2022/12/02 のログ
ご案内:「無名遺跡」にミメシスさんが現れました。
ミメシス > 此処は無名遺跡の一つ『水晶ヶ丘』。
無名遺跡に点在する地下迷宮ではなく、遺跡群のある一角。
其処は森の中のはずなのに、その区画だけは真っ白な砂が一面に広がる砂丘であり、サボテンなどの植物の代わりに六角柱状の水晶が幾つも砂を突き破り聳え立っている。

この一角に来れば大なり小なり水晶を得られる。
巨大な水晶を割れば破片を手に入れるのも容易だろう。
『水晶ヶ丘』の奥に進めば透明な水晶だけではなく、アメジストや琥珀なども同様に柱状で聳え立っているのが見える。

――…琥珀が柱状で聳え立つ事の異常さは冒険者に理解されうだろうか、パッと見ただけでは美しい光景なのに此処は間違いなく無名遺跡であり、この光景は異様で不自然な光景なのだ。

見渡しも良く、遠くから魔物の存在に気がつくことができ、水晶も無理して砕かなくても幾らでも砂に紛れて落ちているから拾えばいい、そういう意味で比較的安全であり、ここ『水晶ヶ丘』に足を踏み入れるものは少なくない。

そしてそのひとつ、まるで巨人が結晶化したかの如き巨大な柱状の水晶にミメシスと呼ばれる魔物が張り付いていた。
今宵だけは安全とは程遠く、『水晶ヶ丘』にはその巨大な水晶柱に侵入者を誘うような甘い果実の香りが夜風に紛れ、辺りに広がっていた。

空に浮かぶ月。
真っ白な砂。
その月明かりを浴びて育つ柱状水晶群。
腐った果実の如き甘い香り。
――…そして魔物。

此処は無名遺跡。
決して遊び半分で訪れてよい場所ではない。
命を落とし、時に尊厳を奪われる、恐ろしくもおぞましく、そして美しい場所なのである。

ミメシス > 『水晶ヶ丘』に足を踏み入れる者は存在しないようだ。
誰も足を踏み入れない其処は静寂の支配するただの砂丘。
時折吹く夜風に白砂同士が擦れ合いキリキリと不思議な音をたて、甘い香りは何時までも砂丘に広がり続けるのだった。

ご案内:「無名遺跡」からミメシスさんが去りました。