2022/12/11 のログ
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
E・T・D・M > 迷宮が居る。
迷宮が在る。

E・T・D・M > 今日は清涼感を押し出した迷宮の造りとなっている。
初期の基礎建材は当然において元々から存在する天然岩の類であるが、
魔力による加工を行えば千変万化、あらゆる形に内部構造は変化するのだから。
かくして遺跡の一角は現在半固形と化していた、
多潤な水分を含有する物質はふやけたように柔らかくなり
そこに加味されている動物性のコラーゲンによってプルプルと弾性を伴う。
即ちにおいては縄張りである迷宮の一角がゼラチン質、有体に云えばゼリーのようになっていた。

E・T・D・M > 透き通った色合いを見るがいい、遥か古代の地層まで突き抜ける透明度はあたかも空の上に立っているかのような錯覚を齎す。
一歩踏みつけるその都度に体重を柔軟に受け止める床面は撓み、あたかもトランポリンのような反発をその足裏にへと返すだろう。
雲上の果てに巨大な豆の木を登る少年の物語を御存じだろうか、巨人の食卓に並んだゼリーに腰掛けた主人公とはかくなる気持ちに違いない。
そこ彼処部分において色味が異なるのは、部分部分によって添加されているものが異なるからだ。
鶏卵や動物の乳を混ぜ込んだカスタード、カカオを呑みこんだチョコレートプディング。
幾層ものゼリー地層の最中に果汁と果実がごろごろ犇いている場所があれば。
透き通ったアルコールを香らせる葡萄酒の層に小豆の混ざった羊羹層まで見受けられる。

「………」

が、しかしこれも無論においてこの納涼を語る空間も罠の一環に過ぎぬのだ。
ぬるりとゼリーに擬態している触手は幾本にも伸び渡り。
空間の一面の床面の硬柔を調整中、体重を受け止め崩れぬ場所ならばまだ良しとしよう。
しかしてやわやわに緩い一角を踏みつけてしまえば一巻の終わり。
その不幸な誰かはずぶずぶにゼリー沼に嵌ってしまう事となるだろう。

ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にレナードさんが現れました。
レナード > 其処は既に遺跡の内部も記録され、もっぱら腕を磨く新人冒険者や
パーティの連携を確認したりするような修練用の遺跡レベルのはずだった。

だが数日前に、そうした遺跡には釣り合わない高位の魔獣が突如出没し
若手の冒険者達が重傷を負った。
そんな経緯もあり中堅以上の戦闘力を持つ冒険者による討伐依頼が出され、男は遺跡の最奥に座した魔物の討滅に向かう。


確かに新人レベル単独は勿論パーティでも手に負えない魔獣ではあるが、男にとって其れは全開を出すに足る相手ではない。
振りかざされる膂力を宿した爪の振り抜きを躱し、すれ違いざまに一太刀刻む。
カウンター重視のスタイルで相手の攻撃を躱し往なし削る。
作業のような攻防はさほど時が掛かることも無く終わり。
息絶えた魔物の素材を切り落とせば、戦闘用の呼吸法を解いて大きく息を吐く。
手にした太刀を振り抜き刃に残った血脂を拭えば鞘に納め
魔物の亡骸の前でどっかりと腰を下ろして。

「――依頼完了、っと。しかし……なんでまたこんな魔物が急に現れたんだか。」

魔族による仕業かはたまた先史遺跡故の自然発生か。
学者でもない男にはわかりはしないが、同様な魔物の存在が無いか警戒のために意識を広域に向けて周囲の気配を探った。