

「ギャッ、ギャッ、……」

遺跡の中、光の短剣を構えながら無警戒に侵攻する天使の姿を、柱や物陰から捉えたゴブリン達は、
お互いに顔を見合わせるだけで、彼女の前に飛び出て真っ向から立ち向かおうとはしない。
魔物の中でも弱い彼等は生来、臆病な性格であるが、決して愚かではない。
少なくとも、正面から敵対して勝てる相手ではないと理解するだけの知恵は有している。
では、手ぐすねを引いて、殺されるのをみすみす受け入れるのかと言えば、そうでもなく。

天使の前にわざと姿を現わせば即座に横道へと引っ込み、弱者がただただ怯えて逃げていると、
相手に思わせて更なる隙を誘う態度を見せながら遺跡の狭い通路の奥へと彼女を誘導する。
その通路の先に待ち構えるのは、古代文明の先人達が残した侵入者排除の罠。
床の一部分を踏み抜けば、魔法的な仕組みではなく、機械的な仕組みにて強烈な電流が流れる仕組みが施されている。

ミューラ > 「…はぁ。下界でも更に底辺に好きなようにされるなんて
ほんと、人間って仕方ないわね…、待ちなさいーー!」

遺跡の通路の角からちら、と見えた姿に再び嘆息する
よりにもよってゴブリンなんて、ため息も出ようというものだ
とりあえずあの程度なら適当に蹴散らしてさっさと任務を終わらせようと駆ける
その速度はゴブリンより速いことは速いが、遺跡の構造を熟知して居れば視線を切るのは容易だろう

思惑通りに誘いに乗って奥へ奥へと進めば、その先にゴブリンの姿をわずかに認めて
一撃で首を跳ねてやる、と意気込んでまた足に力を入れた瞬間
がく、と一瞬体が沈む感覚と共に、無意識の合間に激しい電流が体を駆け巡る

「っ、~~~~~~~~!?、ぁ、なに、が…」

突然のことに、途中からガードはしたものの困惑を見せる
強烈な電流は天使が常時纏っていた防御を貫き、その体を痺れさせて動きをしばらくの間鈍らせる
更には、防御の上からとはいえ人間ならば死んでいてもおかしくない電撃に、上手く力が練れず痺れを癒すことも難しい

流石に致命傷とまではいかないが、痛みを感じることとダメージ自体は通ること。
そして不意を突けば動きを止められることを情報として与えていく

「あああああもう、っ、体が、痺れる…。絶対あいつら塵にしてやる…」

下等な生物に無様な姿を見られたことに怒り心頭となり、半ば足をひきずるようにしながらそれでも進み続ける

マグゴブリン > 斯くして、罠は功を奏して、古代文明の電流の罠が発動する。
目が眩むほどの蒼白き光が迸り、天使の身体を焼き尽くそうとする光景に、
ゴブリン達は、口角を持ち上げると愉快そうに手を叩き、跳びはねて喜ぶも、

「ギャハ、ギャハハ、……ハァ?」

次の瞬間には、その醜貌から喜びの色は消え失せて驚愕の顔付きに変わる。
これまで数多くの冒険者や敵対する魔物を撃退してきた古代文明の罠。
多少なりとも、ダメージを通しているものの、五体無事で行動を続ける不死の存在に、
恐怖と絶望を抱けば、足を引き摺る相手に一目散に退却を始める。

彼等にして見れば切り札とも言える起死回生の古代文明のトラップ。
それを突破されてしまった今、最早、理不尽な天界の暴力に対抗する手段を持たず、
果たして、何匹のゴブリンが彼女から逃げる事が出来たのか、
或いは、ゴブリンのコロニー諸共、天使に塵芥にされたのかを知る者はなく。

ご案内:「無名遺跡」からマグゴブリンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からミューラさんが去りました。