2022/10/29 のログ
ご案内:「無名遺跡」にミメシスさんが現れました。
ミメシス > ――無名遺跡、地下迷宮のひとつ。
外の空気と違い、一定の温度と湿度を保っているため非常に過ごし易い。
寒くもなく、暑くもない、それは魔物が棲みつき易い条件の一つである。

そんな地下迷宮のひとつである此処にはあまり強くない部類の魔物はその環境を好んで集まっている。
その為、比較的初心者向けの難易度の低い迷宮であり、初心者や一般の冒険者もどきの者達も立ち寄る場所だ。
そして当然存在ながら脆弱な魔物に分類されるミメシスが蔓延るにも条件は良く、かのモンスターもまたこの地下迷宮に棲みついていた。

ミメシスは正面から戦えば初心者でも1対1で油断しない限りは負ける事は少ない。
だがそんな弱い魔物でも弱いなりに獲物を狩る術を持っている、でなければ魔物と分類されないだろう。

犠牲者の声を語り、姿を迷宮の壁や亀裂へ或いは天井と同化させ、獲物が近づいてくると壁や天井から飛び、獲物に組み付く。
金属はその表皮より滲み出る粘液で溶かし、身体の何処からでも生やす事ができる触手を使い獲物を捕らえる。
捕らると今度はその犠牲者の身体に特殊な体液を擦りつけ、若しくはその獲物の身体に牙を突きたてる事で体液を注ぎこみ、犠牲者に交尾を強いる。
液体となった金属はすすり、粘液でふやけた布は千切り、交尾に邪魔なものを剥ぎ取りながら犯す。
確か肉体的に脆弱かもしれないが、ミメシスらはこうして搦め手を使う事で獲物に捕らえ貪っているのだ。

あわれな犠牲者は散々交尾を強いられた挙句、最悪無数の魔物蠢く巣に連れ去られるだろう。

――今宵は新たな犠牲者が生まれるのだろうか。

それは天井の模様と同化したまま、甘い香りを迷宮の通路に漂わせ、じっとその時を待つ……

ミメシス > ずちゃ……ずるずる、ずる……………。

鳴く事もせず、ただ沈黙を保ち、天井を蠢くだけだった肉塊が粘液の糸を無数に引いて、重々しい音共に石畳みの床に落ち、今度は身体を薄く広く広げて、天井と同系色だった表皮を石畳みに合わせて変化させ、今度は床へと擬態する。

ただ矢張り甘い香りは迷宮の通路を満たし、天井から床まで粘っこい液体が糸を引く状況は異常の一言で、擬態をしているとはいえ、通りかかった者が警戒をしない筈も無い。

故にミメシスは腐った果実の如き甘い香りに、通路へと誘う誘引作用のある毒を僅かに混ぜて、行き止まりの此処へ、迷宮に足を踏み入れたものを誘い、獲物の訪れを待つ。

明かりを照らせばぬらりと輝く天井と床。
異様な光景は毒素を嗅いでしまった者にはどんな風に映るのか、ミメシスはそれを知らない、が本能として放つ毒素が人を寄せる香りがあることはしっていて。

ミメシス > 床に擬態したままの姿でミメシスは獲物が来るまでじっと動かない。
獲物の気配が無ければ、犠牲者の声を真似た鳴き声を奏でることも無く、沈黙が辺りを支配し、空しくも時間だけが過ぎていく。

ご案内:「無名遺跡」からミメシスさんが去りました。