2022/11/24 のログ
ご案内:「無名遺跡」にクレイさんが現れました。
クレイ >  彼が受けたのはとある依頼。なんでもここに調査に来た人物が帰ってこないから探してほしいという事だった。
 だが、それは本来冒険者の仕事じゃないのか。なんで傭兵である自分が来るのか。それは簡単な理由だった。

「……かわいそうなもんだな。おい」

 理由を思い出してそう思わず声を漏らす。
 彼がここに派遣された理由は、その事件を隠蔽したいから。という理由。
 冒険者に正式に仕事を出してしまえば周知の事実になってしまう。
 だが、マスターが個人的に傭兵に依頼を出せばどうなるか。そんな事実は被害者が勝手に言っているだけになる。
 逆に言えば、その人物がここに来た事を隠したい理由があるというわけでもあり、スタートから真っ黒な案件だったという事で、被害者になるべくしてなったともいえる。

「で、ええっと」

 いなくなった人物の特徴を書いたメモを見る。
 変化していたらどうにもならないが、そうでないならわかる……はずだ。

クレイ >  
「にしても」

 この遺跡にはあまり来た事がない。だが、どう考えても普通の遺跡ではない事だけはわかる。
 妙に空気が甘い。砂糖のような意味ではない、概念として甘く感じる。
 この感覚はよく知っている。淫魔、もしくはそれに近い存在。それらが放つ香り。
 ここにいるという確証はない。むしろ遺跡にその香りが充満している。というのを考えると淫魔がいるというより遺跡としての効果として催淫効果がある。そう考えるのが正解だろう。

「……気合いれねぇと」

 そのせいで気が抜けかける。
 こういった物に対して耐性が強いわけではない。というより苦手だ。だからこそ逆に淫魔を足腰立たなくさせるまで逆に襲う為の魔法を覚えたレベルなのだから。
 さて、遺跡をどんどんと進んでいく。進めば進むほど匂いも濃くなる。

クレイ >  奥へとすすむ。道中様々なトラップと思われる物を解除しながら。
 触手が襲い掛かって来れば切り捨てる。魔物が来れば撃破する。
 それを繰り返すたびに思う。本当にこっちで合っているのか? という疑問。
 もし前に誰かが通ったなら解除されてるはずだ。つまりこの道は目的の人物が通った道とは別の可能性がある。

「だぁもう、だから冒険者に頼めっつったのによ」

 真似事は出来る。というか並の冒険者よりはよっぽど人探しは得意だ。
 しかし自分はあくまで傭兵。本業は戦争で相手と斬りあいをしたり、護衛をしたりなど戦闘がメインだ。人探しなど最低限の知識と勘便りになってしまう。
 しかも部屋の空気のせいで集中力までもが削られる。正直言ってかなり苦しい依頼だった。
 こんな時助手がいればと思わなくもないが、いないものはしょうがない。
 自分でやれる限りで仕事を完遂するだけである。

クレイ >  
 そうして奥へと進めば、そこには1人の冒険者。
 意識はない。だがまだ息はあるようだ。

「ったく、面倒かけさせやがって」

 剣を収めればその人物に手を触れる。
 強化魔法をそいつに流し込んで無理やり体力と意識を取り戻させる。

「よう、救助に来たぜ。とりあえずここから出るぞ。色々とろくでもねぇ遺跡だからなここ」

 肩を貸して、自分が通ってきた道を逆に歩いて脱出する。
 無事に王都についた後、折角だからと2人で1杯酒を飲んだ事だろう。

ご案内:「無名遺跡」からクレイさんが去りました。